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調布国際音楽祭2024最後を彩る公演!バッハ・コレギウム・ジャパンによる音楽の捧げもの「Bach Collegium Japan "Musical Offering"」開催レポート

2024年6月23日(日)グリーンホール大ホールにて、バッハ・コレギウム・ジャパンによる、音楽の捧げもの「Bach Collegium Japan  "Musical Offering"」が開催されました!

調布国際音楽祭の監修をつとめる鈴木雅明の指揮で、バッハ・コレギウム・ジャパンの皆さんによる演奏をお楽しみいただきました。

【曲目】
J. S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲 第1番 ヘ長調 BWV 1046
Ⅰ. Allegro
Ⅱ. Adagio
Ⅲ. Allegro
Ⅳ. Menuetto

J. S.バッハ:3つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ長調 BWV 1064R
ソリスト:日下紗矢子(1st)、若松夏美(2nd)、高田あずみ(3rd)
Ⅰ. Allegro
Ⅱ. Adagio
Ⅲ. Allegro

〜休憩〜
J. S.バッハ:「音楽の捧げもの」より
1. 3声のリチェルカーレ Ricercar a 3
2. 2つのヴァイオリンのための同度カノン
3. 2声の反行カノン
4. 5度のフーガ・カノニカ
5. 6声のリチェルカーレ(鈴木優人編)
6. 無限カノン

J. S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲第3番 ト長調 BWV 1048
Ⅰ. Allegro
Ⅱ. Adagio
Ⅲ. Allegro assai
J. S.バッハ:管弦楽組曲第4番 ニ長調 BWV 1069
Ⅰ. Ouverture
Ⅱ. Bourrée
Ⅲ. Gavotte
Ⅳ. Menuet
Ⅴ. Réjouissance

まず、コンサートの始まりを告げたのは、J.S.バッハの代表作である『ブランデンブルク協奏曲 第1番 ヘ長調 BWV 1046 』

この第1番は、ホルンやオーボエ、ファゴットなど多彩な楽器編成が特徴で、特に第4楽章のメヌエットは、舞曲のリズムが軽快に響き渡りました。

続いて、ソリストとして日下紗矢子、若松夏美、高田あずみの3人のヴァイオリニストが登場し『3つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ長調 BWV 1064R 』が演奏されました。

この3名の競演は、本公演の見どころの1つでもあり、注目されていた方も多かったのではないでしょうか。

第2楽章のアダージョは、3つのヴァイオリンが織りなす美しい対話が印象的で、バッハならではの深い情感が表現されました。

休憩を挟んで、まずは指揮者である鈴木雅明さんから、後半に演奏する楽曲に関して紹介するトークがありました。

実は、この日行われたNHK交響楽団の演奏会の中でも、この「音楽の捧げもの」よりウェーベルン編曲の六声のリチェルカーレが演奏されていました。

ウェーベルンやベルク、シェーンベルクなど、ウィーン楽派の作曲家は、バッハにも大変な興味を持っていて、NHK交響楽団の演奏をお聴きになった方は、このリチェルカーレのテーマが一つひとつ違う楽器に移っていくような、大変斬新な編曲だと感じられたかもしれません。

この楽曲が生まれた経緯としては、バッハの晩年である1747年5月7日に遡ります。この日、バッハはポツダムにあるフリードリヒ大王の宮廷を訪ねました。

フリードリヒ大王は非常に音楽的な人で、大王の宮殿には、バッハの2番目の息子、カール・フィリップ・エマヌエルが鍵盤奏者として雇われていました。

そして、フルートを特に愛しており、自ら作曲してもいますし、フルートを吹いていたので、フランスの音楽に大変興味を持っていたようです。

そのため、当時、非常に即興演奏の名手として知られていたバッハが訪ねてきたときに、フリードリヒ大王は即興演奏をするように披露するように命じ、その際に特別なテーマを与えたそうです。

その即興演奏の際に演奏したテーマを、後に「音楽の捧げもの」という作品集をまとめて、このフリードリヒ大王に献呈したのです。

このような曲目に関するトークのあと、『音楽の捧げもの』が演奏されました。

この曲は複雑な対位法が特徴的で、ルネサンスからバロック期にかけて作曲された楽曲形式の一つである“リチェルカーレ”やカノンなど、さまざまな様式の曲が演奏され、特に鈴木優人さんが編曲された「6声のリチェルカーレ」は、緻密な構成美が際立ちました。

続いて演奏されたのは、J. S.バッハ作曲『ブランデンブルク協奏曲第3番 ト長調 BWV 1048 第3番』

この曲では、雅明さんがチェンバロを演奏されました。

2楽章では、一般的に演奏されるのとは違う、長い緩徐楽章を演奏されたのも印象的でした。

最後に演奏された、J. S.バッハ作曲『管弦楽組曲第4番 ニ長調 BWV 1069 管弦楽組曲第4番』は、壮大で華やかな序曲から始まり、ブーレやガヴォット、ミニュエットと続き、最後のリジョイサンスでは、祝祭的な雰囲気が盛り上がりました。

最終楽章となるリジョイサンス(歓喜)は、まさに音楽祭のフィナーレにふさわしい、締めくくりとなる曲調で、演奏後には、会場全体に歓声が溢れました。

調布国際音楽祭2024の最後の公演が、華やかに幕を閉じました!

終演後は、調布国際音楽祭のオリジナルグッズをお買い上げいただいた方を対象に、急遽サイン会が開催されることになりました。

出演者とお客様の距離が近いのも調布国際音楽祭の魅力の1つ。コンサートの感想や、来年の音楽祭への期待のメッセージなど、温かいお言葉をたくさんいただきました。

さいごに
6月の調布国際音楽祭開催から今日まで、開催レポートをお届けしてまいりましたが、この記事が最後のレポートとなります。

今年は多くの皆様にnoteの記事をお読みいただき、とても嬉しく思っています。

今年は、全73公演、約15000名のお客さまにご来場いただきました。

調布国際音楽祭は、調布の街、出演者の皆さま、サポートしてくださる協賛企業の皆さま、ボランティアスタッフチームCIMFの皆さん、そしてご来場いただいたお客さまが一体となり開催されています。

調布国際音楽祭に関わってくださったすべての方々に心より感謝申し上げます。

また来年も、ぜひ調布のまちでお会いしましょう!