ボール保持の先にあるもの… ラ・リーガ第4節バルセロナvsバレンシア レビュー
今回は先日のバルセロナvsバレンシアのレビューになります。
監督が変わり前回のリーグ戦では圧倒的なボール保持でゲームを制圧したバルセロナ。
今節の強豪バレンシアとのゲームでもセティエンらしさ、そしてバルセロナらしさを見せつけ勝利することができるのかが注目です❗️
スタメンはこちら❗️
バレンシアはパレホがいないのが少し残念。しかしそれでもタレントがそろっているバレンシアは、バルセロナの強力な攻撃をどう抑え、攻撃を仕掛けるのか?
バルセロナは相手の守備ブロックをどう崩していき、ゲームを支配していくのか注目です❗️
1.前半キックオフ
立ち上がりからボールを握ってゲームの主導権を掴もうとするバルサに対し、バレンシアは4-4-2のブロックを形成しバルサの攻撃をシャットアウト、ビルドアップ時には前プレをかけてバルサ陣内で追い込みショートカウンターへ持ち込もうとする。
そんな展開の中、前半10分ゲームに動きがあります。
コンドクビアの縦パスをカットしたピケだがこのプレーでボールがソレールの前にこぼれ大外で待ち構えていたガヤに。
ペナ内に侵入するとピケに倒されてPK獲得😓
ここはテアシュテーゲンのビッグセーブでピンチを凌ぐ。
それにしてもバレンシアの守備がいい。コンドクビア、コクランのダブルボランチがいいと言った印象です。
2.仕組まれたビルドアップ封じ
バルセロナがこの試合なかなか中央からのビルドアップを成功できなかった要因には、2つのバレンシアが仕組んだビルドアップ封じがありました。
①4-2で囲うバルサの中盤と前プレ
バルセロナがなかなか中央からの効果的なビルドアップを行えなかったのにはバレンシアの4-2のブロックが1つの要因でしょう。
この中盤4枚と2トップの作る囲いが3ボランチをシャットアウトしCBから直接ボランチへパスを出させることを許さない。
またコンパクトなだけあってバレンシアのブロックのスライドも早く、なかなか出しづらい状況からバルサはテアシュテーゲン に当てたり、サイドに当ててから中を使う、もしくはもう一度戻して攻撃を構築し直すと言った状態になっていた。
そして前プレにもこれは影響してくる。
CB(特にウンティティ、ロベルト)からウィングにボールが出た際にバレンシアのスイッチは入ることが多かった。
WGにボールが出た際には、図のように4-2の囲いがスライドしプレスをかける。
その際、2トップはブスケツの監視をする事、プレスをかける位置によっては3CBへのプレスも忘れない。
②中盤の格、「ブスケツ封じ」
3-5-2を組むにあたって中盤の攻守で格となるブスケツの存在は大きい。
バレンシアはそこを封じる事でバルセロナの中央からの攻撃を封じる事と共に、攻撃のテンポを掴ませないことに成功した。
4-2のブロックのところで2トップの役割にブスケツを監視するところもあったが、2トップが高い位置に配置している場合にはここをコクラン、コンドクビアがブスケツの監視役に回る。
ブスケツにボールが入りそうになるとどちらかがブスケツに寄り前を向かせない、バックパスを選択させる等でなかなか中央からの展開が少なくなった。
これにより3CBはロングボールを使い中盤を省略して敵陣に侵入しようとすることが多くなったが、それと同時にバレンシアはそのボールを回収し、攻撃に転じる事もあった。
3.流動性、それによって失われた中央支配
セティエンのサッカーはサイドでの優位性をつくりサイドを崩していくことが多いが、その際スアレスのような中央で仕事ができる選手は不可欠に思える。
敵の背後を取る、流動的に動くことと共に、中央で仕事をすることができる為、相手のバックラインはなかなかサイドを潰すことができない。
しかし今節はそうは行かなかった。
3-5-2の2トップはメッシとグリーズマン。
メッシとグリーズマンは相手の最終ライン上にはいるものの、メッシは自由に動き回り、時には落ちてゲームをコントロールしようとし、グリーズマンはサイドへ流れてサポートをしようとする事があり、それによってバレンシアの2CBの前には誰もいなくなることがあった。
これによってサイドでの優位性は保てるものの、中央での攻撃がなくはっきり言って「守りやすい」構図ができてしまった。
ここは少し余談になるがもしかしたらバルセロナのストライカー候補は流動的に動ける事は大前提だが、中央をピン留めでき、バイタルエリアでの仕事を得意とする選手が必要なのかもしれない。
3.後半開始の変化によるメリット、デメリット
前半は0-0とスコア上では互角の戦いを見せるもののPKや、ビルドアップ封じをされたこともありなかなか思うようなゲーム展開を見せれなかったバルセロナは後半開始から少し変化を見せてきた。
前半と比べやや前重視になった守備は機能を果たし、攻撃は少ないタッチで攻撃に転じることが多くなったように見える。
その中で後半立ち上がりのファティのシュートはそれを物語った。
後半立ち上がりから前重視な守備に変わった事もありメリットになった部分もあったが、デメリットになった部分もあった。
それが48分の得点シーン。
ブスケツのファールでバレンシアのフリーキック。
ヴァスにボールが渡るとバルサの中盤はボールホルダーにプレスをかけにいく。
その時の図になるが中盤とバックラインとではかなり間延びが起きてしまい、この後ヴァスのパスはウンティティのクリア不十分を誘いそれをガメイロに拾われて展開され失点に結びつく。
56分にはアルトゥールに変え、ビダルを投入し中盤のハードワークをより強力なものにするも76分再びバックラインと中盤の間延びを使われた失点が起きてしまう。
ヴァスからスローインがトーレスに入るとこの際に前にかけていた中盤は戻りが遅かった。
するとトーレスが中に切り込んだ際には丸枠で囲ったところには誰もいなかった事もあり、従分な時間を与えてしまうことになり大外のゴメスへパスを出されてしまう。
これが失点につながり0-2と敗戦した。
前線からの即時奪還を後半は重視していたバルセロナだが、セットプレー後に間延びが起きてしまうことが多く、そのスペースを使われることが殆どだった。
リバプール戦のコーナーの雰囲気に似た2失点だったと感じました。
4.おわりに
今節のバルセロナはセティエン初戦に比べ、ボールは保持するところは変わらなかったが守備の部分で不安が残る試合内容となった。
やはりスアレスの存在は大きく、その後釜、もしくはサブにストライカーが必要だと改めて感じるような試合内容だったと思う。
次節セティエンがどう修正し魅力的なサッカーを見せてくれるのか。
ボール保持を好む監督の試行錯誤は続く…
※図はJun Kanomata(@Jun_kanomata)さんのTACTICAListaを使用しています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?