我々が映像体験から得ているもの
みんな、映画は好きだよね。
僕が思うに、映画には二種類あるような気がするんだ。
それは、"ヒットするけどつまらない映画"と、"面白いけどヒットしない映画"だよ。後者はユニークなスプリクトと、あるいは、壮大なテーマ、斬新な撮影技術を用いて作られている。
では、なぜヒットしないのか。
それは、映画の黄金比に対立して作られているからだ。映画には黄金比がある、人に"面白い"と思わせるルールがあるんだ。たとえば、こうだ。
主人公は普通の女子校生、あるいは、冴えないサラリーマンだ。そして、彼らは事件に巻き込まれる。それは彼らが抱える内向的な問題を浮き彫りにする形で起こる。
それを克服するために、彼らは奔走し、やがて、彼らは幸せを掴んで、めでたしめでたし。
「美女と野獣」はまさに、この黄金比に当てはまる。呪いが解けてめでたしめでたし。
そのようにしてヒットした、間違いなく面白いだろう。僕も好きだ。一方で、"ヒットしないけど面白い映画"というのは、怪作が多くて、見たとしても必ずしもいい体験にはならない。
みんな、日常から解放されたいんだ。そして、幸せを掴みたい。
だけど、僕はそれがつまらないように感じるんだ。
なぜって?
見る前から面白いとわかっている映画を、わざわざ見ようと思う?分かりきったことなら、裏を返せばつまらないんじゃない?ってさ。
映画館で2000円と少しの金を払う、そして、シートに座って、2時間の非日常を味わって帰っていく。
また、同じ1日を繰り返すために。
ハッキリ言っていい?そんなのはクソだ。
なぜって、そういう楽しい思い出は自分のなかに何も残らない。その思い出は歳を取るとともに忘れ去られていくんだ。
でも、後者は違う。自分の中でユニークな感情となって、ずっと忘れることはない。そういったものは、必ず君たちのパーソナリティにいい影響か、あるいは悪い影響を与える。
娯楽を単に娯楽として消化するか、自分の知見を広げたり、新しい境地へ引き上げるものと取るかは君次第だ。
だけど、俺は"ただ"幸せになるだけなんて、クソつまらないと思うね。