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【TGF2023】『噫、井戸に流るる』を振り返る。①初期構想編【特別優秀賞】

 大変遅くなりました! 振り返る振り返る言って振り返りそびれた「噫、井戸に流るる」の振り返り記事です。結構前にスペースで1時間語った内容と大体同じにはなりますし、若干今更感がありますが、文字に残そうと思います!

※ネタバレの嵐です。本編クリア後に読んでね!!

記事準備だけして投稿タイミングをうかがっている間にノベコレさんで500DL達成していました。感謝感激雨あられって感じです。うれしい!

500DLを待ちわびていたんだ。

初期構想の話。

最初に決めたこと。

 元々ティラノフェスに向けて作ろうとしたわけではなく、別の大会にフォーカスして作ろうとした作品でした。その大会にはお題があり、それが「アイドル」だったので、漠然とアイドルで何か思いついたら作るかぁ……ぐらいにふわふわと考えていました。
 私は言葉遊びから物語の着想を得ることが多いのですが、今回も例に漏れず「アイドル……アイドル……」と頭の中で言葉を繰り返していました。

アイドルの中には「愛」がある。だけじゃない。

 月次ですが、アイドルに真っ先に当て字をするなら「愛奪る」かなと思いました。ラブハンター的な? カ○プロの「目を奪う話」を思い出しますね。 皆の愛を奪っていく。目を引く存在。うーんしっくりこない。更に当て字を探します。それでは他の字にしてみよう。「哀」「怒」「涙」。なんか重たくなってきたぞ!? 
 ちなみに「あ井戸る」もこのときに出した案のうちの一つでした。「『井戸』というか『イド』というとサ○ンドホ○イズンを思い出すなぁ」とか考えたのも覚えています。私サン○ラ全然詳しくないけど…。

私の中のアイドル像。

 ところで私は元祖○ーニング娘。世代です。女アイドルグループが身近な世代であります。実際はハマったというか意識するようになったのは中学生ぐらいなんですが、可愛らしくって元気をくれる彼女たちの事が大好きでした。ライブとかには行かなかったけど、テレビで見たり漫画を読んだり、実際に抱えている黒いものはさておき、ひたむきな彼女たちが大好きでした。
 時代が変遷し、女アイドルグループの姿も変わっていきました。印象的だったのは「も○いろクローバー」のような「会いに行けるアイドル」の台頭。行く事はなかったけど、テレビの中だけの存在だった彼女たちに会いに行ける! 握手できる! というのは当時すごくびっくりしたのを覚えています。また、地下アイドル感が強かった某48系列が大衆向けになったのもびっくりしました。

 ところで、私は芸能人のスキャンダルがあまり好きではありません。特にアイドルたちのものはそう。画面の中でキラキラ踊る彼女たちのプライベートに干渉したいと思ったことは一切なく、恋愛していても構わない、見えないところで自由であってくれと思っていました。私にとってもアイドルは「光の存在」であり、それをプライベートを監視して汚す行為が好きではなかったのです。仕事で聖なる存在になった彼女たちの私生活にフォーカスしてドロドロしたものを描く事を、私はしたくなかったのです。

「神様」と「アイドル」は似ている。

 実況等を見ていて、「神様ということはアイドルの先輩ということだ!」という発想に至るルウちゃんに多数のツッコミをいただきました。でもね、私はこれを的外れだとは思っていないんです。

  • (一般的に)人に希望を与える存在である。

  • 人々から慕われる、好かれる存在である。

  • 歌や踊り(舞)を通じて元気づける。

  • 裏の姿を人々はあまり知らない。

 どうですか? 似てませんか? 似てると思った方は私と感性が似ています。しかも「神アイドル」って言葉まである。これは使えると思いました。

あぁっアイドルさまっ!

 私の好きな漫画のパロディをサブタイにつけたところで、昔のアイドルである「神様」を現代のアイドルが救うというという話にしようと思いました。「哀怒涙」になってしまった神様には、「哀しむ話」「怒る話」「涙する話」があって、それをプレイヤーが全部見たとき、光のアイドルが神様の心を溶かす。そんな話にしようと思いました。このときの構成としては主人公は神様で、神様の3つの物語を好きな順番で見て、最後にアイドルの救いが入るみたいな、弊サークル作「MASK IT!!ー俺の手にはシャケしかないー」のような構想にしようと思っていました。

こんな感じの矯正全ルート通る系選択肢


全部の苦しみを知った後、救いが出てくる物語を構想

 次第に設定が固まっていきます。神様の拠点は「井戸」であるということ。涙は井戸に流れていく。そうしたら、「あぁ」という嗚咽も無情に響くではないかと。ここでタイトルが決まります。「噫、井戸に流るる」。「噫」の字を選んだのは、「レ・ミゼラブル」の和名「噫、無情」とおそろいにしたかったからです。ひらがなで書くなら「あゝ」ですね。

じゃあ神様の「哀怒涙」ってなあに?

 多分この神様は闇落ちしている、人間を恨んで引きずり込んで殺しているというのはこのあたりで決まっていた構想で、「井戸に潜んでいるのをアイドルが引きずり出すのかなぁ? 」と漠然と考えていました。人間を恨むようになった理由はなんだろう。深く深く、傷つく出来事とは。多分それは「裏切られ」「大切なものを奪われ」「絶望した」んだろうなと。きっと闇落ちする前は親しみやすい土着神だったのでしょう。神と人間が共存していたぐらい昔むかしはきっと。
 そんな妄想をしていると、「哀の話」「怒の話」「涙の話」に分けるのがナンセンスな気がしてきました。そして、最初に明かしてしまうのが惜しいぐらい、辛い話な気がしてきました。もしかして一本道にして、アイドルに少しずつ心をほぐされる様子を描写した方が、この神様が救われるような気がしたのです。
 このあたりから完全一本道で物語を考えるようになります。

そもそもアイドルは山奥の枯れ井戸に行かない

 企画が覆ってしまう前提ですが、一般的にアイドルの女の子は山奥に行かない気がします。呪われた枯れ井戸にはもっと行かない気がします。肝試しするような子なのかどうかも疑問です。でも彼女は芸能人、しかも多分売れています。ってことは、「罰ゲーム」なら行くのではないかと考えました。安直ですが「罰ゲーム」があるバラエティ番組で真っ先に浮かんだのが「クイズ番組」。ここでゲームの冒頭シーンである、「クイズで全問不正解になり、罰ゲームに行く」という形が定まりました。

アイドルの回答と神様の過去について

 ここで私は冒頭のアイドルの回答も物語の伏線にしたいと思いました。実は全問不正解と見せかけて、全問正解だった! というギミックがやりたかったのです。とうとう神様の過去について考えるときがやってきました。神様の本当の過去と、捻じ曲げられた歴史の両方について。

灰色が最初期の構想、黒色が改定版


本当の歴史

 というわけで正しい歴史と偽りの伝承について簡単にまとめました。これを元に問題と回答を考えます。

回答のズレ

 第三問は少し内容が変わりましたが、物語を読み進めると実は正しかったとわかる内容にしたつもりです。アイドルと神が出会うことを運命づけるように。

なんとなく見えてきた物語の骨格

 ここまでをまとめると、一本道ルートの作品であり、罰ゲームによって山奥の涸れ井戸を訪れたアイドルと、哀しみに暮れて人間を恨む神の交流、そしてトラウマの氷塊を描くことが見えてきました。「アイドル」「歌」「踊り」をキーワードに、1人と1柱があたたかく交流していく、光の物語を作ろうと思いました。

長くなったので続きは別のnoteに分けます!

 初期構想でこんなに長くなると思ってなかったよ……。次はキャラクターデザインの話とかできたらいいと思っています。

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました! note書くのめちゃくちゃ遅いですが、是非お付き合いいただけたらと思います。お楽しみに!

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