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国連生物多様性会議COP16の見方

約200カ国の首脳や代表が集まる、国連生物多様性会議(COP16)がコロンビアのカリで開幕しました。

これから12日間をかけて、生物多様性と地球上の生命を維持している生態系を、世界がどのように保護するのか話し合われます。コンサベーション・インターナショナルの専門家チームはCOP16に向けて、各国政府に助言を行ってきました。そして、よりよい成果を導くために会議へ参加しています。

アフリカのサバンナから太平洋のサンゴ礁まで、世界の野生生物は深刻な絶滅の脅威にさらされています。その数は、2030年までに100万種動植物が絶滅の危機に瀕するとも言われるほどです。そして、その原因の多くの部分は人類にあり、それらの保護は人類の重大な責任です。

ここで、COP16会議の見方に役立つ、3つの大事な問いをご紹介します。

ライオンの子供たち。ボツワナ © Jonathan Irish

1.世界は目標達成に向けて順調に進んでいるのか?


2年前の昆明モントリオールCOP15では、ほぼすべての国が、自然の損失を逆転させるためのこれまでで最も野心的な計画、2030年までにすべての陸地と海の30%を保全するという内容で構成される包括的な枠組みに署名しました。通称「サーティ・バイ・サーティ(30by30)」と呼ばれる世界目標です。

今、各国の政策担当者たちは、「地球上のほぼ3分の1を保護する」というこの大胆な約束の進捗状況を評価するために、再びコロンビアに集まっています。

「前回のCOP15で採択された枠組みの中で、各国が自国の計画が特定の目標をどのように達成するのか、明確に示す必要があります」とコンサベーション・インターナショナルの政策専門家、カーリー・シージは話します。

これまでのところ、約3分の1の国が計画を提出しており、それぞれに「30 by 30」目標が含まれています。

しかし、それでも100カ国以上が生物多様性計画を最終決定するための2024年11月の締め切りに間に合っていません。コンサベーション・インターナショナルは、この問題の緊急性を強調し、各国が目標を達成できるよう緊密に協力しています。

「私たちが活動する地域、つまりアフリカ、アメリカ、アジア太平洋すべての地域でCIの科学者、政策専門家、そして地域パートナーが各国の最新の生物多様性計画が野心的かつ科学的に健全なものとなるよう協力しています」と、コンサベーション・インターナショナルの生物多様性政策を主導するジル・ヘップは話します。「COP16では、連携を促進しなければなりません。私たちは、計画をすでに策定している国と、まだ策定中の国をまとめ、すべての国が具体的で実行可能な目標を設定できるようにすることに焦点を当てます。」

これらの目標を行動に移すには、各国が地域レベルで考え、行動し、生活のために自然に依存している人々からの意見を求める必要があります。特に、自然の最も効果的な管理者であることが証明されている先住民族の権利と参加を確保しなければなりません。各国がどのようにこの種の参加型アプローチを採用してきたかは、カリでの進捗評価の一部となります。

ルリコンゴウインコ、 ボリビア © Jonathan Irish


2.生物多様性を守るのと同時に気候変動を解決するには?

生物多様性の喪失と気候変動が相互に関連していることは、科学的に明らかであり、自然はどちらの危機に対処するためにも重要です。土壌中の小さな生物から種子を散布する動物まで、地球の生物多様性は、自然が炭素を効果的に貯蔵し、気候変動の進行を遅らせる能力を支えています。生物多様性が失われたり劣化したりすると、自然は炭素を貯蔵したり、淡水、食料、住宅資材など、人々が生きるために欠かせない便益も提供することができなくなってしまいます。

しかし、2023年の時点で、気候変動対策と自然保護に関する約束を整合させている国は、世界の半数にも満たしません。

シージによると、これらの相反する優先事項は、各国が生物多様性と気候の危機に同時に取り組むことに合意することで対処できます。つまり、それぞれを分けて考えるのではなく、ともに補強し合うような気候計画と生物多様性国家計画を策定することです。

3.世界はどのようにしてこれらすべての取り組みの費用を捻出するのか?

自然を保護する世界的な取り組みは、年間 約7000億米ドルの 深刻な資金不足に陥っていると推定されています。各国は、どのように資金確保を行うか、世界経済に莫大な価値を生み出している自然に対する革新的な資金戦略をどのように活用すべきかについて、頭を悩ませています。

コンサベーション・インターナショナルの戦略責任者である、パトリシア・ズリタは、「アマゾンの山火事やボゴタの水供給問題、ノースカロライナやタイの歴史的な洪水など、気候変動と生物多様性の損失という連動した危機は、ますます私たちの生活を苦しめています」と話します。「交渉担当者たちは、その資金の出所や時期、そしてどのグループがその資金を受け取るのかを決めずに、カリを去るわけにはいきません。時間が最も重要なのです」。

COP16において、最も差し迫った問題のひとつは、政府の補助金(農業、エネルギー、鉱業などの分野で、コストを下げるために産業界に与えられる財政支援)の改革についです。残念なことに、こうした補助金の多くは、森林伐採や乱獲など、生態系に悪影響を与える活動の資金源となっています。

「世界中で、納税者は知らず知らずのうちに自然破壊に資金を提供してしまっています。政府は生態系を劣化させるビジネスに何兆円も注ぎ込んでいるのです」とズリタは話します。

コンサベーション・インターナショナルは、政府や企業団体などへ向けて、自然破壊を促進する産業への補助金を特定し、再利用するための明確な指針となる条項を発表する予定です。

私たちは、資本が適切なプロジェクト、具体的には生物多様性、気候、そして人間の福利に同時に利益をもたらす取り組みに届くようにしなければなりません。

アマゾンでは非常に具体的な取り組みが進んでいます。COP16で、9つのアマゾン諸国のリーダーたちが、自然と共存する経済を創造するというコミットメントである「パン‐アマゾンバイオエコノミーネットワーク(Pan-Amazon Bioeconomy Network‗)」を発表する予定です。植物、動物、微生物を利用して食料、材料、エネルギー、その他の製品を持続的に生産することにより、このアプローチは、生きている森林、流れる川、生物多様性、そしてアマゾンに住む先住民族の文化を大切にしています。

「強力な自然に基づいた経済を構築することにより、私たちはそこに住む5,000万人の人々のためにアマゾンの熱帯雨林を保護すると同時に、気候変動対策、生物多様性保全、人間開発を整合させるための重要な一歩を踏み出しています」と、コンサベーション・インターナショナルのアメリカ地域での活動を率いるレイチェル・ビダーマンは述べています。「コンサベーション・インターナショナルは、この取り組みに参加し、ネットワークのコミットメントが具体的な行動に移されることを保証するために取り組んでいることを誇りに思っています。」

アマゾン © Johnny Lye

投稿 :Will McCarry ※原文はこちら
翻訳編集: CIジャパン
TOP画像:絶滅が危惧されるヒガシゴリラ、コンゴ ©John Martin



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