藤原さくらが「Waver」の制作について語ったことのメモ

藤原さくらは現在、2020年内にリリースすることを目標に3枚目のアルバムを制作中であると公言している。

そんななか5月上旬から、5月6日にリリースされたデジタルシングル「Waver」と6月3日にリリースされた7インチのアナログシングル『Twilight / Ami』のプロモーション活動を行っていた。プロモは主にラジオ出演だが、そのなかで「Waver」の制作について色々と面白いことを語っている。

そこで、藤原がラジオ等で話した「Waver」についての発言をまとめてみようと思った。あくまでこの記事は、藤原のラジオでの発言をまとめた記録である。前提として、もはや過去のラジオでの発言なので、参照先を示すことができないことをご理解ください。

1.「Waver」の基本情報

2020年5月6日にリリースされた藤原さくらのデジタルシングル「Waver」。
まずは、まだ聴いたことのない人はぜひ聴いてみて欲しい。

「Waver」は藤原さくらが作詞作曲、Ovall関口シンゴが編曲を担当した楽曲である。

Waverは英語で「揺れる」「ゆらめく」という意味だ。
曲名からもわかるように、ゆらゆらと揺蕩う(たゆたう)ようなチルな曲である。リズムは後ろ目のビート、音質はLo-fiな感じ夏フェスで聴きたくなるようなとにかくゆるく乗れる曲だ。藤原さくらの楽曲のなかでもきわめてチルな曲だといえよう。個人的には曲調は違うがビートの感じから「How do I look?」に通じる曲だとなんとなく思った。
近年、藤原は「Lo-fi Hip Hop」への偏愛をよく語っており、この曲にも多少の影響はあるかもしれない。
サビのファルセットは繊細な感じもあるが今までになく伸びやかな表情を見せており、ボーカリストとしての成長も感じられる。

「Waver」はチルポップチューンであり、藤原さくらの新機軸ともいえる楽曲だろう。

藤原さくらは「Waver」のリリース時に下記のようなコメントを出している。

こんな時ですが、
外もあったかくなってきて
気分が沈んだ日には
好きな音楽をカーステレオから流しながら
遠くにドライブにでも行きたくなります

色で言ったら黒でも白でもなく
海みたいなブルーな気分のとき

夜は足元が見えなくて
ふいに苦しくなってしまうこともあるけど
太陽が当たったとき、きれいに反射することもできる
悲しむ時も、そんな自分で在れたらいいなと思います
タイトルのように
ゆらゆらと波に揺られるような気分で
楽しんでもらえたら嬉しいです
ライブで歌える日を祈って

〜〜〜〜〜〜

本題から少しそれるが、
藤原さくらと関口シンゴの関係は、SNSに残っている情報から、2015年の9月頃からだとわかる。このとき藤原はまだ10代だ。

関口は、藤原が2016年にリリースしたメジャー1stアルバム『good morning』に収録されている「maybe maybe」と「good morning」でプロデュースとして参加している。そのレコーディングが2015年の9月に行われたのだろう。そこがファーストコンタクトだったと推測される。
そのあと、2017年にリリースされた2ndアルバム『PLAY』では「sakura」「play with me」「Necklace」の3曲で編曲を担当している。
またプロデュースと同時に、2016年のツアーから、関口はOvallのメンバーであるShingo Suzukiとmabanuaと共に藤原のバックバンドに参加している。

つまり、2015年以来、楽曲を共同制作したり一緒にツアーを回ったりということからも、藤原と関口はある程度お互いを知っている関係性であることがわかる。

「Waver」は、2017年以来の藤原さくらと関口シンゴがタッグを組んで制作された楽曲だ。

2. 制作過程

さて、ラジオで語られていたデモの制作過程に話を進めよう。制作の話がとても面白い。

「Waver」は、2019年の夏に原型となるデモが作られ、2020年に入り歌詞が書かれ、そしてレコーディングが行われたという。リリース時の半年以上前の時点で制作に着手されていた

興味深かったのは、作詞作曲は藤原さくらだがデモは藤原ひとりだけで作られたものではないということだ。

2019年の夏、藤原は関口シンゴとスタジオに入り、共に多数のデモを制作していた。関口からは打ち込みの仕方を、具体的にはLogicでの楽曲制作のやり方を教えてもらってたそうだ(特にベースドラムの打ち込みに関して)。
多数作ったデモのなかには、関口シンゴとは関係のないものや打ち込みの練習用のデモもあったそうだ。

ところで、
そもそも藤原さくらは2018年にEP『green』と『red』をリリースしているが、この2枚のEPは関口と同じバンドに所属しているmabanuaをトータルプロデューサーとしてむかえ、打ち込み主体の制作を行っている。この時点で藤原は制作方法に打ち込みを持ち込こんでおり、自分でも打ち込みで作曲している旨の発言をしている。その影響の延長線上に「Waver」があると考えて差し支えないだろう。

さて、本題に戻ろう。

3. テイラー・スウィフトの「Shake It Off」が原型?

『Waver』は……もともとはテイラー・スウィフトのドラムのリズムから作り出した曲


テイラー・スウィフト?

そうテイラー・スウィフトである。
自身のラジオでも、ゲストとして出たラジオでもこのことを度々語っている。

「Waver」には「Shake It Off」の影響があると言われてもまったく信じられないだろう(笑)。

関口と共にスタジオで制作していたデモのひとつが、テイラー・スウィフトの「Shake It Off」のドラムを使ったものだったという。それが、のちに「Waver」として結実することになる。
なぜテイラー・スウィフトの「Shake It Off」から作ろうと思ったのかわからない。が、とにかく、打ち込みの練習のひとつとして、またドラムから曲を作る練習のひとつとして、「Shake It Off」のドラムから曲作りが始まったということだ。

繰り返すが、「Shake It Off」のドラムを打ち込むことから制作がスタートした。そこからのコードやメロディが作られていった。
このような過程を経て、また関口シンゴの教えを受けながら、「Waver」の原型となるデモができあがっていった。

4. デモとは"まったく"違うリズムになった「Waver」

デモの段階で関口シンゴは関わっているが、藤原さくらはあらためて「Waver」のアレンジを関口にオーダーする。デモを制作していた時点では、まだ関口がアレンジを担当することが決まっていたわけではない。

アレンジの依頼を受けた関口シンゴが最初に作ったアレンジは、まだ「Shake It Off」のリズムの名残があるキラキラとしたクリスマス感がある編曲だったという。
その後、色々とやり取りを重ねていき、リズムを後ろノリにしたいというリクエストや関口シンゴの「North Wing」のようなゆったりとした曲にしたいとのリクエストもあったりして、徐々に現在の曲調になっていった。最初にあったリズムと完成形のリズムは全く違ったリズムで、もはや正反対とも言っていいほどに乖離しているという。

関口シンゴ本人は、難しいオーダーではあったが、最終的に完成した曲は今までになかった曲に仕上がったのではないかと述懐している。

5. MVについて

WaverのMVはイラストレーターの雑賀建郞が担当している。雑賀はテレビ番組の「かりそめ天国」のイラストなどを手掛けている。 

当初、MVは実写で撮る方向で話を進めていた。それも藤原本人ではなく、ほかの役者を起用する案もあったという。しかし、社会情勢の変化に伴い、予定していたロケーションで撮影できなくなるなどして、MVの内容を変更せざるを得なくなる。そこで、実写ではなくアニメーションでMVを作る選択肢が出てきて、協議の結果、雑賀に任せるようになった。MVとキャラクターデザインは雑賀が担当したが、特に細かい条件や指示はせず、雑賀には自由にやってもらったという。

〜〜〜〜〜

とりあえずこんなところですかね。
2020年5月、藤原さくらが「Waver」についてラジオで発言したものをまとめたものです。
もっと詳しいインタビュー記事が出てほしい。

試しに「である調」で書いてみました。



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