君を音楽にする。
函館で過ごしているこのかけがえのない日々をしっかりと音楽に遺したいとふとした時に思った。好きじゃないと人前では言いながら、本当は好きなこの街と君のことを。鮮明に覚えている今のうちに、作品に昇華して自分のことを肯定してあげたい。消えたいほどつらいこともあったけど。
愛することは音楽を作ることだった。
人にはそれぞれの愛情表現がある。ただ僕にとっての最上級の愛情表現が愛している人のことを想いながら音楽を作ることだった。大きな愛を音に重ねて、言葉を紡ぐ行為。創作をしている瞬間はずっと好きな人のことを考えることができる。なんて幸せな時間なんだろう。そういえば、君はこんなことを言ってたなとか君と見た景色を思い出して文字に起こしてみる。ハグとかキスはピンと来ないけれど、行為の本質は音楽制作と似たような気がしている。だから、愛してるよって伝えるより、君の歌を作っているよって言って曲を聴いてもらう方が僕の愛は伝わる気がする。
こんなことを書き連ねているけれど、今現在これと言って愛している人がいるわけではない。ただ積み重なった地層のような記憶を解析しながら、愛の考古学者として生きている。いつかまた人間を愛せる瞬間が訪れたらいいですよね。