【2022 映画感想 003】『裁かるゝジャンヌ』 顔、顔、顔。
カール・テオドア・ドライヤーの4作品が12月から特集上映されています。
今日は『ジギースターダスト』とあと何かを観に行くつもりだったのですが、この特集を思い出して急遽観に行ってきました。
名前は知っているけれど観たことがなく、前提となる知識もないままで、『裁かるゝジャンヌ』『奇跡』『ゲアトルーズ』の3本を続けて観ました。
というか…、3本目は途中ちょこちょこ寝てしまいまして。2本目も多分ちょっと寝た気がするので、この2本は「観た」というカウントに入れられないです。
ちなみに、私の場合、寝てしまったからといってその作品が必ずしもつまらなかったというわけではなかったりします。常に寝不足なので、暗くて適度な音がある入眠環境の整った映画館では容易に寝落ちしてしまうんです。映画観てる時って幸せですしね。
『裁かるゝジャンヌ』はサイレントで、もうとにかく顔です。顔、顔、顔。80%くらい、いや、もっとかな? が顔のアップで構成されています。
様々な顔の人がいるんだなあということ、二つと同じ顔はないこと、顔だけでほとんどの感情が表現できるんだなということを改めて感じました。
なるほど、映画というのはこういう風にも撮れるのだなと思った次第。(気の利いたこと言えない笑)とにかく、これまで自分が観た他の「ジャンヌ・ダルクもの」とはまるで違う描かれ方をしているのは間違いないです。
ところで、アントナン・アルトーが出ていたので、へーっと思いました。私にとってアルトーは“器官なき身体”、『ヘリオガバルスあるいは戴冠せるアナーキスト』の人であって、俳優でもあったことを知らなかったんです。それかすっかり忘れてたか。オープニングのクレジットに名前がなければ気づかなかった。
『奇跡』は「観た」にカウントしませんが、演劇をフィルムに収めたみたいな感じがしました。場が舞台のような印象。あと絵(形と色の濃淡)としてバシッと決まるようなシーンがいくつもあった気がします。
『ゲアトルーズ』についてはさらに何もいう資格がないのですが、鏡や影が印象的でした。なんかベルイマンを思い出したりしました。
どちらも造形的にはすごく抑制されていて、そこに美しさがあるのかなと思います。
『怒りの日』も観ようと思っています。そして余力があれば、『ゲアトルーズ』に再挑戦するかも。