お仕事日記 9話
…夜にぼくの周りで何かしている人がいると思ったら、体全体に落書きをしていたらしい。朝になって二人の驚いた顔を見た時は、何かと思ったよ。人と違って逃げたり出来ないからどうしようもなかったけど、一体どうしてだろう?…このままじゃダメだ、頭を切り替えないと。
いぶきは泣きそうな顔で、ぼくの落書きを落とそうとしてくれてる。でも、全然落ちる気配がない。どうしたら落ちるのかな?
あ、しまと二人で戻ってきた。助けられた人の数と、助けられなかった人の数、か…。そんなの、やってみないと分からないよ!…助けられなかった人たちの分の思いも込めて、誰かの未来を良い方向に動かしていく。そのために必要なことは…目の前の仕事を全力でやる、それだけだよね。二人には、ぼくも付いてる。だから、…間に合う!
ハムちゃんが事情聴取を受けるらしいので、芝浦署まで警護することになった。二人も、同席することになってるらしい。ボディーわんこって何だろう?…いや、ガードわんこも違うと思うけどな。
事情聴取が終わったので、ハムちゃんを官舎まで送ることに。いぶきは、事情聴取が苦手みたい。人の裏側を見るための小細工、みたいなものが嫌いらしい。…ハムちゃんの望む世界は、きっとみんなが幸せになれる世界なんだろうな。ここは、いぶきの一番好きな道らしい。一人一人が生きてる、って感じられるからみたいだ。何度も見てる景色だけど、ぼくたちが守ってる暮らしが、ここにあるんだ。…なんだか、ウルッときちゃうよ。今日の夕日を、ぼくはずっと忘れないし、忘れたくない。
官舎に到着した。ハムちゃんを降ろした後、二人はエトリについての話をしていた。…あの二人とたいちょうに何かあったら、ぼくも許さない。見つけたら、絶対逃がさないよ!
あれ?いぶきが何かに気づいたみたい。…近くに誰かいるのかな?警察じゃない人が官舎の中にいることはあっても、隠れてるなんて怪しい。とりあえず、二人で隠れてた男性を捕まえた。彼は特派員のレック、っていう有名人らしい。初めて見たけど、変な格好してるな。いぶきは彼が持ってたカメラの映像を見たがってたけど、しまに止められた。今は、釘を刺すのが精一杯みたい。
しまと一緒に、いぶきとハムちゃんが戻ってくるのを待つことになった。…あれ?今、誰かいたような気がする。気のせいかな。そんなことを考えてたら、二人が戻ってきた。官舎まで、出発、進行ー!
今度こそエトリを捕まえるために、辰井組、っていう暴力団のガサ入れを手伝うことになった。ぼくたちは遠くからだけど、これも仕事だからね。…じんばさんの顔が違う、って何だろう?怖いってことかな。手がかりつかんで来てね、相棒!
二人が戻ってきた。すごく怖い雰囲気出してるけど、一体何があったの?…ハムちゃんがいなくなったらしい。一刻も早く、見つけないと。
…しまのスマホに連絡が来た。彼女が連れ去られた場所の手がかりがつかめたみたい。ここで間に合わなかったら、ぼくも二人も、きっと自分を許せなくなるような気がする。急がなきゃ!
…山の中にある料亭に到着した。ハムちゃんは、この中のどこかにいるはず。待つことしか出来ないのが、すごくもどかしい。お願い、間に合って…!
あれ?…ぼくには分からなかったけど、いぶきには誰かの声が聞こえたみたい。二人で井戸のふたを開けたら、ハムちゃんとナリカワ、っていう若い男性が中に閉じ込められていた。彼は、たいちょうにエトリの車のナンバーを伝えて欲しいと、ハムちゃんからの伝言を伝えてくれた。…ここまで来たんだから、必ずこの二人を助けられるよね!
後から来たここのえくんとじんばさんにも手伝ってもらって、ロープでこの二人を引っ張り上げた。彼女はぐったりしてたけど、しばらくして目を開けた。ナリカワも、少し苦しそうだけど無事だった。ぼくたちが間に合って、本当に良かった…!
ハムちゃんのことは救急の人たちに任せて、ナリカワはここのえくんが逮捕した。きっと、彼のことが気になっていたんだろうな。
…あれ?どこかから変な音が聞こえる。どこだ?と思ったら、空からだった。二人が、鋭い目つきで空に浮かぶものを見つめている。あれを追いかければ、何か手がかりが見つかるはずだよね。急ごう!
ドローンを追いかけてたら、逮捕したエトリの車に追い付いた。二人が前の車とドローンが接触事故になるのを止めようとした瞬間、
…うわっ!?すごい音と光だったな。見てみると、前の車から煙が上がっていた。あの車が爆発した、のかな?二人の様子だと、エトリは死んでしまったらしい。あのドローンを操作していたのは、どんなやつなんだろう…?