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【写真解説】碧眼の虎

OM SYSTEM OM-1+M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO

5月初旬の水辺を飛び回るトラフトンボの飛翔を撮影しました。


露出設定について

飛翔撮影においてはカメラの設定が極めて重要です。
露出設定は現地で日差しの状況などを加味して調整する必要がありますが、とりあえずはブレないシャッタースピードを見極めます。
ストロボを使用しない今回のような場合は、1/1000秒を基準にして、曇っていてISO感度が上がってしまいそうであれば1/800秒に下げ、逆に日差しが強くてもっと上げれそうなら1/1600秒あたりまで上げます。
私は個人的なこだわりとして、身体はブレずに、翅の先が少しブレているのが好きなので、明るくても無闇にシャッタースピードを上げることはしません。
次にISO感度についてですが、基本的にISOオートで撮影しています。
どこまで上げても大丈夫かのラインも人によって異なると思いますが、私は被写体との距離感によっても許容範囲が変わると考えています。
被写体が近くてしっかりと解像している時は多少感度が上がっても気になりませんが、被写体との距離が離れれば離れるほど感度を上げた時のザラつきが気になります。
ロケーションによりますが、トラフトンボはやや近づきにくいトンボなので、複眼の個眼が解像するレベルまで接近するのは難しいです。
そのため、ISO感度は1000を超えないくらいがギリギリのラインですね。
絞り値に関しては優先度が低いので、シャッタースピード優先モードで撮っている関係もあって一応確認しますが基本触りません。
被写体との距離がそこそこあるので、絞り開放でも被写界深度は足りていると思います。
被写体から背景までの距離も空いているので、多少絞り値が大きくなっても背景がごちゃつくことはないです。
シャッタースピード優先モードで撮影する時のコツですが、絞り値とISO感度は露出補正を変えることで多少コントロール出来ます。
少し前まで私は飛翔撮影はほぼシャッタースピード優先モードで、各設定値の変化を見ながらシャッタースピードと露出補正を調整するやり方で撮っていました。
その方がシャッターチャンスに集中できると考えていたためです。
しかし現在はマニュアルモードでの撮影を覚えたので、今後は飛翔はマニュアルモードで撮ることも多くなるかもしれません。

AFの設定

AFの設定はかなり独自のカスタマイズを行なっていますが、すべて説明するのはこの場では難しいので、特に重要と考えている2つのことについて話します。
ひとつはAF枠の大きさです。
カメラによって異なると思いますが、OM-1ではAF測距を行う範囲をかなり細かく調整できます。
デフォルトでは画面全部がAF測距範囲になっていますが、この状態ではAFの精度がかなりイマイチで、きて欲しいところにピントが全然きません。
そもそも動体撮影で画面の端っこでピントを合わせたいシーンが思いつかないので、中央60%くらいの大きさのAF枠を作って使ってみたところ、明らかにAFの動きがよくなったので、私はその設定で運用しています。
2つ目はAFリミッターの設定です。
AFリミッターはよく超望遠レンズやマクロレンズに物理スイッチとしてついている機能ですが、OM-1ではカメラ側で自由に設定できて非常に重宝しています。
簡単に言うと、AFのピントが合う距離を制限できる機能です。
例えば、カメラから1m〜3mの距離にあるものにだけピントが合うように設定できます。
これによってピントが背景に抜けてしまうのを防ぐことができます。
体感AF速度&精度まで上がったような気分になる神機能です。
私は実際に撮りながら設定を微調整して使っています。
もはやこの機能がないとAFでの飛翔撮影ができないレベルで依存しています。

連写設定

OM-1はAF・AE追従かつブラックアウトフリーで秒50コマ連写が可能です。
私は秒50コマ連写で、かつプロキャプチャー機能も使って飛翔撮影を行なっています。
プロキャプチャー機能は飛び出しなどの瞬間を狙って「半押しで待機して撮る」という使い方が一般的だと思いますが、飛翔撮影では少し異なる使い方をしています。
飛翔撮影の場合、ピントの合う瞬間は一瞬です。
トンボをフレーミングして、AFを作動させてピントが「来た!」と思った瞬間にシャッターを押すのですが、写真撮影にはレリーズタイムラグというものがあり、実際にシャッターが切れるのは「来た」瞬間より少し後になってしまいます。
私はこのレリーズタイムラグを短縮するためにプロキャプチャーを使っています。

光選び

飛翔撮影では光条件がかなり重要な要素になります。
白飛びや黒潰れはもちろんですが、光条件が悪いとトンボの色彩がうまく写りません。
私は飛翔ではとにかく順光を選ぶようにしています。
それ以外の条件で正確な色を出すのはとても難しく感じるからです。

背景の色

池の開放水面上を飛ぶタイプのトンボを撮ると、高確率で池の水面が背景になります。
何も考えずに撮ると池の水面は緑がかった茶色に写り、なんとも微妙な感じになってしまいます。
私は水面の反射を利用して、できるだけ水面が茶色く見えないように撮ります。
順光で、水面に空が映るように撮ろうとすると、それだけでほぼカメラを構える位置が決まってしまいますが、その方があれこれ考えずに済みます。
ちなみにカメラを低く構えて、水面が画角に入らないようにするという方法もありますが、この時は水面のヒシの葉を入れたいという思惑があったため、水面を入れるアングルで撮りました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
今回はいつもより技術的な内容で、かなり長くなってしまいました。
今回の解説が参考になった、面白かったと思う方はフォローやスキを押してくれると嬉しいです。

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