キャッツ観劇記@静岡市民文化会館③
書きに書いて3本目である。
前回の記事はこちら↓
とりあえず今回の観劇の目玉のひとつ、デビューしたての大井さんのスキンブルシャンクスから。
大井さんのスキンブルシャンクスは4大卒で勤続2年目、折目正しく同僚にもお客さんにも好かれてるアイドル乗務員、といった感じだった。落ち着きと明るさのバランスがいい。そしてご本人の持つ若さゆえの希望と未来に溢れている。
『鉄道猫』といえば途中の「夜行列車の旅は素敵」のところが見どころだったり琴線に触れるところだったりすると思うのだが、そこのワクワク感がすごい。思い出と未来が同居している。「さあ終着駅だ」のところでゆく先を示すその指に明るい未来が見える。私もこの夜行列車に乗りたいと思わせる。死んだらお盆はきゅうりとナスでこの夜行列車を作って精霊馬を作って欲しい。ハイレベルすぎるわ。
そして夜行列車の一番前にワクワク顔で座っているシラバブがまた可愛い。ランプを物凄く張り切って持ってくるコリコパットもまた可愛かった。コリコはなんで常にあんなに可愛いんだ。連れて帰りたい。
大井さんは浅利慶太事務所の『李香蘭』で浅利慶太氏から直々に指導を受けていたらしいからそりゃあ四季の舞台にも馴染むだろうし基礎もしっかりしているだろうが、それにしたって落ち着きと馴染みっぷりが凄い。デビューしたてのスキンブルシャンクスとは思えないくらちゃんと物語が見られて良かった。これから楽しみだなぁと思う。他の舞台でも見たい。
ワクワク感がすごいといえば桒原さんのミストフェリーズが、もうとても良かった。本当に良かった。もうすごく良かった。
私はミストフェリーズにラム・タム・タガーとのバディ感が欲しいと思っている。ミストフェリーズを紹介するのが彼なので、他猫より少し濃いめのエピソードと強めの絆があるのでないかと思っているのがその理由だ。桒原さんのミストフェリーズはそこがよく出ていて、タガーとよくアイコンタクトを取るし、シンクロダンスするところもニッコニコで見つめあっていたのがすごくよかった。マジックをする時の表情が自信に満ち溢れていて「はーい!僕がグレートマジシャンですよー!タガーが言うんだから間違いないでしょ?」というのがよく出ている。そのくせデュト様救出マジックで神妙な面持ちなのが、布を取ったあとの不安な演技と成功したあとの晴れやかな表情の変化に繋がっていてストーリーがとても見やすかった。
桒原さんの演技はタガーだけでなく、デュト様のことも大好きなことがよく分かるし、一幕のマンカストラップにいたずらマジックをかけるところや他の猫との関わりで末っ子の感じがよく出ていて立ち位置が見やすい。その上でダンスがすごくうまいのでもう見どころしかない。名古屋キャッツで一度だけ桒原さんのミストフェリーズを拝見してもう一度見たい!と思っていたのですごく嬉しかった。
バディの話繋がりでいうと、『犯罪王』のボンバルリーナとディミータのペアが好きでもう演者さん誰で見ても常に大満足くらいとにかく好きなのだが、今回も堪能しまくらせていただいた。特に「眠っている時も」で静かに眠っている振り付けから「ほら、見てるわ!」で激しく頭をかきむしって「マキャー」で手を大きく広げる一連の振り付けが本当に好きだ。わかるゥー!って人いっぱいいると思います。
あとこの二匹は『つっぱり猫』でタガーにあしらわれてムッとしてるディミータにボンバルリーナが近づいて「二人で誘惑しちゃう?」と微笑むところが物凄く好きなので、今回下手席目の前で見られて嬉しい。
ボンバルリーナの渡辺さんは初めてお目にかかったがシックでシャープなボンバルリーナですごくかっこよかった。ボンといえば曲線美だが、セクシーに動いてもシャープ。『つっぱり猫』の「気が向く時しか」のセクシーダンスでタガーが気が向く時しか気が向かない理由が本当に分からない。しばくぞタガー。てかホントに何言ってんのタガー。
ディミータは個人的に強そうなら強そうなほどいいと思っているので多田さんのディミータはずっと表情がクールで強そうで良かった。ずっと拝見したいなぁと思っていた演者さんだったので今回見られて嬉しい。正直表情が好みすぎて動きをあまり見てなかったので次ちゃんと動きを見たい。また行く気だ。
ペアといえば外せないのがカッサンドラとタンブルブルータスだが、リフトが厳かで綺麗なペアで大満足だった。
カッサンドラの吉村さんは名古屋キャッツの時にヴィクトリアで拝見して「すごく綺麗なダンスで可愛い表情のヴィクトリアだわ素敵!」と思いながら見ていたのだが、カッサンドラもとても伸びやかで佇まいが清廉で良かった。
タンブルブルータスについては、私は彼にカッサンドラ以外世界に要らないくらいの愛を体現してほしいと思っているのだが、姜さんのタンブルブルータスはカッサンドラを世界のあらゆる厄災から守ろうとしているような温かみを感じられて良かった。
私はこの二匹が『劇場猫』の時に上手でイッチャイッチャしているのを非常に楽しみに見ているのだが、今回はタンブルブルータスがカッサンドラを包むように座り、頭に頭を擦り付けたり、カッサに触るのか当たり前なタンブルブルータスと「いつものことなので慣れておりまして特にリアクションもありません」という感じのカッサンドラの組み合わせで良かった。愛し愛されるのが当たり前のこのペアは大好物です。
ペアで行くと私は『ジェリクル舞踏会』でマキャヴィティが「ジェリクルキャッツは白!」と言ったあとでヴィクトリアが「と黒!」と続けるところのこっそりバディ感が好きだ。
マキャヴィティといえば二村さんのマキャヴィティは名古屋キャッツから何回も勝手にお世話になっているが、声もいいしリズム感もいいし、見せ方もダイナミックでいいし、空中ブランコをギルバートに渡す時に「ヨシ!」と大きく頷いて渡しているのも安全第一でいい。
ヴィクトリアの小島さんはコケティッシュで可愛い寄りで少し幼なげな印象。マキャヴィティとのバトルシーンでマンカストラップの背中にぴょいと乗って威嚇しそうなお転婆さがしっくりくる。月の下で伸びやかに踊るところが本当に屈託なく気持ちよさそうで素敵だった。
もうここまできたら全猫分の感想を書きたいので一気に書いてしまおう。
大森さんのタガーは何故かすごく安心して見てしまっていたのだが、一緒に見たキャッツ担の友に「歌がCDかと思うくらいそのままだった」と言われてそのせいだ!と気づいた。歌が安定しまくっていて危なげなく見られて良い。ダンスはとにかくカッコいいし長い足がカッコよく上がるし表情はいいし歌は安定しているし、タガーのお手本みたいなタガーだった。つっぱり猫なのにお手本とは。
バグパイプのところの表情は本当に可愛らしくてズルかった。
あとジェミマ。今回ジェミマを演じていた藤田さんを名古屋キャッツのディミータで拝見してから動きがとにかく好きなので、ダンスに溢れんばかりの期待をしながら拝見したが『娼婦猫』の歌も良かったので好きなところがまたひとつ増えてしまった。ありがたい。
タントミールの高田さんはもう相変わらずポージングが美しい。開幕のあのシーンがもうむちゃくちゃにいい。そして他の猫に向ける笑顔が可愛い。『おばさん猫』で三匹でつるんでいたり『鉄道猫』でスキンブルシャンクスのお世話をやいたりするところの眼差しが優しくて、慈愛のお姉さんという感じの素敵なタントミールだった。ガスのナンバーでシラバブと遊ぶランペルティーザを暇つぶしに弄っていたのも良かった。全然ガスの話聞く気ないね、いいと思うよ。いいんだ。
カーバケッティの河津さんも、もうカーバといえば河津さんくらいずっと河津さんで見ているのだが毎回お芝居が違うので本当に楽しい。今回はバストファージョーンズさんのナンバーで四方八方を仕切り回していて気が休まらなそうで良かった。そしてダンスのキレがいい。
あ、名古屋キャッツのデジタルスタンプラリーのポストカードは河津さんのサインをいただきましたありがとうございます家宝にします、と届かぬお礼をここで言わせていただく。
シラバブの山梨さんは初めて拝見したがフレッシュで可愛い。生まれたての子猫、という設定通り、もうなんにも分かってなくて、全てが新しそうだった。メモリー後の手を差し伸べるところでちょこっとグリザベラの顔を覗くようにしてからちゃんと手を握るのが幼くて良かった。
ジェニエニドッツの花田さんも、もう散々お世話になってますジェニさんなのだが、おばさん具合が大好きだ。『おばさん猫』ゴキタップのお見本タップをしている時の張り切り具合や、シラバブのお世話をやいているところやカーバケッティからスプーンをもらうところ、他の猫との関わりも常に明るく優しいので見ていて楽しい。そのぶんマキャファイト後にやられたマンカストラップに不安そうに近づいていくところの表情が際立っている。
タップといえば余談だし悪口になってしまうのだが、私は昔から劇団四季のタップだけは「もうちょっと……頑張っていただいて……」とずっと思っていたのだが、名古屋キャッツで久しぶりにタップを見たらすごくじょうずになっていて心底驚いた。四季すごい。もう大好き。一生タップは四季だけでいい。というのはさすが言いすぎた、『24ndストリート』とかも見たい。
ということで、ダラダラ3本にもわたって静岡キャッツの観劇記を書いてしまった。やはりキャッツはいい。何度見てもいい。もう一度静岡キャッツのうちに見たいが、もうすぐ名古屋で『バケモノの子』も始まるし大阪で『ウィキッド』も開幕したし『JCS』も見たいしなんなら『アニー』は見に行くことが決まっているし、悩ましい。早く舞台を見るのが仕事になる観劇三昧の身分になりたい。どんな身分よ。
とかやいやい言っているがたぶんまた普通に見に行く。