キャッツ観劇記@静岡市民文化会館②
前回の続きを書いていこうと思う。
こちらが前回の記事。↓
24匹の猫ずつシーンごとに満遍なく書いていくと聖書ぐらい長くなるので思いつくところからバッと書いていこうと思う。とか言いながらそれでも記事が長くなる未来が既に見えている。
何はさておき大好きなナンバー、『グレート・ランパス・キャット』である。
このナンバーはランパスキャットは勿論、突然この話をし始めるマンカストラップの動向とその様子を窺いにくるカッサンドラ、生暖かい目で見守るデュト様に注視して見ている。
マンカストラップが「舞踏会の支度を!」と自ら指示を出したにも関わらず「その間に物語をひとつ」と全然関係ない話をしはじめるのだが、この日はマンカストラップの雰囲気がわりとカジュアルめだったのも良かった。「あっ、そういえばこの話するわぁ」みたいなノリである。絶対今じゃない。
バッ!と構えて舞踏会用の気持ちを作ったにも関わらず中断されて当然のようにざわつき出すジェリクルたち。その中で「えー?なになに?」と切り替えが早いコリコパットと何も分かってないシラバブが可愛い。
急にどうしたのかとマンカストラップの様子を横まで見に来たカッサンドラがちょっと話しかける感じじゃないな?と何とも言えない絶妙な表情をしていてツボだった。デュト様の様子は我関せずで「好きにしたらええ」という感じである。懐が深い。
そしてランパスキャット…もとい、グレート・ランパス・キャット登場は、もうあの大袈裟なスモークの演出が既に面白いし、ランパスキャットが現れるなりノリの良さを見せつけながら非常に楽しそうに大きく踊ってくれたのですごく良かった。マント捌きも綺麗だし、大見得を切る時も伸びやかな動きでポージングしてくれるので最高である。足ぴょこも可愛かった。今日もありがとう、ランパスキャット。面白か…いや、素晴らしかったよ…。
紙谷さんは名古屋キャッツで見ていた時よりずっと大人っぽいランパスキャットになっていて、でも相変わらず思いっきり大きく動いてくれるし、キャラクターを見せてくれるところも格段に増えたし、見るたびにどんどん良くなっていく演者さんだなぁと思っているのだが今回もやっぱり良くて今後も楽しみにしています(急に敬語)。
このあとランパスキャットは「ジェリクルキャッツ出てくる」というデュト様の呼びかけでひょっこり出てくるのがジェリクルの自覚があっていいと思う。
このナンバーが終わった後、デュト様が「ジェリクルも犬も土に還るね」とそれっぽいことを言って締めている最中にマキャヴィティが現れ、皆が散り散りになってこの場は収まるが、マンカストラップはそれがなければこの場をどう収めるつもりだったのかは非常に興味がある。
泥棒猫のナンバーはとにかく可愛いらしかった。登場時、高笑いするランペルティーザを「しー!」と黙らせるマンゴジェリーにランペルティーザもまた「しー!」とやり返し、二人で「しー!」の応酬をし合って、最後マンゴジェリーが笑っちゃっていた。可愛い。
ナンバーの途中で袋を投げ合ってキャッチし合うところもマンゴジェリーがランペルティーザに向かって「袋!取れた!キャッチできた!」と嬉しそうに袋を振って報告していたのも可愛らしい。このペアは似たものカップル、という印象がある。とにかく可愛い。
清水さんのランペルティーザは何度か拝見しているが、いつ見ても演技も声も安定しているので安心して見られるし、ころころぴょこぴょこ動くのがどのシーンを見てももうずっと可愛らしくて大好きだ。このランペルティーザを飼いたいが飼うと大変そうではある。たぶん気づいたら家出していなくなっている。
森田さんのマンゴジェリーは芝居が非常にうまいと思った。以前ギルバートで拝見したことがあって、その時は殺陣の見せ方がべらぼうにうまい人だなと思ったのだが、キャラクターの思考と行動の流れを体現化するのがうまいのかなぁと思う。ストーリーを流すタイプの演技をする方という印象だ。他の役も見たい。
芝居がうまいといえばコリコパットの羽賀さんが前にギルバートを見た時から非常に見どころが多い演者さんだなとついつい視線を奪われてしまう。ギルバートはかっこよかったけど、コリコパットもきっと上手く演じてくれるんだろうな、と思っていたら予想通り可愛くて見どころが多くて良かった。つっぱり猫のナンバーの途中、ボンバルリーナの後ろで頭をぐるんぐるん回すのが好きなのでそこを野生味溢れながらも可愛く演じてくれて嬉しかった。細かいお芝居もたくさんしてくれて目が忙しい。他の猫でも見たいので24匹全部やって欲しい。性別の概念は消えた。
演者さん語りついでに分部さんのマンカストラップの話なのだが、私はマンカストラップには温かみのあるリーダーシップとさりげないポンコツ感があって欲しいと思っている。分部さんのマンカストラップはそこが物凄く好みのバランスで、この日もジェリクルたちに向ける温かみ溢れる視線の交わし方や、デュト様を自分のために、みんなのために大切に守ろうとしている柔らかな強さ、そしてデュト様救出マジック成功後に前転だか側転だかで車輪のように移動してくるミストフェリーズを万感の思いを込めてハグしようとしてスルーされるという、感動のあまり無謀な感情表現に走ってしまっているところがキャラクターにしっかりはまっていて良かった。体をぶん回しながら転がってくる相手をハグするのは無理だマンカス。見極めろ。そこは退け。そしてミストはよく避けた。
バランスで言うと、やはり私は金原さんのグリザベラの演じ方がとても好きで、一幕半ば、一幕終わり、最後のメモリーの感情の流れの見せ方が綺麗だと思う。
特に一幕終わりの誰にともなく踊り、うわごとみたいに歌って下手に去っていくところが好きだ。捨てられない過去を抱え込んで辛くて、それでも「苦しい幸せ」に浸っている感じが伝わってくる。
あそこはデュト様の演技でこの後の『幸せの姿』と『メモリー』の受け取り方が決まるので、ハケるグリザベラも見たいし立ち上がるデュト様も見たいしで静かに忙しい。
もう順番とか読みやすさとか全く考えずに好き勝手書いていくが、見どころで言うと私は劇場猫のナンバーでガスが「喝采浴びた当たり役、この世の名残に見せようか」と歌うところに1番注目している。
なんせこの世の名残に見せてくれるのだ、ガスにとってはこれが最後のお芝居になるかもしれない、と思って見てしまうせいでついついポロポロ泣いてしまうのだが、今回日浦さんのガスが比較的お若くて、またジェリーロラムが乗せじょうずっぽかったので、わりとちょこちょこグロールタイガーを演じてくれそうでワクワク感の方が勝り、そこで泣くことはなかったのだが、海賊猫のナンバーのあと、翻った旗の向こうに佇むガスを見るともう二度と舞台には戻ってこないような寂寞感があった。グロールタイガーが今まで見た中で一番元気だったのもあって「お芝居辞めたのはなんかあったんだろうなぁ」と尚更胸を打つ。そっちで泣かせにくるのかー。
三代川さんのジェリーロラムがとても可愛らしく、海賊猫のナンバーのグリドルボーンの悪女っぷりも表情の演技がコミカルで愛嬌があって良かった。キエーラがとても綺麗。名古屋で一度だけ拝見できて、もう一度見たいと思っていたので嬉しかった。もう何歌ってもどんな時でも声がこちらにバンバン響いてきてありがたい。
海賊猫はもう本当に最初から最後まで楽しく見られた。日浦さんのグロールタイガーは雄々しいし、クリューはなんだかんだ楽しそうだし(ミストは〆られてたけど)全体的にアッパーな印象だった。キャッツ担の友人がグリドルボーンを迎えにいくのがよく見える席に座っていたのだが、マンゴジェリーがオフマイクで「こちらですこちらです」とグリドルボーンをいざない、マンカストラップが咽び泣いていたそうだ。グリドルボーンの美しさがクリューの情緒を乱している。罪な猫である。
ギルバートも「恨みつらみ…」の口上からずっとカッコよく、殺陣も動きが大きくて良かった。
後藤さんのギルバートはサイアミ達がグロールタイガーに四方八方から剣を刺すところは手を動かさないタイプのギルバートだった。あそこギルに注目してる人多いと思う。
ついでに後藤さんのギルバートの話をするとバストファージョーンズのナンバーで、ゴルフボールを投げるところのふくれっ面がすごく可愛かったのでまた見たい。
そしてまたついでに日浦さんのバストファージョーンズさんの話をしてしまうが、自ナンバー後にマキャヴィティが出てきた時、ジエニエニドッツを庇って逃していたので「漢らしい!」と思っていたらあの小さいスプーンに隠れようとしていたので「そりゃ無理やで」と心の中で突っ込んだ。
観劇記の適正な長さが分からないのでとりあえずこの記事もここまでにして続きはまたアップしようと思う。ほらやっぱり長くなるやーん。
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