マンスリーレポートVol.2(2022.02) エミリアロマーニャ州Castel dei Britti&トスカーナ州Marzocchino
マンスリーレポートVol.2(2022.02) では、エミリアロマーニャ州Castel dei Britti&トスカーナ州Marzocchinoの旅の様子をお届けします。
エミリアロマーニャ州Castel dei Britti
まずは、私の本拠地、エミリア・ロマーニャ州から。
この州は、山側のエミリアと海側のロマーニャからなります。
私が住む街ボローニャは山側のエミリア。肉や乳製品をたっぷり使用した重厚な伝統料理が目立ちます。
今月はまず、ボローニャの郊外Castel dei Brittiの家庭へお邪魔しました。
学校が始まって「マンマを訪ねて3000里」のことを話すと、ボローニャの生まれ育ちのクラスメイトが早速にご両親のお家を紹介してくれました。
街を出るとすぐにパダナ平原が広がります。その平原の中を車を走らせること約30分、小さなお城が見え、その麓におうちがありました。
17世紀に建てられた、中世の名残のある台所です。
今回は、最もクラシックな料理「タリアテッレ・アル・ラグー・ボロネーゼ」を。
あまりにも有名なので、もっとディープな料理を習いたい!と思ったけど、まずはここからと。
しかし、きちんと習ってみると驚くべき発見がありました。
例えば、ラグーにはほとんどトマトを使わないこと。
トマトはコロンブスのアメリカ大陸発見後の約500年前にイタリアに持ち込まれた新参者。コテコテのボローニャ人は、先祖代々食べてきたように、トマトを入れず肉肉しい白いソースを作るのです。ボロネーゼソースは、トマトソースと思っているとビンタを食らいました。
それから、レシピには書かれていないけれど、やはり重要なのは時間。お昼前に作り始めて、晩御飯に食べるまで、約6時間くらい煮込んでいましたね。
その間にランチに土地の色んなチーズや手作りジャムを味見させてもらったり、私が茶道の抹茶を入れたり、近所の丘を散歩したり。
パスタを手打ちで打って、ついに完成!
やはり時間をかけ、手間をかけた料理は最高。旨味が優しくまわり、本当に美味しかったです。
トスカーナ州Marzocchino
2月の最後の週は、トスカーナ州のPisa県のMarzocchinoへ。
フィレンツェから海に向かって1時間半、人口3000人程度、小さな村です。
このご家庭とのご縁は話すと長くなるのでいつか別のところで。3年前ここからほど近い海沿いの小さな街で、ある70歳の日本人と出会ったことからこの物語が始まります。
さて、この土地の料理とは。
まず、着いてすぐに作って頂いたランチがこちら。
見たことありませんか?
ジェノバを代表する「トロフィエ・アル・ペスト・ジェノベーゼ」にそっくり。
「ピサ風ペスト」、クルミやバジリコを練り込んだソースのパスタです。
この土地に来てみて気づいたのは、もやはリグーリア州のようだということ。
というのも、トスカーナとはいえ、フィレンツェよりもジェノバに文化が近いからです。海に近いこの街は、トスカーナ州とはいえ内陸のフィレンツェやアレッツォとは異なる歴史を持ちます。
Marzocchinoは海洋国家ピサ共和国やルッカ共和国の覇権下にあり、同じく海洋国家で長年のライバルであるジェノヴァとは、友として、敵として、活発な交流があり、互いに多大な影響を受けています。
それから、こちら。「チェチーナ(Cecina)」というそうです。
これもジェノバのストリートフードの代表「Farinata」とそっくり。
ちなみに、この食べ物がどうして生まれたか?
1284年、ライバル同士のPisaとGenovaの海戦で、ジェノバの勝利後、大嵐にあい、船が揺れに揺れて、船の載っていたオリーブオイルとひよこ豆、そこに海水が混ざり、翌朝、甲板に薄く伸ばされて太陽で焼かれたら美味しかった、とのこと。
嘘か本当かはさておき、この有名なメロリアの海戦の728年後の今、こうして美味しく食べているわけです。
この夜の食卓は、船乗りのセレンディピティで持ちきりでした。
こちらはTordelli。ルッカを中心としたこの辺りの郷土料理。
次回は生地から教わります。
その他
ようやく新しいお家が見つかりました。
小さいながらテラスからはボローニャらしい赤い屋根の景色が広がり、ここで朝カプチーノを飲む時間は夢見心地のようです。
ヴィアレッジョのカーニバル。
ヴェネチアと並ぶ2大カーニバル。トスカーナ州ビアレッジョは巨大な紙製の山車が有名で、山車にはそれぞれに政治的・社会的メッセージがあります。
いつも一緒にいるクラスの仲間。
多様で優秀で優しい。切磋琢磨しあえる仲間に恵まれたことは本当に幸せなことです。
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