15年間放置の1型フュージョン DIY修理
このフュージョンの略歴
距離メータ、49920Km。
15年前、来た時には何とか動いたエンジン、今は不動。
セルモータのスターターリレーも動かない。
長男が先輩から譲り受けたものが、雨避けカバー1枚だけを被って15年間も庭のすみに放置されていた。
セルモーターを分解整備
まず、セルモーターを分解してみた。
長いボルトを2本緩めて外し、ケースを分離していくと、奥にブラシがある。
だいぶ減っているが、もう少し使わせてもらう。
バッテリー
古いバッテリーを交換する。
新しいものは古河電池製。15000円ほどもした。
キャブレターに付属のオートチョーク、エアカットバルブ
オートチョークをチェックした。
電熱線が介装されていて、それがバイメタルを温めると中からニードルが伸びてきて、チョークがオープンになるらしい。
なので抵抗値はこのくらい。
オートチョークの隣にエアーカットバルブがある。
普段の空気量は、スロージェットの設定量になっていて、このバルブは閉じている。
エンジンブレーキとかでアクセルを閉じたときにマニホールドに生じる負圧を利用して、このバルブをオープンにする。
すると空気量が増えるから、混合気の空燃比が上がって、ガソリンが薄くなる。
それでエンジンブレーキ時のアフターファイアーが減る。
(空燃比とは:空気量g/ガソリン量gの値。ガソリン1gを燃焼させるのに14.7gの空気が必要なので、理論空燃比を14.7としている)
組立ての時に液体パッキンを塗り忘れたら、アイドリングは良いのに、回転を上げようとするとエンジンがストールしてしまった。
液体パッキンを塗ってOKに。
パイロットスクリュー
パイロット・スクリューの調整。
働きは、アイドリングのときにエンジンが吸い込む「空気と燃料の合わさった混合気」の総量をこのパイロットスクリューで調整するらしい。
とすると、下の画像に書き込んだスクリューのこの戻し量、
「2+9/10 回転もどす」
は少し戻し過ぎかもしれない。
初期のタイプのキャブレターで「2回転と2分の1」、
その後の新しいタイプのキャブレターで「2回転と8分の3」、が標準量らしい。
いずれの量にしても、一旦キャブレターを外さないと調整できないから少し面倒。
何かうまい手は無いものか。。。。
キャブレターを載せたままでもこのスクリューを調整できるようなミニドライバーを作ってみた。
このマイナスドライバーで調整した実例と、手描きの作業図を下に載せた。
上段の作業図、「2+9/10 回転もどす」で1か月間ほど乗ってみた。
まだアイドリングがやや不安定。
手描きの作業図、中段。このフュージョンは初期型で、キャブも初期タイプと推定している。
だから、この「2+1/2」戻し量がこのエンジンでは基準量かもしれない。
それで今日、あらためてこの設定量に変更してみた。
手描きの作業図、上段の戻し位置「9/10」から、アバウトだが120度、時計回りに締めこんだ。
手描きの作業図、下段。これもネットから拾った情報。
このキャブレターは、本体フュージョンより後のモデルに搭載のキャブなのかも。。。と推察してみた。
もう少し観察が必要と思うが、今日のところはアイドリングが安定したようにも感じる。
後記(自分の整理のために)
私が今まで使っていた言い方の「パイロットエアスクリュー」と云う言い方は、エアスクリューと混同しそうで、紛らわしい。
こんな英文があった。
The pilot screw adjusts the amount of air mixture,
whereas the air screw, which adjusts the same idle area, adjusts the amount of air before it mixes with gasoline.
ヤマハ純正「キャブレタークリーナー」はなかなか良い
愛用しているヤマハ純正のキャブレタークリーナーで2回洗った。
フロント・ディスクブレーキのまわり
フロントブレーキのマスターシリンダーは、もう使用できないか?と心配するくらいなヒドイ状態。
硬めの筒状プラスチックブラシで4-5回洗った。
ここまでヒドイ消耗は初めて見た。
ディスクローターが縞模様に削れていた。
リア・ドラムブレーキ
リア・ブレーキはフロント・ブレーキほど消耗していない。
駆動系、クラッチドラム、ベルト、ウェイトローラー
右側のクラッチはNK企画さんの新品に交換した。
その奥のムーバブル・ドリブン・フェイスセットは分解してグリスアップした。
ドライブベルトは国産を選んで交換。
左側のフライホイールに介装されているウェイトローラーを交換した。
純正と同じ33g/@にした。
「交換時にベルトをフライホイールの内側に押し込まないように」、
とネット上に注意書きがいくつかあった。
自分流では、プラグを外してシリンダーの圧力を0にすればクランクシャフトが簡単に回る。
そうしておいて、ベルトを装着し、フライホイールナットを8分の一回転ずつ、少しずつ締めていきながら、全体をカウンタークロックワイズに回していくと、割合スムーズに装着できる。
エンジンハンガー、ブラケット交換
エンジンハンガー・ブラケットの右側のブッシュが、インナー、アウター、ともにヒドイ消耗で、少し驚かされた。
ものたろうを検索したら、まだパーツがあって便利させてもらった。
ウォーター・ポンプ
ウォーター・ポンプのカバーを固定している4本のボルトのうち、最下位に位置するクーラント交換用ボルトが、ポンプの中で腐食していた。
内部に残ってしまった切断片が簡単に外れたからよかった。
燃料タンクをエンジンの上に移動
評判の良くない燃料ポンプを使いたくなかったので、燃料タンクはキャブレターより上部に位置するように変更する。
高い位置に取り付けると重心が上に移動するから、燃料を満タンの13リットルまで入れる事はやめておく。
5リットルを限度としておこうと思う。
ウレタン・プライマーで塗装
タンク内部は恐ろしいほどの錆。
内部の錆を精一杯落とし、外側は2液ウレタンのプライマー・サーフェサーで塗っておく。
1型フュージョンのフレームのこの部分が特に好き。
フロント・フェンダー、リア・フェンダーを作る
フェンダーは前後ともに自作した。
0.8mm厚の鋼板製。
プラスチックの外装を外した
プラスチックの外装は15年間も紫外線を浴びて、ボロボロに。
外装はすべて外して、フレームの構造美を楽しむことにした。
修理前の姿。
ドライブレコーダー取り付け
カメラが2つあるタイプのドライブレコーダーを取り付けてみた。
この45年間に遭遇したもらい事故は、3つ。
その3つとも、左側から飛び出してきた車と接触した。
だからこのドライブレコーダーの設定は、側面を記録することが出来るように、2つのカメラをそれぞれ斜めに傾けて、取り付けてみた。
右側のカメラはソニーの製品で、左側のチャイニーズものより少し画角が広いようだ。
試運転して、左右の画像を比べてみた。
フュージョン本体からの電源の取り出しは、ラジエーターのクーリングファンのヒューズボックスから取り出すことにした。
電源はヒューズの下流のターミナルからとった。
下流のターミナルの側面のプラスチックを2ミリほど削って、出てきた金属の端子をよく削って、それから半田付けをする。
CDIを新しくしてみた
5万kmも走ってきたのだし、CDIが心配だからネットで探していたら
「Plecomi Motor」さんという修理サイトがあった。
そこにこの初期型のフュージョンに適応のCDIがあったので、交換してみた。
古い方は予備に積んでおけば安心だ。
交換して直後は今までよりアイドリングが少し高くなった。
しばらくすると元の通りに落ち着いて安定している。
オートチョークが付いているエンジンの、始動後の回転数変化に似た感じがした。
はて、今まではオートチョークが効いていなかったのか???
しばらく様子を観察してみよう。
レクティファイアー / レギュレータからの電線を修理
修理完了する前、充電電流を確認していた。
アイドリングで14.3V程度。
安心していたら、2か月経過の今頃、走行後にバッテリーが上がり気味に。
こりゃおかしい。
アイドリング中にこのレクティファイアー / レギュレータが温かくならない。
正常に通電していれば温かくなるハズ。
フルークのオシロスコープで充電電流をチェックしてみた。
直流にはなっている。でも12.9Vにしかならない。
こりゃぁ、バッテリーだけの電圧だ。
レクティファイアー / レギュレータからバッテリーへ行く途中のコネクタ・カプラーをチェックしたら、赤のプラス電線がコネクタの接続部分で腐食していた。
これを交換して電圧が元へ戻った。
アイドリングで14.3V以上、少しスロットルを上げると14.5Vに成った。
やれやれ。