ワクチン接種、何が日本の問題か
〇私の住む東京・練馬区ではワクチン接種について、区役所が4月11日付の区報で、「「5月下旬から75歳以上、続いて65歳以上に接種を開始できる見通し」と言ってきました。練馬区はワクチン接種を公共施設での「集団接種」だけでなく地域の病院での「個別接種」でも行うという「練馬方式」を提唱したとされるワクチン対策には熱心なところです。しかし4月26日現在、まだ具体的にワクチン接種を約束する接種券の送付はなく、接種時期について新しい情報の連絡もありません。
75歳以上の。高齢者である私は接種の場所として「個別」を選び、かかりつけの医師に接種を予約して いつ頃接種できるか聞きました。
医師「6月中には接種できると思うんですがね」
私「えーつ、政府は繰り返し高齢者の接種は4月12日から開始、と言っていたんですよ。そんなに遅れるんですか」
医師「高齢者について4月半ばに摂取開始というのは菅首相が関係者と話を詰めずに言ったんんでしょう。高齢者の前に医療従事者のワクチン接種をすますとも政府は言っていましたが、これも遅れ、私もワクチンを接種できていませんよ」
〇確かに菅首相は2月2日、第2次緊急事態宣言を10都府県で3月7日まで延長することをを決めた際の記者会見で、2月中旬から医療従事者への接種を開始し、高齢者は四月から接種を進める」と述べています。しかし、その後の接種の実績と準備状況はは全く不十分です。4月13日の日経新聞によると、日本のワクチン接種の遅れは際立っています。英「オックスフォード大学の研究者らのデータベースによると、人口のうち1回打った割合が日本は4月10日時点で0・9%。英国(47%)や米国(35%)との差は大きく、経済協力開発機構〈OECD〉加盟35か国で、下から2番目になっています!
〇私は、ワクチン接種の遅れは国民の命に関わる大問題であり、何としても改善していかなければならないと思います。しかしそれ以上に問題だと思うのは、菅首相を中心とする現在の日本の政治が機能不全に陥っていることです。そのことがこのワクチン問題の経緯に表れています。
〇政治の機能不全の理由その1は,菅首相が世の中の真実に向き合わず、国民に真実を知らせようとしないことです。ワクチン接種が遅れている最大の原因は日本のワクチン獲得が大幅に遅れているためですが、菅首相はワクチン接種が大きな問題になってきた2月以来、それを言わず、希望的観測でワクチンの早期接種を言って、国民に幻想を抱かせています。先の2月2日の会見でも、他国に比べ接種が遅れていると指摘されると「ワクチンの確保は日本は早かったと思う(真逆のことをよく言うよ!)が、接種までの時間が遅れて…」と述べました。
〇また、4月23日の衆院厚生労働委員会で、前回の緊急事態宣言の解除(3月18日発表)の責任を問われ「大阪、兵庫の変異株というのは当時出ていなかった」と弁明しました。しかし、神戸市は1月下旬から変異株の検査を実施し、3月17日には厚労省が、26都道府県で399人から変異株が検出されたと報告しています。4月25日の東京新聞の「本音のコラム」で前川喜平氏(元文部科学省事務次官)は、こうした事実を指摘した上で「首相としての基本的姿勢が問われる問題だ。日々国民の命を守ろうと考えていたら、絶対出てくるはずのない言葉だからだ」と憤慨しています。菅首相の口からは、平気で大きな間違いーウソが出てきます。大本営発表で国民をだました、戦前の軍部のようです。
〇政治の機能不全の理由その2は、政権のリーダーたる菅首相に衆知が集まってこないこと、とくに官僚の知恵がどこかに行ってしまっています。国民全体とは言わずとも、政権を支える立場の人たちが本気で知恵を出せばワクチンを配る問題でももっとみんなが納得するやり方があるでしょう。ワクチン配布の原則は簡単明瞭、池田元首相の名言に倣えば、「等しからざるをまず憂う。勿論、乏しきも憂う」。
なぜ菅首相に衆知が集まらないか?みんな分かっているでしょう、官僚の場合、どんな良い意見を言っても、菅首相の考えていることと違えば、人事権を使って飛ばされる。そんな心の狭い人のために、誰が汗をかいて、知恵を出すものですか。
〇問題は権力に遠慮するところがあるわが国民の反応です。しかし、4月25日投票された菅首相就任後初の国政選挙、不戦敗を含めて3選挙区自民党全敗となりました。間違いなく、菅首相への厳しい評価です。日本も再生に向かって動き出したようです。##
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