コロナウイルス感染/2020年4月11日時点「このところ急増、何が原因か?」

〇日本のコロナ感染者がこのところ急増しています。東京都の感染者数は4日連続してこれまでで最多を更新し、昨日4月10日は197人でした。日本全体でも新たに感染が確認されたのは743人で、これまでで最多の感染者でした(2020年4月11日、朝日新聞など)。なぜこんなに感染者が急増しているのでしょうか。わたしは、最近コロナ感染者が多数確認されていること自体に驚いているのではありません。その前、4月初めまで少なかったのに、急に増えているのが不思議だ、と思うのです。

〇持って回った言い方はやめましょう。ズバリ、検査数が多いか、少ないか、そのことが感染者の確認数にそのまま反映されているのではありませんか。すでに皆さんご承知の通り、日本はこれまで際立ってコロナ感染の検査数が少なかったと言えます。日経新聞は4月2日の朝刊1面トップで、「コロナ検査 世界に遅れ 1日2000件弱 独の17分の1」というショッキングな大見出しで、日本のコロナ感染対策が大幅に遅れていることを訴えました。ドイツとの比較は3月20日までの検査数を人口100万人当たりで比較したものです。日経の記事は、さらに「感染の実態を正確につかみ、きちんとした対応策を打ち出すには、検査の拡充が欠かせない」と指摘した、良い記事です。

〇ただ、日本の検査の遅れは、かなり前から指摘され、例えば、この記事より1か月以上前の2月26日の東京新聞の朝刊。「加藤厚労相は2月17日、『国内で1日最大3800件の検査ができるようになる』と発表したが、18日以降も1日39~104件にとどまっている」と追及。この記事につけた見出しが、なんと、「『政府による隠蔽疑い』」!
 記事は識者の声として、「検査すれば感染者が増え、日本への渡航禁止をする国が増えれば、外国人観光客は激減する。その先にあるのは五輪の中止だ。検査しようとしないのは、問題拡大を恐れた『政府による隠蔽』と疑われても仕方がない状況」としています。

〇厚労省は3月末から「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について」というサイトで毎日、コロナ感染の状況を説明しています。それによると、4月11日現在、1日にに行った検査数は国内は4866件、空港での検疫を合わせると6120件です。2月、3月段階に比べると大幅に増えており、それに伴って感染確認者が急増していることは理解できます。しかも感染確認者は確認されたのは現在でも、感染したのは、その多くの人々が2月、3月段階だったことは、容易に想像できます。

〇検査者数が大幅に増えていると言いましたが、国際的に見るとまだ少ないことは明らかです。厚労省のサイトには1月から4月11日までの都道府県別の検査人数とそれによって判明した陽性者数が載っています。それによりましと、日本全体では検査者数は6万3132人、陽性者は6616人で、後者を前者で割った陽性率は10.5%。国際的には5%前後の国が多く、日本は陽性率が飛びぬけて高いと言えます。これは感染者が多いことを直ちに示すものではありませんが、検査数が少ないことを裏側から示すものではあるでしょう。割り算は割る数が小さくなると、答えが大きくなりますからね。

〇都道府県別に陽性率を比較しますと、東京都が33.8%、大阪府が32.5%で、この2つは異様なほどの高率です。コロナ抑制対策で、基本となる感染検査などの地道な取り組みに欠けていたのでは、と言われても否定しにくいでしょう。

〇安倍首相にしても小池都知事にしても、国民に対し、80%外出を控えろ、と叱咤し、事態を解決するのは、国民の自覚と努力だ、とする口調が目立ちます。しかし国民をここまで苦しい立場に追い込んだのは、そもそも、政治の怠慢もあるということを自覚してもらいたいものです。


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