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総裁選と総選挙 争点は相似形 しかし方向は?

〇自民党総裁選挙は、2021年9月17日公示され、4人が立候補しました。9月29日投開票され、新総裁が決まります。10月4日、国会が開かれ、新総裁がとりあえず菅首相の後の新首相に選出される見通しです。しかし現在の衆議院議員の任期が10月21日に迫っているため、新首相の所信表明演説、各党の代表質問などの日程を済ませた後、遅くとも11月には総選挙が行われ、その結果に基づいて真の新首相が誕生することになります 

〇今後の日本に大きな影響を与える政治スケジュールはほぼ固まっているわけですが、そこで問題とされる政治の争点は何でしょうか。菅首相の退陣のいきさつから、それも決まっていると言えます。菅首相は、9年間の菅・安倍政権の強権的、独善的な政治姿勢(民主主義ではない!)、その結果としてのコロナ対策の失敗(いわゆる先進国の中でなぜ、日本がワクチンの接種率で最後塵を拝さなければならないのか)、コロナ感染者が拡大する中でのオリンピック開催(安心、安全のはずが、開催中コロナ感染者が爆発的に増えたのはなぜか)、飲食業者を代表とする経済の疲弊(なぜ、飲食業者が特別に苦しまなければならないのか)などで、国民の信頼を失い、退陣を余儀なくされました。

〇ここまで続いた安倍・菅政治をどう評価するのか、そのまま継続させるのか、大幅に変革するのか。それが自民党総裁選でも最大の争点であることは、安倍・菅政治の現在の代表者だった菅首相に対し、自民党内で、「選挙の顔にならない」という声が高まり、そのことが菅首相に退陣の決意をさせる決め手となっと思われることからも明らかです。

〇総選挙では、安倍」・菅政治の評価がそのまま争点になることは当然です。野党第1党の立憲民主党は9月7日、総選挙に向けた公約の第1弾として、「政権発足後、初閣議でただちに決定する事項」として、7項目をあげました。その第1では、「少なくとも30兆円規模の補正予算では、医療提供体制の強化や持続化給付金の再交付などを実施するとしています。そして7つの事項のうち、3つは、▽日本学術会議人事で任命拒否された6人の任命▽森友学園に関する決裁文書の改ざんに関与させられ自殺した近畿財務局の職員が残したとされる文書の開示▽森友・加計・「桜」問題真相解明チームの設置、として、安倍・菅政権の疑惑―政治姿勢そのものを追及していく方針を示しています。

○このように自民党総裁選と総選挙の争点は、相似形というか、安部・菅政治をどう評価するか、と
いう、全く同じものと言えます。しかし、その争点への対応は全くとは言わないまでも、相当異なると言えます。まず、自民党総裁選。自民党の人たちが、これまで支えてきた安倍・菅政権をどこまで批判出来るのでしょうか。事実、4人の総裁候補のうち、まず、河野太郎行政改革相、岸田前政調会長は、安部・ 菅政権の疑惑―政治姿勢にかかわる問題についての追及―調査についてはいずれも及び腰です。この問題が、今なお党内で強い影響力があると思われている安倍前首相、麻生副総理にとって、嫌な問題で、下手につつくと、集票にマイナスと思っているからです。
候補の一人、高市早苗前総務相は、安部前首相の支援を受けており、安部・菅政権を批判するというより、擁護する立場です。

〇もう一人の候補、野田聖子幹事長代理は、疑惑の事件については「疑われているなら、そうでない証明もすべきだ。それをやっていないことは事実だ」と、ただ一人この問題について明快な立場。しかし、立候補表明もギリギリ最後なるなど、非力感は覆えず、最大に見積もっても、4分の一の勢力かと思われます。

〇このように見てくると、自民党総裁選と総選挙、争点は同じですが、その目指す方向性は必ずしも同じではありません。勿論、自民党総裁選より、総選挙が大事ですが、総選挙の意味合いを理解するのに、自民党総裁選での論戦、選挙結果が大いに役に立つ、といえそうです。##

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