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アフガン退避問題 日本の取り組み

〇アフガニスタンの首都カブールの国際空港付近で2021年8月26日に起きた自爆テロで、米軍兵士や市民ら170人以上が犠牲になりました。過激派組織の「イスラム国」の支部組織が犯行声明を出したということです。「世界の警察官」アメリカにとって、威信を問われる事件であり、バイデン大統領は窮地に追い込まれた、と盛んに報道されています。

〇しかしアメリカの都合はともかく、日本にとってはこの事件の当面の意味は、ただ一点。この状況下でアフガニスタンに居る日本人関係者を無事日本などへ退避させることが出来るかどうか という問題です。
そして、そのことが難しいとすると、なぜそうなったか、追及されなければならないでしょう。そこで、空港付近での自爆事件の翌日とその次の日の朝日、毎日、読売、日経、東京の各新聞を読んで、問題を検討してみました。

〇政府によると、アフガニスタンに残っている日本人は数人ですが、日本の大使館や国際協力機構(JICA)の職員をしてきたアフガニスタン人とその家族ら(日本への協力者)が数百人いる、とされています(8月28日、日経)。このため政府は航空自衛隊の輸送機を9月25,26日にカブール空港に着陸させましたが、日本人ら輸送対象者は空港にたどりつけませんでした。翌27日、共同通信の通信員の女性一人をパキスタンに運んだことは皆さんご承知の通り。何のことはない、これまでに日本が退避させることができたのはたった一人ということになります。

〇ところが欧米各国は米軍が8月中に撤退するとしている中、次々と救出作戦を終えようとしています。8月28日の朝日新聞によると、ドイツは計45か国の5300人を出国させました。フランス、イタリアは
27日までに退避作戦を終える計画で、オランダ、ベルギーはすでに終えています。イギリスは14日間で、1万3千人以上を退避させたとしています。さらにトルコ、インドネシアなども退避を活発に進めました。

〇韓国も27日、現地の韓国大使館で働いていた現地スタッフやその家族13人が到着し、軍による390人の移送作戦が終了しました。韓国政府によると、現地の大使館にを含め、テロが発生する前に全員が出国したということです(ここまで朝日)。

〇ワクチン問題と同様、日本だけが出遅れている!それと気になるのは、この問題での政府の動きについて、マスコミの評価、批判の記事が少ないことです。日経(8月28日、「アフガン退避、日本出遅れ」)、東京新聞(8月29日、「『空前の作戦』出遅れ響く 空自機退避対象最大500人残る 」のそれぞれ秀逸な記事はありましたがー。 

〇同上の東京新聞の記事、 今後問題になっていきそうな事実が指摘されているので、少し紹介しておきましょう。①防衛省関係者によると、省内で退避計画の検討が始まったのは、首都カブールが(タリバ
ンに)陥落した15日前後、17日には大使館の日本人職員が英軍機でアフガンを出国した。党から
「現地職員は退避させなくていいのか」との意見が相次いだが、菅首相は「ほとんど関心がなかった」(政府関係者)という!
 
〇②22日になって急に事態が動き出した。菅首相は外務・防衛両省幹部らを公邸に呼んだ。 政府は方針を転換。岸防衛相は、23日に空自輸送機の派遣を命令した。

〇③大使館員がいち早く出国した日本と対照的だったのは韓国だ。いったんカタール(パキスタン)に避難した大使館員が再び戻って対応した。アフガン人職員や家族ら約4百人の移送に成功した。

〇④退避希望者の大半を残したままの日本政府はさらに努力を継続すると強調する。しかし8月末の米軍の撤退期限が近づき、政府部内では、「事実上終了」との認識が広がる。防衛省幹部は、もう少し早く自衛隊機を出す判断が出来ていれば状況は変わっていたかもしれない」と話した。
 
〇東京新聞の記事は、この事件に対する政府対応への見事なまでの総括になっています ##

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