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2024年4月7日執行 茨木市長選挙

大阪市内から電車や車で約30分で行ける、身近な中核市のひとつである茨木市。3月31日公示・4月7日投開票で市長選挙と市議会補欠選挙(定数2)が実施された。

前回2020年に行われた市長選挙では、現職の福岡洋一氏(無所属)と新人の寺元博昭氏(大阪維新の会)の一騎打ちで、現職の福岡氏が42,463票と寺元氏より9,724票上回り2期目の当選となった。
現職の福岡氏と新人の大阪維新の会からの候補者と戦いは非常に面白い。何故ならば、茨木市は、日本維新の会の足立康史衆議院議員(大阪府第9区-茨城市・箕面市・豊能郡)の地盤であり、公示日前の3月23日(土)《維新タウンミーティングin茨木》で大阪府知事であり万博協会副会長、日本維新の会共同代表である吉村洋文氏が『モーニングショー』の「玉川徹は出禁」発言があった場所だからだ。
市長選挙は、今回も現職と維新の会の候補者との一騎打ちになるのでは?と予想していたが、3月31日午前0時(正式には午前0時を過ぎるまで確定ではない)までに福岡氏以外の届出がなく、無投票で選挙が終わった。
福岡洋一氏は、18:18選挙管理委員会が閉まった後に無投票であったことに対する意見と3期目の市長を務める決意をXに投稿している。

茨木市長福岡洋一氏の公式Xより

取材予定だった選挙が、無投票当選となったのは初めての出来事だった。
無投票当選をどう受け止めているのか詳しく聞きたくなり、4月3日、福岡洋一市長に取材をしました。たっぷり時間をいただき沢山の質問に答えてくださいました。
茨木市の主役は、茨木市民です。
市民は不断の監視と批判の下に、よりよい茨木市を一人ひとりが作り上げていってください。


①今回、無投票当選でしたが選挙で選ばれたのとその心境の違いなどありますか
 全然違います。やっぱり、選挙は皆さんの声を聞く大切な機会です。有権者の方からすると、選択肢がある中で自分は誰の名前を書いたのか、というのがあるかないかは、次の街づくりに響いてくるような話だと思いますし、やはり皆さんの前には選択肢が用意されるべきだったと思っています。
 ただ、僕自身どうしようもない悩みで、他の候補者に出てくださいってお願いするわけにもいかないので....。差はあるなと思っています。

②市議会の補選が行われていますが応援に入ることは考えていますか?
 呼ばれたら行くようなこともありますが、基本的には距離を置いています。そこは二元代表制で首長は首長側、議会は議会側というので、協調はし合いますがそれぞれ別個の存在なので、目に見えて馴れ合うようなことは良くないので、距離を置いています。

③今回当選で3期目になりますが、どのような茨木市を作っていきたいですか
 それぞれの町の良いところや弱みなど、色々あると思います。茨木市の強みはいくつもある中の1つは、 市民の皆さんの活動が比較的盛んな街というところです。ただ、地元での繋がりの自治会とか、そういう繋がりが弱くなっているので、色々なテーマごとに皆さんの活躍ができるような場所を増やしていきたいなというのと、市民のみなさんが約28万人、大学は6大学あり学生数が約2万人います。企業さんが約9000社あり、従業員が約10万人います。 市民の方だけではなく、大学生あるいは企業の方にも、今後もっと街づくりや市民の皆さんの活動、この街のプレイヤーとしてもっともっと色々なことに参加してもらえるように頑張っていきたいです。

④2025年に開催される大阪・関西万博については、どのようにお考えですか?
 国と大阪府、大阪市がされる話なので、その当事者ではないとはいえ、せっかく大阪府内で行われるものですし、決定している以上は、できる範囲でこの街にもメリットがあるようにサポートをしていきたいなと思っています。

⑤茨木市として万博でアピールすることは考えていますか?
 今、大阪府内の市町村で大阪ウィークというのが春と秋にあります。その中に色々な各市町村がブースを出したりなどを予定しているので、茨木市としてもその中に入ってやっていきたいと思っています。

⑥IR、カジノについてはどのようにお考えですか。
 住之江の方にボートレースがあります。あれは、箕面市さんが単体でやってるのが半分と、できた当初に市だったところの16市が開催するのと半分半分でやっているんですね。茨木市もその16市の中に入っているんです。いえば公営ギャンブルで、法律で認められてるからええやないかという話は別にして、そこからずっと分配金をもらって街づくりに活かしてきた手前、あまりIRカジノにどうこう言える立場ではないなと思っています。

⑦福岡さんは弁護士でもありますが、弁護士の立場として、IRカジノのにどうお考えでしょうか。
 弁護士の立場はあんまり関係がないのかな….。そうですね.....弁護士的にはないですね。

⑧福岡洋一市長の考える民主主義とは?
 民主主義っていうのは、やはり対話と議論があってこその民主主義です。人それぞれいろんな考え方があり、言葉の意味でも、思ってる意味って全然違ったりするわけです。例えば、オンライン授業をやりますとか、コロナ禍でオンライン授業やって欲しいなど。学校でオンライン授業をやりますってときに、どんな風なのを想定してるのかは、多分、言ってる人それぞれが全然バラバラなんですね。オンライン授業をやった方がいいってみんなが思っていたとしても、結局バラバラで、実際に行ってみると不平不満が生まれたりするなどがあります。結局、人それぞれの人権や価値っていうものを尊重していきましょう、考え方を尊重していきましょうとなると、常に言ってるのが、人の数だけ正義があるわけです。ということは、間違いなく放っておくとぶつかり続けるので、それを解消するためには、対話と議論を通して相互理解であったり、互譲の精神で、最後の最後にもう仕方ないから、もう時間も迫ってるからとかの延長で、多数決というものにたどり着くのかなと。
 民主主義は1人1票で多数決ですみたいなよりは、 もっと手前のところのプロセスも含めての民主主義かなと理解しています。

⑨市長になられて《一人も見捨てへん教育》というのをされていますが、どのような教育なのか教えてください。
 自分にはどうしようもできないような、 虐待の話であったりとか、家庭環境が恵まれないとか、あるいは能力的な問題として障害があるとかないとか、 そういうのに関わらず、生徒さん一人ひとりについてしっかり見ていきます、というのが《一人も見捨てへん教育》で、今となってはどこでもやってるようなお話に近いのかなと思うんですけど、 先人の皆さんはそれを茨木市の中で先駆的にそういったことを取り組まれたんだなと。引き続きそういう精神は持ちながら頑張っていきたいなと思っています。

⑩*主権者教育というものが必要なのではないかと考えてるんですけれども、そのことについてはどのようにお考えですか。
 26歳で芦屋市長(兵庫県)になった方も同じようなことを言っていて、一緒やなと思いました。結局、「投票に行きましょう」「選挙に行きましょう」と言っても行かないんです。自分の意見が街づくりだったり、社会に対して、自分が行動することによって機能したという成功体験を、子どもたちだけにとらわれず全体が持つことが、 何よりも主権者教育なのかなと思っています。
 芦屋市長は、中学生が主体となって中学校の校則を変えるというのにチャレンジしておられたのではないかと思います。

*主権者教育・・・国や社会の問題を自分の問題として捉え、自ら考え、行動していく主権者を育成していく教育。日本では、2015年に一部改正された公職選挙法で18歳選挙権になったことにより、高校3年間の間に政治的リテラシーや政治参加意識を育成する教育が行われるようになったが、世界基準でみると遅れをとっている。


そのような、芦屋市(兵庫県)でやられてたことを茨木市でもやろうと考えてたりしますか。
 今、市長として目の前に見えてるものとしては、大体毎年1回、中学生など若者とのタウンミーティングをやっています。 いろんなテーマについて提案をしてもらったりする中で、できる限りそれを職員も一緒に聞いて、実現する方向で聞かせてもらっているというのがあります。まだまだ仕組みとしてうまくいってるかというと道半ばですが、チャレンジをしている最中です。

2020年の2期目の市長選挙のときに公約として掲げられていた、小中学校の体育館のエアコン設置は、できたのでしょうか?
 今、最中です。今年で全部終わります。

⑬最後に、子育て政策の中で一番力をいれているものを教えてください。
 目の前で一番力を入れないといけないのは、保育施設の整備です。今、全国の自治体の中で8割が人口減少しています。茨木市は、2割の中で、人口が増えているエリアなんです。だからと言って、14歳以下の年少人口が増えているわけではないです。まだまだ共働きで、子どもを預けたいという方が増えているので、保育施設、保育園もそうですし、学童保育、小学校での預かりを整備していかないといけないと思っています。
 もうひとつ、取り組まないといけないこととして、不登校、引きこもりの子どもたちの居場所であったり、将来、社会的自立に繋がっていくための学校以外の仕掛けみたいなものをやっていく、まだまだ道半ばですが大切なテーマだと思っています。

右:福岡洋一市長 茨木市役所にて

【大阪府茨木市地域データ】
人口 約285,670人(2024年2月末)の中核市。吹田市・高槻市・箕面市・摂津市・豊能郡豊能町・京都府亀岡市と隣接し、南北に細長く南は市街、北は山という構造。鉄道は、阪急電鉄とJR西日本、大阪モノレールがあり、阪急では特急、JRでは快速の停車駅でもあることから、大阪中心部への交通の便がよいため、昭和40年以降人口増加が続いている。
鬼のゆるキャラ「いばらき童子」が茨木市観光特任大使を務めており、茨木市内の至る所で、いばらき童子に出会える。

【福岡洋一茨木市長】
昭和50年10月16日生(48)。弁護士。2016年4月茨木市長選挙で、再選を目指した現職の木本保平氏(当時79歳)に大差をつけ初当選。2020年4月茨木市長選挙では、大阪維新の会 公認の寺本博昭氏(当時58歳)に9,724票差で2期目の当選。2024年4月茨木市長選挙では、無投票当選。


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