ビールのおいしい飲み方

ビールのおいしい飲み方には、諸説ある。
それぞれどの方法も、注ぎ方も根拠も微妙に違っており、どれが旨い!のかは実際にやってみて、自分にあったテイストの手法を見つけるしかなさそうだ。

代表的なのは、三度注ぎだろう。
以前キリンのビール工場に見学に行った際もこちらを紹介された。最初高い位置から勢いよくビールを注いでグラスを泡で一杯にする。2分ほど泡がおさまるのを待って、2回目はそっとゆるやかに注ぎ、また泡が盛り上がったところで少し待つ。3回目は泡が崩れない様にちょろちょろと注ぐ。こんもりとした泡の蓋をこしらえる感じだ。手間をかける間に期待も高まる。期待値が上がり、体験値を押し上げる。

一方、福島茶坊主さんは、泡を立てない注ぎ方を推奨している。
内側に汚れや布巾の繊維がないようによく洗って自然乾燥させたグラスを用意する。そのグラスを斜めに傾け、ビールとグラスの間で極力ショックを起こさぬよう注ぐ。泡を立てない方がおいしいといい、最近の日本のビールにはこの注ぎ方が一番合っているそうだ。だから専門店のサーバーはビールの注ぎ口と泡を注ぐ出口が別になっていると説明している。泡は見た目を演出するものという考え方だ。

いずれにしても、ドイツでは「ビールは工場の煙突の影が落ちるところで飲め」と云われるほど、ビールは振動や温度変化に弱い繊細な飲み物だ。爽快なイメージとは裏腹に、扱いにはデリケートさが求められるのだろう。その証拠に、実は僕はビールの香りと苦みが苦手で普段は一切飲むことができないのだが、ビール工場で作り立て直後のビールをいただいた時だけは、気持ちよく飲み干すことが出来た。別の飲み物のように感じたものである。

もちろんビールをおいしくするのは、グラスへの注ぎ方だけではない。人への注ぎ方がなんとも重要だ。
友達や同僚との乾杯が、その後のあのガヤガヤとした感じが、ビールをなんとも旨いものにすることは確かである。たのしいとおいしいのだ。下の写真は某広告代理店で受け継がれている『赤坂飲み』と云われる技法だそうで、ビールの自分への注ぎ方を工夫し、かつ周囲を楽しませることにも成功している。なかなか興味深い飲み方である。どれほど旨いのだろうか。

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