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下北沢で映画の世界観を体験!「街の上で」ロケ地巡りの旅

はじめに

残暑がようやく落ち着き、秋の気配を感じる9月。久しぶりに東京へ遊びに行くことにした。でも、予定が少し空いてしまった。せっかくなら、以前から気になっていたあの街へ、足を運んでみようかな、と。千代田線に揺られ、代々木上原駅へ。そして、小田急線に乗り換えて、下北沢駅へ。そう、映画「街の上で」の舞台になった、あの街だ。

映画の舞台となった下北沢

映画「街の上で」は、下北沢に住むある若者たちが主人公。下北沢という「街」を舞台に繰り広げられる、一人の男と四人の女とその周辺の物語である。古着屋、古本屋、自主製作映画といった、サブカルチャーを絵に描いたような場が舞台となるを描いた作品。下北沢の柔らかい風と言うべきか、空気と言うべきか、観る者の心を穏やかにする。個性的な人々が織りなすドラマは、特に会話劇が魅力である。今回は、映画に登場したロケ地を巡りながら、作品の世界観をより深く体感したいと思った。

今作については、すでに複数回観ているだけでなく、こうやって記事にもしてきた。(下北沢映画祭に触れたものを除くと)前回は約1ケ月前に投稿している。非常に思い入れのある作品と言って過言ではない。ただ、すべてのロケ地を巡ることができているわけではない。むろん、下北沢を再び訪れる理由が欲しいからだ。


下北沢駅前

下北沢駅前再開発の様子

下北沢駅前は再開発事業が進んでいる。以前は、まだまだ工事中といった様相であったが、ずいぶんと垢抜けた。「街」のかたちがどんどんつくりかえられている最中である。そんな中、映画の主人公・荒川青(若葉竜也)は、作中で「街もすごくないですか?変わってもなくなっても、在ったってことは事実だから」と話している。そこに在った人々の営みは、地層のごとく積み重なっていく。事実そのものは失われない。

下北沢駅前の賑わい

荒川青が渡った道路

荒川青が歩いた道

今作の冒頭、荒川青が夜の街を歩いていくシーンがある。その途中、ある道路を横切っていく。下北沢駅から京王井の頭線の高架下を東向きに歩いていくと、花沢通りという道路に突き当たる。そこから北東向きに歩いていくと、例の道路がある。この場所は冒頭に登場したのみだが、三菱UFJ銀行下北沢支店の看板が映り込んでいたことで、特定が可能となった。

ザ・スズナリ

本多劇場グループのザ・スズナリ

花沢通りをさらに進んでいくと大きな看板が目を引く。ザ・スズナリは、同じく下北沢にある本多劇場グループの小劇場である。作中では、青がタバコを吸いながらぼーっと劇場の看板を眺めていると、警察官(ルノアール兄弟・左近洋一郎)と不思議な出会いを果たす。その警察官は、路上喫煙を諫めるかと思えば、自分の姪(姉の夫の連れ子)に恋心を抱いているのだが姪とは結婚出来ないという自分の悩みを訥々と語り出す。見ず知らずの青は当然タジタジだが、二人の会話はどこか滑稽である。

江戸っ子ラーメン 珉亭

江戸っ子ラーメン 珉亭

冒頭、青がラーメンを食べていた店は実在する。この通りは、下北沢あずま通り商店街という。以前も今回も、開店前からすでに行列ができているという人気店である。いつか食べたいなと思いつつも、行列に並ぶ度胸がないという腰抜けである。ラーメンは昔ながらのあっさり系、チャーハンが赤いというのが特徴らしい。ラーメンだけでなく中華料理も楽しめるという。


CITY COUNTRY CITY

ビルの4階にある看板

物語の中盤、青はパスタを食べながら、マスター(芹澤興人)と語り合う。古書ビビビの店長であった川辺さんが最後にやって来た日に「死ぬ前の日に川辺さんがお昼どきにうちの店にやってきてさ…。そのとき満席だったんだよ。で、扉のところで、じゃあまたって川辺さんが手を挙げて……」なんて切ない話から、冒頭紹介した「街もすごくないですか?」といった話まで、なんだかいろいろな話をしていた。この店の実際の店名は表立って登場していないと思われるが実在する。店内はゆったりとした雰囲気で、作中の雰囲気そのものである。

中古レコードショップとCAFE/BARが融合した下北沢駅前の店。オーナーはサニーデイ・サービスの曽我部恵一氏。深夜までアナログレコードと食事・スイーツ・ドリンクが楽しめる。

Harumari TOKYO
ジェノベーゼパスタが美味! チーズケーキも食べればよかった…


居酒屋にしんば 下北沢店

居酒屋にしんば 下北沢店

青が高橋町子(萩原みのり)に誘われて出演した学生映画の撮影終わりに打ち上げが行われた場所。青はこの会で城定イハ(中田青渚)と知り合い、その後のストーリにもやんわり関わっていくきっかけとなる。青とイハは、二次会組からエスケープし、イハの自宅へ向かう。

まとめ

下北沢という街は、映画『街の上で』によって、より一層魅力的な場所となった。映画に登場したロケ地を巡りながら、その世界観を体感することは、私にとって貴重な経験だった。この映画と街の出会いは、私にとって忘れられない。古書ビビビなどまだ訪れていない場所もあるので、きっとまた再訪問したい。


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