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環境法令順守を維持するには、変化点管理しよう

前回は、守りの環境経営の一つ、PDCAを活用したコンプライアンス(法令順守)を、廃棄物処理法を例にとって紹介した。しかし、多くの中小企業では、コンプライアンスが適切に実施できているとは言いがたい。
それは、「変化点管理」がうまくいっていないからである。
①法令の改定があった場合、その改定内容が自社に影響するのかが把握できていない。②4M(原材料、設備、人材、方法)の変化があった場合、その変化により、既存の法令の順守項目が自社に適用されるかが把握できていない。
この2つの場合である。

たとえば①は、エアコンを廃棄する事業者が、フロンを抜き取った後であればそれをリサイクル業者に引き渡すことに問題なかったが、フロン排出抑制法の改定により、2020年4月以降はフロン類を充填回収する業者から送付された引取証明書(フロンを引き取ったことを証明する)の写しがないと引き渡せなくなった。
②は、これまではアンモニア吸収冷凍機を使っていたエアコンを、フロンを冷媒とするヒートポンプ式に更新した場合には、そのエアコンを廃棄する際に新たにフロン排出抑制法が適用され、そのためにエアコンからフロンを抜き取り、ボンベを回収する業者から引取証明書の交付を受けるなどの義務が生じることになる。

こうした変化点に対応できない最大の理由は、コンプライアンスのための業務に従事する専任者がいないことにある。実際、環境関連法令30種類以上で、年間で何十回にも及ぶ改正がある。改正内容の調査に1回あたり2時間がかかるので、この作業がかなりの負担になっている。

そこで、専任者のいない企業が環境法令順守を維持するために、上記の①法令の改正に対しては、各社から有償無償で提供されている法令改正情報の効率的な利用をお勧めする。中部産業連盟でも加除式の書籍(PDF形式のデジタル版もある)という形で情報提供している。それにより、環境省などのホームページからの情報収集作業は不要となる。

環境規制基準研究会編集 「環境規制・基準チェックの手引き」 新日本法規出版

また、上記の②社内の4Mの変化については、「変化点チェックシート」(下図参照)を作成し、新たな法令が適用されるかどうかを把握することをお勧めする。

※経産省の原油換算シート


以上のように、PDCAサイクルで環境法令順守項目を理解し、自社へ適用されているかどうかを把握し、その後は、法改正と自社の4Mの変化を把握すれば、コンプライスは維持できる。

(執筆者:中産連 主席コンサルタント エネルギー管理士 梶川)
自動車部品製造業・産業機械製造業・廃棄物処理業を中心に、温室効果ガス排出量算定・削減、省エネ診断、環境法令順守コンサルティングを行っています。


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