『Nのために』を細かく考察してみた件①〜東京に出るまで〜
初めまして、ちゅると申します。ドラマを観ることが大好きな大学生をしています。
最近ツイッターで導入されたスペースでよく作品語りをするようになったのですが、どうやら私は平均より細かいところまで観ているらしく...先日『Nのために』を語るべく見返して台本を作ったところ何と31ページにもなり、それを語るのに三時間半かかりました笑っというわけでせっかくだからnoteに書き起こしてやろう第一弾です。ここから長いです...!あくまで個人の見解です。あと思いっきりネタバレなので!結構演出の話もしているかと思うのでもしParaviや円盤、録画など観る手段があれば照らし合わせてみてください。もしセリフとか違ったらごめんなさい!それでは張り切ってどうぞ!!(それ某能力ドラマ)
1話「セレブ夫婦殺人事件...15年前に隠された秘密」
ドラマは杉下希美のナレーションから始まります。そのナレーションと共に映るカットがすごいんですよ...
「その人のためなら自分を犠牲にしても構わない」
→西崎さん...奈央子を殺人犯にしないために罪をかぶった
「その人のためならどんな噓でもつける」
→希美...安藤がチェーンをかけたことを隠した
「その人のためなら何でもできる」
→奈央子を抱き寄せる西崎さん...奈央子を救うためなら旦那に殴られようと乗り込んだ
→立ち去る安藤...希美が自分を選ぶか確かめるために外からチェーンをかけた
→走ってくる成瀬くん...助けを求める希美のもとに走ってきた&服に大量の血が付いた希美をみて何か罪を犯したのかもしれないと嘘をつき罪の共有をする
「その人のためなら人殺しになれる」
→抜かれる包丁...抜いたのは西崎さん。奈央子を守るためなら。
→落ちる燭台...手から落としたのは奈央子。夫を止めるためなら。
→倒れる野口さん
「あの時、大切な人のことだけを考えた」
→上からの全体カット...全員に"N"がいた(希美→安藤、安藤→希美、成瀬くん→希美、西崎さん→奈央子さん、奈央子→野口さん(希美も?)、野口さん→奈央子)
→入る音声「俺が殺しました」by西崎さん「俺のせいだ」by安藤
「後悔なんてしていない。どんなことだってやる。起こったこと全てを私は受け入れる」
→希美がゆっくりアップからのこちらを見る希美
すごくないですか...?これは最終回であの日何があったのかを観ないとわからないんですけど、観た後に1話観るとちゃんと意味があるカメラワークなんですよね...すごい...(溜息)
このナレーションの後、事件を伝えるニュースが流れ、それを観る現在(2014年)の高野さんが映ります。交番の前でなっちゃんこと妻・夏恵さんと写った写真が置かれた部屋で「諦めるわけにはいかんのや」と誰かに電話する高野さん。
ー"全てはNのために。俺たちがやったことはそういうことだ"
15年前の夏、瀬戸内海に浮かぶしいずかな島で小さな、しかし島の住人を騒がせるには十分すぎる出来事が起こったー
ここで話の舞台は1999年へ。希美と成瀬くんが高校二年生の夏休みの日から話は始まります。好きな子の名前叫びながら海に飛び込むやつよくないですか...?やるのを渋ってたのに希美の「成瀬くん!頑張れ!」を聞いて名前は言わないけど海に飛び込む成瀬くん...初恋眩しい......
ただ、この行事を祭りの準備とかをしながら眺めてる希美パパがいるんですよね...そのとき何を考えていたかがわかるのはそれから何日か経ったある日、愛人を連れてきて家から希美と弟と妻を追い出した時のこと。その時のセリフがこちら。
「今日から俺が稼いだ金は好きなように使い、俺が食いたいものを食い、一緒に住みたいやつと住みたい家に住む。」
→この後の生活からもわかるんですが、希美ママ浪費家何ですよね...べちゃべちゃなカキフライを出張から帰るたびに食べさせられるし。愛人の料理は美味しいし。でも子供とも住みたくないってやばくないですか...?っていう。
「祭りの季節が来るたびに考えた。俺に人生、祭りの準備と後片付けだけで肝心の祭りがない。労働と責任だけあって楽しみがない。俺の楽しみが1つもや。具のないサンドイッチのような人生送るんはこれ以上どうしたって耐えられん。俺にとって何が必要で何が不要か。不要なものは捨てる。もう決めたけんの。」
→"具のないサンドイッチ"って表現すごくないですか?確かに祭りがなかったら挟むパンにあたる準備と後片付けしかないんですよ。会社を立て直して大きくする"労働"と家族を養う"責任"だけなのもその息抜きになるような楽しみや生きがいいとなることがなければ、それもまた"具のないサンドイッチ"...
ここで弟がお父さんに突き飛ばされるんですが、その時メトロノームが動きだすんですよね、ぶつかったはずみで。これ、希美の生きるためには何でもする生活が始まることを示してると思うんですよね。メトロノームって一定のリズムを刻むじゃないですか。それってつまりはそのリズムでしかいられない、そのリズムにとらわれてるわけで。この日を境に希美は壊れた母から離れられず、抜け出して東京に行っても冷蔵庫を食材でパンパンにしないと不安になってしまう生活からはなかなか抜け出せないんですよ。それがメトロノーム1つで表せちゃうんですよ...
この後、お母さんが家族写真を指でなぞりながら父の名前を呟くシーンでも出てくるんですよね、メトロノーム。。。。
まぁそんなこんなでえ新しい家での生活が始まるのですが、今までの家が海辺の立派な家だったのに対し新しい家は山奥のボロボロの家という対象さ...小さい島なので次の日には学校中で噂が広まってるのもしんどいんですよね。しかも、「よそんちのことにくちばしを突っ込まんのがこの島のルール」「知らんふりするのがこの島のマナー」と成瀬くんの父が言うように、クラスメートは希美に話しかけないんですよね...
一方その頃、成瀬くんは経営の苦しさを実家に愚痴る母の電話を聞いています。
希美ママはある日万引きをしてしまいます。お金はないのでツケで買おうとするんですが今までは杉下社長の奥さんだったからと切り捨てられ、「いつまでも社長夫人気取り」など言われてしまい...島民はもともとよく思ってなかったんですね...希美も心配してくれる高野さんに困ってるなど言えず。
でも父からお金を振り込まれた翌日、ほぼ全額を使って化粧品を買込まれちゃうんですよね...この時母は顔に化粧水を塗りたくりながら言うんですよね、「すすむさんは騙されとるんよ、すぐに私の方がいいってわかる」と。お母さん、浮気に気がついていたけどそうやって言い聞かせ出張のたびに帰りを待ってたんでしょうね...
お金に困りバイトを申し込もうとするも母に邪魔をされ。困った希美は父親に頼りに行くんですけど、愛人しかいないんですよね!!!!!!最初階段の上から「あんた達には申し訳ないなと思ってたし」とか言ってるんですけど、本当に困っていると知った瞬間本性だすんですよね!ドレッサー壊したの謝れとか。で土下座して食事をもらうことになるんですよね...まじでもう辛すぎて...弟には「あの人わりといい人かも」とか明るく言っちゃうけど、嘘だってわかるじゃないですか。でも美味しいんですよね憎き愛人が作るご飯。泣きながら美味しいと食べる弟くんよ...この日が10/14で次の振込日が11/10。あと26日。あんな外で毎日土下座してたら島中の噂になるに決まってるじゃないですか。弟の耳に入ってもおかしいくないじゃないですか。そりゃ、11/10、死守したお金で食料買い込んで帰ってきたのにお金せびる母に真実言っちゃうわな...
母はそんなですが父も変わらずクz(自粛)なんですよね。クリスマス頃、弟の進学が決まり学費をお願いしに行くわけですが、希美の大学進学は否定するんですよね、必要ないだの大学行っても俺より稼いでないやつはいるだの...睨みつける弟をなだめて頭下げた希美は偉いよ...
そうして迎えた2000年4月。高三になった希美と成瀬くんは同じクラス、それも前後の席に。本当は希美が前だったけど席を交換して成瀬くんの背中に隠れて詰将棋考えたり、数学の時間に英単語覚える希美可愛くないですか?笑詰将棋解いてあげたら希美に「すごい!」と言われ嬉しくて緩んでしまう頰を隠すように頬杖する手を左から右に変える成瀬くんもやばいんす...まぁその日の放課後買い出し要員に駆り出され、希美の母の現状を知ってしまうわけですけども...ここで2人は東屋に行くようになるわけですが、高野さんに「かわいそうなウチの子やと思われたくな」くて母のことを言えない希美がね...でもこの時から希美が弱音を吐けるのは成瀬くんだけなんですよね!!!!(大声)この時生まれたシャーペンカチカチ、真似しない人なんているの?(困惑)
一緒に過ごす時間が増えた2人は野望を考えノートに書き出します。
希美
・豪華客船で富豪と出会う
・まっすぐな水平線が見たい
・バルコニーで演説する
成瀬くん
・宝くじを当てる
・犬を飼う
・(おばあちゃんの教え)歯を大事にする
そんなある日成瀬家では両親の喧嘩が勃発するんですよ。お母さんがお父さんにやるやると言って何もしない!いつも経営のことで走り回るのは自分だけだと。少し前にビールを飲みながら将棋をする成瀬父と高野さんをじっと見ていたのはそう言うことだったんですよね...この時、成瀬くんは店を売ることを告げられ、父は「他人になんぞとられたくないなぁ」とつぶやきます。
その頃、希美の母もおかしくなって家を希美は飛び出します。そこに成瀬くんから"野望リストに追加。卒業したら俺も島を出る。奨学金でもなんでも貰って〜"と連絡が来ます。そこから成瀬くんの自転車に乗ってバルコニーまで行くんですけど、このシーンめちゃくちゃ良くないですか!???何がいいって、まぁ自転車の後ろに乗る時って普通のドラマだと前に人が腕をとって自分のお腹に回させるか後ろの人が自ら回すかすると思うんですけど、この2人は違うんですよ!しがみつかず、ただ希美が成瀬くんの上着を掴むだけなんですよ...!!!だからこそ事件現場でだけ手を繋ぎ、最終回ラストで初めてのハグが際立つんですよね...素晴らしすぎて頭抱えちゃう...
ちなみにバルコニーで希美がした所信表明演説はこちら。
「私杉下希美は1人で正々堂々と生きていく。誰にも頼らん。欲しいものは全部自分で手に入れる。最後まで諦めず上目指す。力の限り戦略的にどんな手を使ってでも徹底的に戦うことを誓います」
一話は、ここで2004年事件当時に移り希美のナレーションで締めくくられます。
ー今の若い奴らは自分のことしか考えていない。そんな言葉を聞くたび、それは違うと思ってしまう。あの時、そこにいた全員が誰かのことを考えた。それぞれに大切な人がいて、その人のことを思った。自分以外の誰かのために。そう、Nのために。ー
2話「放火事件の謎...許されない罪の共有」
ーある日突然、事件という名の深い穴の中に落ちる人間がいる。夢や希望を断たれ、今までとはまるで違う人生を歩むようになるーby高野さん2014
2000年。成瀬くんの母が実家に帰ってしまう。壊れていく両親の仲や実家の行く末を考えた成瀬くんは「食中毒か火事になれば」と高野さんの前で口にしてしまう。
一方の希美は、新聞配達のバイトを続け貯金していたものの、両親が離婚していないため世帯収入に父の年収が含まれてしまい狙っていた奨学金への応募が叶わなくなる。そんな希美を成瀬くんは本土の本屋に参考書や資料を探しに行こうと誘うんです。ナイス成瀬くん!!買い物をした2人は腰掛けて話し、成瀬くんはおばあちゃんの教えと言いながら"結婚した相手より後に死ね。1日でも多く相手の側におって守れ"を野望に追加します。もうプロポーズなんよ...でもこの後成瀬くんは希美の手を握りそびれるんですよ...徹底的に手を握らせない脚本最高...ここ、10:17なんですけど最高に可愛い悔しい顔を成瀬くんがするんで観てください...(遺言)
ただこのデート(ですよね?(真顔))、ただ楽しいものではなくて。実は希美はお母さんを見かけるんですよね。帰宅すると見かけた人が持ってた日傘とカバンが目に入って。なんとお母さんクレジットカード作って爆買いしてるんですよ。ここ何があれって、お母さんは「お店の人が作っていいよって言ったから」って言うんですが、これってやばくないですか?服屋さんがクレジットカード作っていいよなんて言います...?ここにお嬢様育ち島育ちが表れてるんですよね...
希美はもちろん父にお願いしに行くんですが、お前が来るのはお金の無心の時だけやだの、学校から大学のことを聞いていく必要ないだの、愛人は中卒だけど何件もお店持ってて1人でも生きていける女だの言われ、当然出してもらえず。仕方がなくバイト代から出すんですけどその額22万円。で、ここの画面よく観て欲しいんですけど、希美の毎月の給料が約4.5万なんですよ。五ヶ月分なんですよ、お母さんがたった数時間で浪費したのは。そりゃ泣くよ...
限界な希美は「たすけて」とシャーペンを半ば無意識に四回鳴らすんですよね。でも成瀬くんはその四文字がわからなくて気になって。家に見にきたら、ちょうど大学の資料を見て暴れた母を慰める希美を見てしまうんですよね...しんどい...しんどいがすぎる...そして希美は「あの家が無くなったらお母さんは泣くのやめて笑ってくれるん?家が無くなったら諦めがついて少しは前向きになってくれるん?」と、家を焼いてしまおうと考えてオイルとか買っちゃうんですよ。しかもその帰り道高野さんに会っちゃって見られちゃうんですよ...ここで入るナレーションが高野さんの「悲劇が起こるとき必ず2人はそこに居合わせる。前兆はあったのに誰もそれを見抜けなかった」なんですよ...高野さんはこの時点でまだ放火犯が成瀬くんだと思ってるのでこの時、もし自分が引き止めて話を聞いていれば、って思っているんですよね...
この時、オイルは撒いたものの、成瀬くんが止めに来て希美は放火未遂で終わります。2人の「あの家がなくなれば私もお母さんも楽になる」「燃やしてしまえば誰にも取られんもんな」と言う会話もまた辛いんですよね。生まれ育ってたくさん思い出があるのにそれを燃やしたいとまで考えている境遇...
そしてやってくる火災の日。上がる炎を見ながら2人は初めて手を繋ぎます。そして、成瀬くんが火をつけたと思った希美はせっかくその日の夕方に見つけた奨学金の申請書類を渡しちゃうんですよ...しかも疑われるからもう話さない覚悟も決めて。火事の翌朝、火事が起きた時のまま時間が止まった駐在所で父の写真をみるのがたまらなくなった成瀬くんは駐在所を飛び出し、希美の元に向かいながら電話をします。でも近寄るのは拒否され、離れたところでお互いを見ながら電話越しに希美に「私、成瀬くんとはもう話さん」「今までありがとう」「今まで一緒にいてくれてありがとう、いつも一緒にいてくれてえ嬉しかったけん」「助けてくれて有難う」と言われるんですよね...ここで成瀬くんの記憶に残ったのが泣き笑いする希美な切なさ...なぜ「助けてくれて」かは、高校を卒業し9話で再会したときに明らかになります。(ギリギリのところにおってどうしたらえええかわからんかった。火を見てたらお母さんもお父さんもあの女も全部消えた、救われた)
3話「反撃開始 舞台は東京へ!運命の出会い」
成瀬くんは希美が譲った奨学金が通り、希美からシャーペン5回で「よかったね」と祝福されますが、彼には「バカヤロウ」「ひきょうもの」に聞こえるんですよね...その奨学金が県で1人しか通らないのもね...
その頃希美ママは民生委員の人の働きかけもあって働くことになります。ですが担任には就職も考えろと言われ、学校内で就職案内をみる希美。そんな彼女に話しかけようとする成瀬くんですが人が来て話せず。以前お互いが島を出るときは相手にフェリーのチケットを買おうと言っていたのを思い出し、買いに行って裏に「ガンバレN」と書いて希美のカバンの中に忍ばせるんです。それを希美が見つけるのが、母に願書書類などを破かれ部屋に閉じ込められ諦めかけたときなんですよね...!もう初見の時、書類の隙間から落ちたチケット見て震えました…いつだって希美を助けてくれる成瀬くんってなんなんですか!????
チケットを見た希美は、成瀬くんと過ごすときに履いていたビーチサンダルを履いて部屋から抜け出します。向かった先は父親のところでした。希美は父親や愛人が違うところで後でと言うのも構わず、父親の仕事関係者や島の人達がいる前で今までの数々の父親の暴言(大学行ってるやつが嫌い、自分の方が稼いでる、愛人は中卒でもすごい等)をぶちまけることで大学の費用を出すと言わせます。ここのしてやったりな希美の表情とそれを映すカメラワーク最高じゃないですか…!??個人的にこのシーンはスカッとジャパンだと思ってるんですよね!まず、最初制止する愛人の手を振り払うんですよ!で、父親の発言をぶちまけて。何より、最後父親に言わせたあと立ち上がった希美の足元にしゃがんで汚れちゃったよと砂を振り払おうとする愛人を振り払って上からフッと笑うんですよ…!!!!これの何がスカッとジャパンかわかります!?初めて食事を貰いに行った高二の10/14、階段の上から謝れと見下ろされた希美が逆に見下ろしてるんですよ、諸々をぶちまけた上で…!!!!!もう希美ちゃん良かったね!!!!そしてそれを成瀬くんが見てるんですよね、ほんとに良かった…
こうして成瀬くんと希美ちゃんは無事に高校を卒業し東京に旅立ちます。成瀬くんが先に出たのですが、希美ちゃん、成瀬くんの家にチケット届けてるんですよね…!!それを見た成瀬くんは会いたいと連絡して。でも港には高野さんも来てて。東屋でそのメールを見た希美ちゃんも迷うんですけど自転車で来るんですよね…!!お互い名前を呼びあって頑張れと伝える2人…もう言葉出てこないです…
そしてここにかかる高野さんのナレーションが「火事の夜、2人は何かを共有した。再び互いを引き合わせずにはいられない、密やかで強い何かを」なんですけど、もうそれでしかないじゃないですか…!!
余談ですが、現在放送中の『最愛』にて会わないと覚悟を決めた梨央を大ちゃんが追いかけてハグするときや、その時お互いもう会わないと決めたけど優くんのおかげで結局会ってしまった2人のシーンの時、頭の中でこの高野さんのセリフが流れました。仲間いません???
こうして希美ちゃんの東京生活が始まります…!!
長くなっちゃったので今回はここまで。予定では、残りはN作戦1とN作戦2で分けて書くつもりです。
⚠️一度別作品を挟みます
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