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世間知らずの起業物語 その7

会社として正式に決定するまで、新会社の件はトップシークレットだ。
それは、この管理職会議で新しい会社設立について、参加者の同意を得なければならないということだった。
※この物語はフィクションです。

管理職会議

毎週1回、管理職が集まって定例の管理職会議を開催していた。

新会社の件も、管理職会議で反対意見が多い場合は、なくなるかもしれない。
まぁ、ワンマンな我が社はそんなこともないか?と考えつつ、会議に出席した。

管理職8名と川上会長。

グループっといっても全員で20数名。
30人もいない。

冷静に考えると管理職とメンバーの比率におかしさだけが際立つ。
実際、管理職とは名前だけで、部下はいないか、いても1人か2人の管理職がほとんどであった。

メンバーよりも社歴が短い管理職。
そんな管理職たちと川上会長で実施する会議である。

「新しい体制を考えてきました。」

と、川上会長が口火を切って、プロジェクターに体制図を映し出し説明を始めた。
・全体的な体制変更を行う。
・カワミーグループから、僕が独立し、新しい会社を作る。
・将来的にはその新会社にグループのリソース・・・発電所やその権利を移していく。

そんな説明であった。

もちろん、すぐリソースを移すことはできない。

当初2、3年は、新会社は発電所作りに集中し、銀行から融資を受けれる状態を作る。
そして、発電所を作り、銀行からの融資ができるタイミングを狙って、全てのリソースを移していく計画だ。

川上:「太陽光発電所だからね。1年で10区画も作れば、すぐに銀行は融資してくれるでしょう。」

僕以外の管理職は、この場で初めて聞いた話だ。
体制変更をすることは予告されていたし、年に数回に数回の体制変更が通例になっていたから、体制変更があることについては、誰もなんとも思わなかっただろう。

しかし、今回は僕が独立する形で、新しい会社を作るという点が大きなポイントで、それは全員の意表をついた発表であった。

新しい会社

川上会長の構想では、新しい会社のメンバーは、桜田、東野、高橋と僕の4名。
桜田が営業で、東野が太陽光発電所の建設、高橋は自治体への申請や交渉ごと。そして、僕が統括。という役割であった。

新体制

また、O&Mは僕が代表取締役の会社であるCROSS ONE、川上会長の息子が株主となっている会社で、そのCROSS ONEでカワミーから事業とメンバーを引き継ぐと説明があった。

この辺りは、川上会長も現状を考慮して、僕がそのままO&M事業と、チームを受け持った方が良いと考えたのだろう。

『O&M事業部の影響は最小限に抑えられるかもしれない』
僕は少し安心していた。

そして、カワミー社自体は、山田、上野と、管理部である北条の3名。
村上はカワミーグループ全体の管理部を担当する。

そんな体制であった。

体制変更するのであれば、ある意味妥当な人員配置であった。

しかし・・・

そこから、会議は紛糾する。

紛糾

山田から「発電所を作らなければならないのに、カワミーで上野だけでは作ることができない」とか「高橋が今やっている自治体への申請や交渉ごとを巻き取る人員がいない」とか、少し大袈裟な、しかし、人が少なくなった側からすると当然の文句が連発した。

たしかに、リソースが分散することは、懸念点の1つではあった。

しかし、大きなグループ、全体を1つの大きな事業推進体と考えると、その中で工事から販売までできるチームを2つに分けた体制とも捉えることもできた。
再エネEPC会社に存在する2つの事業部というイメージだ。

グループ外となる新会社とのスキームは、会計的な手間などは多少出てくるが、数年後を考えたときには、新しい会社があることは少なくともマイナス面よりもプラス面が大きいはずだった。

それでも、山田からの文句は止まなかった。
その横で、同じカワミーに所属するはずの、上野はニヤニヤしながらその文句を聞き流し、北条は相変わらず体調が悪い様子を醸し出し何も言葉を発しなかった。

僕は、そんなやりとりを聞きながら、思いを巡らせていると、ひとつアイデアが思い浮かんだ。

『こういうのはどうだろう?』

突然の僕の発言に、皆は驚き、そして、耳を傾けた。

つづく

※この物語はフィクションです。

次回はこちら

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