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世界一くだらない考察

毎年

この時期じゃないと出会えない

お気に入りの期間限定に

またこの夏も出会えた。

たったそれだけで

かわいた日常に少しの潤いを
与えられる人間。

昔ならお小遣いを握りしめて
ひとつ買って満足していたが

今の私は

10本一気に買い物カゴに入れられる

大人買いができるようになった。

しかし

あの楽しげなパッケージとは裏腹に

暑い中片道10分の距離を
溶けないように
小さな保冷バックを持参して

買って帰って無心に
1本目に齧り付く私には

少し先の未来で
静かな悩みのタネになるなんて
全く予想がつかなかった。

1日1本を上限に設定にして

2度目の幸せをほおばった2日目に
運命の瞬間は訪れた。

まさかのアイス棒に

「1本当り」の文字!(◎_◎;)

10日間保障された
ささやかな幸せが
倍増したような瞬間のはずだった。

ただ

この日を境に

この「あたり」と書かれた
1本の棒が
四十路の私を苦しめることになる。

ランドセルを背負ったころの私なら、
迷わず交換に行けただろう。

ただ

もう
大人になってしまった今は

当たり棒を持っていく事すら
ハードルが高い。

それから2日間は3本目の
アイスに手をつけなかった。

次、もしあたりが出てしまったら
また悩むことになるから。。。

まわりにも一応相談してみた。

心優しい同僚や恋人も一緒に考えてくれて、
色々アイデアを出してくれた。

其の一

「子どもが当たったので…」と、
聞かれもしない理由を言いながら

いかにも仕方なさそうな表情で
レジで当たり棒を差し出す。

其のニ

「当たったので交換したいんですけど…」と、
サービスカウンターに前もって聞きに行く。

其の三

交換してもらうアイス1本を買い物カゴに入れて、
さりげなく「これ当たったので」と
レジで当たり棒を差し出す。

最低週一回は買い物に行く
そのスーパーに、
子供や家族すら連れて行った事がない私が

いきなり
アイス食べた子供が当たりました…ってのは、
なんだか不自然な感じがして其の一は却下。

其のニは、
わざわざそれだけのために
サービスカウンターのスタッフさんの
時間を割いてもらうのは
申し訳ない気がするので其のニも却下。
(と言うか、やっぱり
真正面に質問すること自体が恥ずかしい)

一番スマートそうな
其の三が最有力候補に挙がる。

製造元の赤城乳業さんも
当たりつきをやめずに頑張っているんだから、
私もそろそろ頑張ろう…

しかし、

いざその日を迎えるにあたり

洗って乾かした当たり棒を
サランラップに包み
持って行くという準備もさる事ながら

簡単な流れなのだが
少し勇気が必要なのである。

私がレジに並んでる間に
後ろに列ができたらどうしよう…

つい焦ってしまってセリフを
噛んでしまったらどうしよう…

なぜか、
普段はおそらく気にしていない
些細なことでも引っかかってしまう。

ついには、
1日1本の上限ルールを破って
2本やけ食いした日もあった。

そんなこんなで
夏も終わりに近づいてきた
9月中頃…

最後の1本を食べ終えてから

意を決して

当たり棒と保冷バックを持参。

そして、
必要な食材とまだ期間限定中のそれを
1本カゴに入れた。

比較的レジが空いている
午後2時。

私は、若い女性のスタッフさんに

「アイス当たったので、これ(商品を
指差して)と交換したいです」と
ラップに包んだ当たり棒を
ちゃんと「1本当り」の字が見えるように
差し出して、再び包んで手渡した。

「じゃあ、これは打たないでおきますねー」と
明るく対応してくれたスタッフさん。

内心ドキドキしていたのに
拍子抜けするくらい
あっけなく交換してもらえた。

頂いたご褒美アイスは
冷凍庫で食べられる瞬間を
待っている。

きっとこの先、
当たらないことを
願いながら齧り付くであろう

「ガリガリ君 梨味」

朝晩、少しずつ秋めいてきたが
私の夏はまだ終わらない。

現在、成長途中。まだまだ進化し続けます!サポートよろしくお願いいたします!