すべておのぞみ通り

「行かないで」

本当は、そう言って欲しかった。

私がのぞんだ離れることと、

あなたがのぞんだ見送ること。

必要とされていないんだと私は絶望し

ここじゃないんだとあなたは落胆した。

何処まで行っても

すれ違うなら

もうこのまま

あなたがいない場所で

残りの時間を過ごしたい。

世間の風あたりが強くても

あの息苦しい空気感より

千倍まし。

苦しさを無いフリしてまで

継続したいと思わなかった

「家庭」というカテゴリー。

色んな形があったって

お互いがそれで合ってるなら

それでいいじゃないか。

そう言い聞かせてる私が

あの時言えなかった

「ここに居たい」というセリフ。

それを心から想える場所に

今は居る。

誰かから必要とされている私は

幸せなんだろう。

あの場所での役目はきっと

ひとつ終えたってこと。

そう思えるようになるまで

つらくて悲しかったけど

今はちゃんと笑えてるから

自分を取り戻せたと思う…たぶん。