「ハーバーちゃん」
デザインカプチーノに挑戦してみた…
日々アートな日常を送らんとしている(?)だけあって、左側のウサギちゃん、第1作目にしてはなかなか可愛いウサギちゃんではないかと自画自賛!
惜しむらくは
その1 ミルクフォームのキメが荒すぎ
その2 カップの内側がココアパウダーで汚れた
その3 何と言ってもカップの取っ手の位置が変・・・
とは言え、これは可愛い、と思う。そして、可愛ければ許される、或いは、私は許す!
でも、続いて作ったクマさんの方は
これはもう「ハーバーちゃん」・・・
顔を描くのは難しい
顔を描くのは難しいと思う。実際には、別に顔だけが難しいわけではなくて、手でも足でも花でも虫でもビンでも缶でも難しいとは思う。ただ、顔を描く難しさは、さっきまであんなに可愛く描けていると思っていた顔が、ほんのちょっといじっただけで一瞬にしてこの世のものとも思えない形相になることだ。ちょっと頬がふっくらし過ぎてると思って1ミリ削ったばかりに、可愛くなくなるどころか人間の領域を超えてしまった、という経験は多々ある。
そしてそんな時、必ず呟くのが「ハーバーちゃん…」だ。
「ハーバーちゃん」との出会い
ずっとずっと昔、横浜の高校に通っていた頃、あるとき、京浜急行の汐入駅(だったかな…?)のホームに「ありあけのハーバー」の看板が出現した。そう、現在で例えれば羽田における東京土産として「東京バナナ」が獲得しているような、ある種投げやりな安全パイ的なご当地土産としての地位を横浜で保っていた有明製菓の「ハーバー」。可愛い小さな女の子が「ハーバー買って来る、ハーバー買って来ない」とつぶやいていると「ありあけーのぉ、ハーァァバー」というのどかな音楽が流れてハッピーエンドになるCMが印象的だったあの「ハーバー」。
そのハーバーの看板には、あのCMの女の子とおぼしきセーラー服姿で髪を三つ編みにした女の子が描かれていた。が、だ。何というか、もう、その絵が変だった!
というか、「変」なんて言葉で表してしまえない絵だった…。そもそも、「絵が変」以前に、「それが商業的看板の絵としてまかり通っていることが変」だった。
ずっと以前の看板は、今と違って、お店でも映画館でも、出来上がったフィルムをどどーんと貼るみたいな技術がなかったので、当然のように看板ごとに上手いヘタがあり、確かに「この俳優は誰?」みたいな看板はザラではあった。それでも、この今回の「ハーバーちゃん」(と勝手に名づけた…)は、そういうレベルではなかった。もう、本当に「看板であること」が変! じゃあ何かと言われたら、強いて言えば最も近いのは「小学1年生のクレヨン画」だろうか。幼稚園児の絵のように顔から手が生えたりはしていないけれど、まさに幼な子の描く人物画の特徴をすべて持っているような絵だった。
その1 なんか輪郭があいまい
その2 なんか目とか口とか形があいまい
その3 肌色が灰色っぽい
特に「その3」の「灰色っぽい肌色」というのが、クレヨンの先に色々な別の色のカケラがついて汚れてしまったクレヨンで塗ったときの変になっちゃった色そのもの。肌の灰色っぽさっていうのが、幼児の絵によくある「クレヨンの黒で目を塗った後に肌色塗ったら黒が少し混ざって灰色っぽくなっちゃった」っていう灰色っぽい肌色そのもの。
スタンガンか?
今思えば不思議だけれど、この看板の話を当時クラスメートにしたことがない。もちろん、その最大の理由は、京浜急行に乗って汐入駅の看板をいっしょに見る親しいクラスメートがいなかったということだけど、いっしょに見ることはなくても、これだけの衝撃的オブジェなら誰かに熱く語っても良さそうなものなのに、まったく話したことが無かった。あれ程毎日、食い入るように看板を見たのに。
思うに、人間は、ある一定量以上の衝撃に出遭うと、スタンガンに撃たれたように、それを口に出せなくなってしまうのではないだろうか。目は離せないが言葉は出てこない、という状態。美も醜も、ある程度まで行くともう人間の把握を超えたパワーを持つとでも言おうか。
まさに、ハーバー・ザ・スタンガン!
その後の「ハーバーちゃん」
ハーバーちゃんのスタンガン効果はさておき、こんな看板がまかり通っていいわけがなく、案の定、1週間くらいしたら看板の「ハーバーちゃん」の部分だけが描き直されていた。当然だ。有明製菓もだけれど、女の子の親兄弟だって怒るだろう、あれじゃ。
で、その描き直した方の「ハーバーちゃん」はというと、これはもう純粋に「ヘタ」だった。といっても、ただのヘタというよりは、かなり個性的にヘタ。って全然とりなしてないけど・・・。今度のはどんなハーバーちゃんかというと、まあ、マッチョなトロピカルテイストとでも言おうか。
その1 くっきりと濃い輪郭線
その2 妙に大きい目にバチバチのまつげが上下にビッシリ
その3 白い歯
その4 オレンジ色の肌
取りあえず、CMの女の子に似ていないことだけは確か。
でもまあ、迷い無く自信を持って描かれたっぽい感じが、イラスト的ということで許される道をかろうじて残しているというか。
考えてみると、考えたくないけど、あの看板屋さんには、「ハーバーちゃん1号」を描いた新人と、「ハーバーちゃん2号」を描いた兄貴分がいたわけだ・・・。さらに、実際は「新人と兄貴分」ではなくて「弟子と親方」っていうこともあるかも知れない。なんとナイスな2人組。恐ろしすぎてまた口がきけなくなりそうだ。
そんなこんなで
まあ、そんなこんなで、今回のカプチーノの「クマ」のような絵、特に人物画を見ると「うわっ、ハーバーちゃん!」とか「これはもうハーバーちゃん!」とか思ってしまう。
他の人が描いたときには口に出して言わないけどね、礼儀正しいから。
念のために付け加えると、このカプチーノの「クマ」は、リアル「ハーバーちゃん」とは比較にならない上手さだ。
いやもう「ハーバーちゃん」は次元が違う。