コワレおかきをアップサイクルした食べるスプーン
こんにちは。商品開発チームのハヤミズです。
前回に引き続き、これから先の100年後も愛される企業であるために実施している「未来のためのサステナブル・アクション」をご紹介します。
おいしいことはもちろん、より社会に役立つ会社になるため、私たちは環境にやさしいことにチャレンジしています。
その中で生まれたのが、廃棄されてしまう“コワレおかき”を配合した食べるスプーン『みらいスプーン』です。
いつの日か、「スプーンは食べもの」になっているかも
『みらいスプーン』は食体験を通じて、より多くの人に笑顔になっていただきたいという思いから生まれたアップサイクル商品です。
特徴は3つあります。
使い捨てスプーンのかわりに使える
そのまま食べてもおいしい
廃棄されてしまう醤油おかきを配合
1.使い捨てスプーンのかわりに使える
外でアイスやプリンを食べるときにもらうスプーンは、加工のしやすいプラスチック製の使い捨てスプーンが多いかと思います。
使い捨てプラスチックごみの削減は一人からはじめられる社会貢献活動のひとつです。自分にできることを試してみるきっかけになったら嬉しいです。
2.そのまま食べてもおいしい
『みらいスプーン』をスプーンとして使って終わりでは環境にやさしいとは言えないかもしれません。
なぜなら、食べられるスプーンは小麦粉や砂糖、卵など、さまざまな食材を使ってつくられているからです。
スプーンとしての機能だけではなく、『みらいスプーン』ならではのおいしさの提供もとても大切だと考えました。「みらいスプーンで食べると更においしくなる!」と、最後まで笑顔で食べきってもらえるように味の工夫、おいしさを追求しました。
3.廃棄されてしまう醤油おかきを配合
生地が欠けていたり見た目がいびつで製造工程ではじかれてしまったり、そんな“おかき”が年間約20トンも出ています。
製造工程でコワレを減らせるようにすることと、Kakecco(かけっこ)として商品化しお客様にお届けすることでフードロス削減をしています。しかし、それでもまだ廃棄されてしまうコワレおかきはあります。
そこで、見た目ではじかれ廃棄されてしまう醤油おかきの特徴を活かした、塩味のきいた「しょうゆ味」のスプーンを完成させました。
※『みらいスプーン』は、食べられるスプーン「PACOON」の開発・販売を手がける、株式会社勤労食と共同開発したオリジナル配合の商品です。
23年11月2日~4日に開催された、GRAM Kakecco POP UP STOREにて試食体験を行いました。
ご来店された150名以上のお客様に試食体験をしていただくことができ、アンケートの「心に残る体験でしたか?」の質問に9割以上のお客様が「心に残る体験と思う」と回答されました。
なぜ煎餅屋がスプーン?
企画提案時にも社内からたくさん疑問の声があがってきました。これを読んでみなさんもそんな風に思ったかもしれません。
多くの人がお煎餅やおかきを食べるシーンを想像したとき、スプーンを思い浮かべないかと思います。私も思い浮かべません…。
では、どうしてスプーンをなのか?どうしてこんなことをするのか?
『みらいスプーン』をつくるまで長い道のりがありました。
私たちはミッションとして社会問題を解決することを掲げ、笑顔づくりのクリエーター・チームになるというビジョンのもと活動しています。
社会問題を解決することとして、自社で廃棄されるおかきがまだあるが、どうしたらフードロスを減らせるか?
笑顔づくりのクリエーター・チームとして、今までのおかきシーン以外で記憶に残るたのしい食体験はどうしたらつくれるか?
私たちは創業100周年の老舗煎餅屋です。
これからの未来に向けてできる私たちならではのチャレンジは何だろうと考え、小さなアクションでも一歩を踏み出し、未来につなげていけたらと思い動き始めました。
Kakecco(かけっこ)のアップデートへの思い
フードロス削減をめざし生まれた「Kakecco」は廃棄されてしまうコワレおかきをそのまま活かし新しい商品にしたものです。
そんなKakeccoに手を加え、新たな価値をつけて生まれ変わらせることができたら未来に向けたアップデートになるのではないかと考えました。
日本人にとってなじみのある「もったいない精神」に通ずるものがアップサイクルにはあるのではないか、そして、モノが持つ本来の価値を失うことなく新しい価値を生み出すことができたら、きっと素敵な商品が生まれる!と企画を進めました。
アップサイクルといっても多くの選択肢があります。
染料にしたり、資材にしたり、雑貨にしたり…。
私たちはおかきを製造・販売するものづくりのメーカーであり、笑顔づくりのクリエーター・チームです。たくさんの選択肢の中から以下の3つの思いを込めて「食べられるスプーン」をつくることに決めました。
食べるという体験を通じて、笑顔になってほしい
小さな子どもからお年寄りまで、誰でも気軽に楽しんでほしい
社会問題について考えるきっかけになってほしい
正解のない険しい道のり
食べるスプーンをつくると決めてすぐに商品ができあがったわけではありません。共同開発をしてくださった勤労食さんにご協力いただき、チームメンバーにアドバイスをもらいながら何度も試作や検証を行いました。
・おかきの配合量を増やすとスプーンとして機能しない
試作をご相談したときに「今までスプーンにおかきを入れたことがない」とのことで私たちも勤労食さんも初めてのチャレンジでした。
「廃棄されてしまうおかきを少しでも多く配合してアップサイクルしたい!」「おかきらしさ(味や風味)を出したい!」しかし試作は思い通りにはいかず、配合量を増やすと壊れやすくスプーンとして使えませんでした。スプーンとしてきちんと機能するものにするため、試行錯誤を繰り返し調整していきました。
・醤油味と食べ合わせる商品(アイスやヨーグルト)とのバランス
おかきらしい「しょうゆ味」のスプーンが完成した後も検証すべきことがたくさんあります。
食べ合わせの相性のよい商品をさがすため、アイスやヨーグルト、合計16種類の商品をみらいスプーンで試してみました。
固いアイスをすくおうとするとすぐ折れてしまう。
酸味が強いものはスプーンの塩味と相性があまりよくない。
甘みの強いものや素材の味が濃いものはスプーンの味がかき消されてしまう。
こちらもなかなか思い通りにはいきませんでした。
たどり着いたおすすめ
現時点での私たちのおすすめは、乳脂肪分の多いアイスクリームや、酸味のおだやかなクリーミーなヨーグルトです。『みらいスプーン』と一緒に食べると甘さとしょっぱさの相性がよいです。
他にも、醤油と同じように麹の発酵でつくられる酒粕味の商品とはそれぞれの素材が掛け合わさり、どちらの味も引き立つバランスのよい食べ合わせだと分かりました!
スプーンの形にしたことで、ピクニックやキャンプなどのアウトドアで使ったり、ホームパーティや特別な日にオードブルに添えたり、いつもとちょっと違う体験ができます。
「スプーンまで食べられるよ」「醤油のおかきが入ってるんだって」と会話がいつもより弾むかもしれません。
引き続き相性のよい食品、シーンを探していきたいと思います。
イベントで実施したアンケートではお客様からうれしい声をたくさんいただくことができました。
試食体験、アンケートにご協力してくださった皆さま、声を寄せてくださりありがとうございます!
これからも未来に向けた新しいチャレンジを続けていきます
今後、使い捨てスプーンを使用しているような場面(牧場やカフェなど?)で商品コラボをしたり、カジュアルギフトやご褒美としての商品化をチームで計画していく予定です。
食べるスプーンの新しい体験でたくさんの笑顔をつくり、未来について考えるきっかけづくりができたら嬉しいなと思います。
みらいスプーン以外にも創業100周年を機に、様々なチャレンジを行っています。企画や商品の最新情報はメルマガで配信されますので、ぜひ登録して情報をチェックしてみてください。
未来に向けたチャレンジ以外にも、フードロス削減の取り組みは通年で実施しています。
Kakeccoの売上の3%は飢餓の子どもたちを減らすための「水と食糧のための募金」に寄付されます。
何かが大きく変わるようなアクションではないのかもしれません。
それでも、『みらいスプーン』を通して一人でも多くの人が笑顔になり、未来や社会について考えるきっかけになったらそれはとても大きな価値があると私は信じています。
『みらいスプーン』の名前の中にはおかきの原材料である「ライス(お米)」が隠れているんですよ。
「思いやり」の一粒一粒から笑顔が生まれ、広がっていきますように。