仮設機材に使われる「メッキ」とは?ドブメッキとプレメッキの違いや特徴を解説 2024/2/26
鋼材の表面処理方法の1つにメッキがあります。メッキとはどのような処理方法で、どんな効果があるのか気になる方もいるでしょう。メッキの効果を知れば、建設資材の材質の検討やコストの削減ができます。
今回はドブメッキとプレメッキの違いや、それぞれの特徴について解説します。本記事でメッキについて知ることで、耐食性やコストを考慮した建設資材の選定が可能になります。
1.メッキとは何か
メッキとは、金属や非金属の表面に薄い金属の膜を張る加工技術を総称する言葉です。メッキと同じく、よく知られた処理方法に塗装があります。塗装は塗料を塗膜する表面処理方法であるのに対して、メッキは素材の表面に金属の皮膜を生成する処理を行います。
メッキは製品に金属特有の光沢を与え、見た目を美しく仕上げます。また生成された皮膜によって、劣化やサビ、摩擦の予防効果も期待できます。メッキの由来は、「滅金(めっきん)」にあるといわれています。
「滅金」とは水銀に金を浸す作業で、水銀で覆われて金がなくなったように見えるため、このように呼ばれていました。その後次第に「鍍金(めっき)」と呼ばれるように変化し、現在ではJISで定められた正式な表記は「めっき」となっています。
2.ドブメッキ(溶融亜鉛メッキ)とは
ドブメッキとは表面処理方法の1つで、高温で溶かした亜鉛に鋼材を浸し、表面の亜鉛被膜を形成する方法のことです。メッキ槽に鋼材を浸ける様子から「ドブメッキ」のほかに「テンプラメッキ」とも呼ばれています。
2-1.ドブメッキの特徴
ドブメッキは、橋梁やプールのドーム、ガードレールなど、さまざまな用途に使用されています。そんなドブメッキには以下のメリットがあります。
■防錆効果が高い
ドブメッキの特徴の1つに防錆効果の高さがあります。メッキ処理時の電気化学作用によって緻密な保護被膜を形成することで、素材を長期間腐食から守ることができます。また、亜鉛皮膜、酸化亜鉛被膜には長期間の耐食性があるだけでなく、犠牲防食作用によって、ピンホールや傷を防食してくれます。
耐候性は、メッキの厚さに比例して高くなります。また、溶融亜鉛メッキ処理された鋼材はコンクリートの中でも防食性を発揮します。カルシウムを多く含んでいる打設直後のコンクリートは、強アルカリ環境です。
溶融亜鉛メッキの表面は強アルカリによって溶解しますが、カルシウムと反応した溶融亜鉛メッキ表面には保護性皮膜が生成されます。この保護皮膜のおかげで、アルカリ環境でもほとんど溶解しなくなり、下地の亜鉛被膜を保護します。
■コストパフォーマンスが高い
ドブメッキには、コストに対して高い耐食性が得られるという特徴もあります。また、大気中・土壌中・海水中でも、追加の保守工事なしで優れた防食効果が継続するため、ほかの防食方法と比べて経済的です。
■密着性が高い
密着性の高さもドブメッキの特徴です。溶融亜鉛メッキ皮膜は、鋼材と亜鉛との合金反応によって密着しているため、塗装と比較すると密着性に優れており、衝撃や摩擦によって剥がれることが少ないです。そのため、長期間にわたって素材を保護することができます。
■処理にムラがない
ドブメッキは、溶融亜鉛メッキ槽に鋼材を浸す工法のため、細部に手が届かないような複雑な形状の鋼材にも、十分な厚さの均一なメッキ皮膜を作ることができます。そのため、ムラがない美しい仕上がりになります。
2-2.ドブメッキの作用
ドブメッキには「保護皮膜作用」や「犠牲防食作用」、「合金層」と呼ばれる作用があります。それぞれを詳しく紹介します。
■保護皮膜作用
ドブメッキの作用の1つに「保護皮膜作用」があります。「保護皮膜作用」とは、素材と亜鉛の合金が作られることで、亜鉛メッキの表面に空気や水を通しにくい亜鉛の酸化皮膜が形成されることをいいます。
この酸化皮膜は密着性が強く、剥がれ落ちることがありません。そのため、溶融亜鉛メッキ処理されたものは、ただの鉄素材と比較して腐食速度が遅くなります。
■犠牲防食作用
亜鉛メッキ表面に薄い酸化亜鉛の皮膜が張られることで、よりサビに強くなります。万が一、傷によって素地が露出しても、傷周辺の亜鉛が鉄より先に溶け出して電気化学的に素地を腐食から保護します。これを「犠牲防食作用」といい、サビが広がることを防ぐ効果があります。
■合金層
ドブメッキの大きな特徴の1つとしては、「合金層」も挙げられます。「合金層」とは、2つの異なる金属同士の間に発生する層のことです。この化学反応によって亜鉛と鉄が強力に結合するため、メッキが剥離しにくくなります。よく比較される塗装に対し、剥がれにくさの面では、溶融亜鉛メッキのほうが優れています。
3.プレメッキ(高耐食めっき鋼板)とは
プレメッキ(高耐食めっき鋼板)は、ドブメッキよりも優れた耐食性と耐久性を兼ね備えた鋼板です。通常の鋼板にアルミニウム、マグネシウム、亜鉛を主成分とする特殊なメッキ層を皮膜させることで、屋外環境や水気の多い劣悪な環境でも長期間耐食性を保持できます。
プレメッキはドブメッキと比べても10倍以上の耐食性があります。代表的なプレメッキの製品としてZAM鋼板やエコガル、スーパーダイマなどがあります。
3-1.プレメッキの特徴と作用
プレメッキはドブメッキよりも優れた耐食性を持ち、そのほかにも以下のような特徴があります。
■ドブメッキよりコストパフォーマンスが高い
プレメッキはドブメッキと同じ作用を持つだけでなく、ドブメッキに比べて高い耐食性があります。通常の鋼板に必要なメッキ処理が不要で、製造にかかる時間やコストを削減できます。
■仕上がりがきれい
プレメッキは、ドブ漬け処理する際にできるダレや溜まりがないため、表面がきれいに仕上がるという特徴があります。耐候性が必要で、化粧としてステンレスを使いたいけれどコストオーバーしてしまう場合や、スチールにメッキ処理では見た目が気になる場合にはプレメッキの使用が適しています。
■導電性に優れている
電気の流れやすさ(導電性)は金属の種類によって異なります。プレメッキに含まれるアルミニウムは導電性に優れており、静電気を逃がしやすい特徴があります。電子機器などは静電気によって誤作動を起こすことがあるため、プレメッキは電子機器類と相性が良いといえるでしょう。
■アルカリに高い耐性がある
プレメッキは表面に亜鉛系保護皮膜が形成されており、成分としてマグネシウムやアルミニウムを含んでいます。この保護皮膜はアルカリに対して耐性が高く、コンクリートなどのアルカリ成分の浸食を強力に防ぎます。
4.仮設機材にはどちらが使用されている?
仮設機材としては、現状はドブメッキのほうが多く使用されています。しかし、ZAMやエコガルなどドブメッキよりも耐食性に優れたプレメッキ製品もあります。プレメッキの方が仮設機材が長持ちし、安全性も高いです。
中央ビルト工業の仮設機材も基本はドブメッキを使用していますが、幅木やスカイフェンスには高耐食鋼板を使用しています。
【幅木】
・各社くさび緊結式足場(次世代足場)用(φ42.7、48.6兼用)
・枠組足場用
・折り畳み式(φ42.7、48.6兼用)
・アルミスカイガード専用幅木
・妻側幅木
【スカイフェンス(養生枠)】
・枠組足場用
高さ850mm:幅596mm、896mm、1196mm、1496mm、1796mmの5種類
高さ862mm:幅606mm、910mm、1215mm、1520mm、1824mmの5種類
・くさび緊結式足場用
高さ900mm:幅591mm、891mm、1191mm、1491mm、1791mmの5種類
高さ900mm:幅601mm、905mm、1210mm、1515mm、1820mmの5種類
高さ950mm:幅601mm、905mm、1210mm、1515mm、1820mmの5種類
5.まとめ
今回はドブメッキとプレメッキの違いやそれぞれの特徴について解説しました。鋼材の使用用途や使用される環境によってメッキ処理方法を使い分けることで、安全性の向上やコスト削減につながります。本記事を参考に適切なメッキ処理を選定することで、低コストかつ安全性の高い現場を実現しましょう。
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