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足場のたてじについて解説!役割や補強方法も紹介 2023/7/10

様々な業種において、その業界だけで使われている言葉がたくさんあります。いわゆる「業界用語」です。業界用語を知らないと、業界内でのコミュニケーションに支障が生じるでしょう。

建築業界においても同様に業界用語があります。建築業界ではリスクの高い作業が多くあり、コミュニケーションに支障があると災害や事故の原因になりかねません。

建築工事の中でも、特にリスクの高い作業として足場組立作業があり、足場組立作業では多くの専門用語が使われています。代表的な用語として「たてじ」があります。「たてじ」は足場にとって基本であり、重要な役目があるため、言葉を理解していないと仕事になりません。

そこで今回は、足場作業の基本である「たてじ」について解説します。


1.足場のたてじとは

「たてじ」とは、足場などの仮設構造物の支柱となる部分のことで、地面に垂直に立てる部材のことです。「たてじ」は漢字で表すと「建地」となります。

「建地」の中でも建物に近い建地を「前踏み」、逆に建物から離れている建地を「後踏み」と言います。足場の組み立て作業を行う作業者は、これらの用語を理解して作業する必要があるでしょう。

2.足場のたてじの役割

建地の役割は、足場全体を支える基礎となります。建地は地面と垂直状態にすることで、足場を支える支柱となり、足場の重量を建地で受けることになります。

足場の重量を支えるために、建地を設置する間隔が重要です。建地の設置間隔は一般的に1.8メートル、丸太の場合2.5m以内とされています。これは、建地に取り付ける布や腕木などの長さが、長いもので1.8メートルと共通化されているからです。

仮設構造物である足場は、作業を行う構築物によって高さを調整できなければなりません。足場の高さを調整するためには、建地の高さを調整します。

足場を高くする場合、「建地を高くする」とは言いません。足場を高くする場合は、「建地を伸ばす」と言います。建地を伸ばす場合、地面に近い建地から垂直に立っていることが重要です。

地面に近い建地が垂直に立っていないと、建地を伸ばしていくうちに足場が斜めになってしまい、崩壊する危険性があります。建地の役割を果たすために、建地を垂直に立てることが大切です。

3.足場のたてじの補強方法

建地を伸ばしていく場合、地面と垂直に立てる以外に、建地で支える重量が増えることを忘れてはいけません。

建地の材料は、単管と呼ばれる鋼管で作られており、支えられる重量は決まっています。建地を伸ばしていく時の注意点として、建地の許容荷重を超える場合は、建地を補強しなければなりません。

主な足場の種類として、単管足場、くさび緊結式足場、わく組み足場などがありますが、どの足場でも地面と垂直に立てる支柱は建地と言います。

建地を補強する方法は、足場の種類に関係なく同じです。建地を補強する方法としては、同一個所の建地を2本組みにして補強します。

単管足場の場合、足場の組み合わせが自由にできるため、建地を2本組にすることは容易にできます。くさび緊結式足場やわく組み足場の場合は、各メーカーでユニットとして強度が保証されているため、建地の補強方法は各メーカーに確認すると良いでしょう。

4.足場の高さ制限


建地を補強しなければならない理由は、労働安全衛生規則第571条の第1項第3号で、建地の最高部から測り31メートルを超える部分については、建地を2本組にしなければならないと決められているからです。

ただし建地の下端に作用する設計荷重が、当該建地の最大使用荷重を超えない時はこの限りでないとされています。この規則によって建設業労働災害防止協会では、足場の種類別に原則的な高さ制限を以下のように決めています。

4-1.単管足場

建地1本組みの場合、建地の高さは31メートル以下とされています。建地の高さが31メートル以上になる場合は、労働安全衛生規則で定められているように、建地を鋼管2本組にしなければなりません。

4-2.くさび緊結式足場

くさび緊結式足場は、建地の高さを31メートル未満で使用します。建地が31メートル以上となる場合は、くさび緊結式足場以外の足場を選択しましょう。

4-3.わく組み足場

枠わく組み足場は、建地の高さが45メートルまで使用できます。他の足場と異なり、通常の構造でも建地の高さを31メートル以上にすることが可能です。

1972年に制定された労働安全衛生規則では、足場を31メートル以上の高さに組み立てる場合、鋼管を2本組にすることとされていました。

しかし2015年の規則改正で、建地の下端に作用する設計荷重が、最大使用荷重を超えない時は2本組とすることを要さないとなりました。

そこでわく組み足場の技術基準の見直しが行われ、当該建地の最大使用荷重を超えない範囲であれば、31メートル以上の高さまで伸ばせるようになったのです。


5.足場の最大使用荷重

規則の改正と技術基準の見直しによって、補強をしないで最も高い建地を組める足場は、わく組み足場となりましたが、足場の高さを決める場合に重要なのが最大使用荷重です。

最大使用荷重とは、「建地の破壊に至る荷重の2分の1以下の荷重」のことで、わく組み足場であっても最大使用荷重が超える場合は、高さ45メートルの高さまで足場を組むことはできません。

最大使用荷重を算出する場合は、足場に積載する重量だけでなく、足場に付属するものについても考慮する必要があります。

例えば工事現場が道路に面している場合、足場の下を歩く通行人などに落下物が当たらないように、朝顔と呼ばれる防護柵を設置しなければなりません。朝顔を設置する場合、朝顔の重量が建地に荷重としてかかります。

また飛散防止のために、養生シートを設置することもあるでしょう。養生シートは網目状になっているものやシート状のものがあります。

それぞれ単位面積当たりの重量は異なりますが、どちらの養生シートであっても足場全体に施工する場合は、最大使用荷重に影響する重量となるでしょう。

6.足場に発生する応力

ここで足場の部材に発生する応力について説明します。応力とは、材料が外力を受けた時に材料内部に発生する力のことです。外力と応力が釣り合っている状態であれば、材料は破壊することはありません。

材料に発生する応力としては、引張応力、圧縮応力、せん断応力があります。建地にかかる応力は、圧縮応力とせん断応力です。一般的に材料は、圧縮応力はせん断応力よりも強いという特性があります。

足場に使われている単管の場合、許容せん断応力が1,368kgf/㎠に対して、許容圧縮応力は2,400kgf/㎠です。建地も同様に許容圧縮応力の方が、せん断応力より強い応力があります。

しかし、朝顔や養生シートなど足場の片側にしか設置しないものがあると、建地にせん断方向の応力が発生するため、許容できる応力にも影響があります。建地を地面に対して垂直に立てるのも、足場の荷重を圧縮応力で受けるためなのです。

7.まとめ

今回は、建地について解説しました。建築現場の足場は、長期間設置されることが多いため、足場を組んだ時は建地が垂直であっても、時間が経つと作業による偏荷重や風などによる外力によって、当初の垂直状態が保たれていないということもあるでしょう。

また工事の進捗によっては、足場にかかる荷重が変化することもあります。建地に過剰な応力がかからないようにするために、足場の最大使用荷重の管理が重要です。そして足場については、作業開始前の点検が義務付けられているため、しっかりと点検を行って安全に作業をしましょう。



▼中央ビルト工業 製品ページ

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