夢のような大群のはなし
きっと誰しもが「あれは夢だったのかな」と思う出来事があったのではなかろうか。
私は夢のような大群に遭遇したことが人生で二度ある。
一度目は小学生の時。
私は海に潜るのが大好きだった。
とはいってもまだ小学生だったので、
浅瀬でぷかぷかと浮きながら、
ゴーグルつけて顔を波につっこんで
海の中を眺めていたのであった。
「ん?」
いつも潜る浅瀬のその場所には
蛸壺がひとつ、水中の砂の中に埋まっていた。
錆びて貝なんかがひっついて、
おそらく誰かが落としてから
ずいぶん熟成されてしまったのだと思う。
その日、蛸壺じたいはいつもの通りなのだが
どうも様子がおかしいのだ。
蛸壺の周りを囲むように
おおきなおおきな輪を描くように
イカの大群が海の上をふわふわと
漂っていたのだ。
「なんで」
のあとに考えたことは
「なんで...蛸壺なのにイカ?」
どうもよく思い出せないのだ。
あれは夢だったのだろうか。
二度目の大群の話はまたいつか別の日に。
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