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複数所有への誘い:モノに溢れる私の矛盾した日常

 シンプルに生きるって、どうしてこんなに難しいんだろう?

 「必要最低限のモノだけで生きたい!」そう心に決めたはずなのに、気がつくと部屋の片隅に「必要だったはず」のモノたちが山積みになっている。休日のおでかけだって例外じゃない。

 みなさんは、休日に出かけるときのカバンの中身、どうしてますか?

 私の理想は、ポケットにスマホ一台。それだけで気軽に動き回れる身軽さ。

 でも、現実は違う。

 まず財布が必要になる。

 キャッシュレスが進んだといっても、現金が必要な場面って案外ある。スマホのバッテリーが切れるのが心配だからモバイルバッテリーとケーブルも追加。ポイントカードだって必要だし、ティッシュとハンカチも欠かせない。ここまで来ると、ポケットじゃもう無理。仕方なくサコッシュを持ち出す。

 ところが、それだけでは終わらない。

 「電車の中で暇になったら?」と不安になり、iPad miniがカバンに仲間入り。

 「買い物するしエコバッグもいるよね」と思い出して追加。

 「あ、この場所でいい写真が撮れたら素敵だな」と思い、一眼カメラも引っ張り出してくる。そして、それを収納するためにさらに大きなカメラ用リュックが必要になる。

 結局、身軽に出かけたいという最初の希望はどこかへ消え、気がつけばカバンがパンパンになっている。

 この現象、学生時代の修学旅行でも同じだった気がする。持っていく必要なんてなかったガイドブックや小物たち。それなのに、あれこれ詰めているときの楽しさったらなかった。

 結局、ほとんど使わないモノが多いのに、カバンに詰め込む時間が楽しくて仕方ない。これは矛盾なのか、それとも私たちの本能なのか。

 思えば、「複数所有」ってこういうことなのかもしれない。

 本当に必要なのはひとつだけ。それはわかっている。けれど、選択肢を持ち、何かが足りなくなる心配を消し去ることで、安心感や楽しさが生まれる。だから、気がつけば複数のモノに囲まれてしまうのだろう。

 たった一台のスマホで事足りるのに、あえてモバイルバッテリーやiPad、カメラまで持ち出してしまう。その行為は無駄と言えるかもしれないけれど、実はその「余分なもの」が生活を豊かにしているのかもしれない。

 詰めすぎたカバンに肩を痛めながらも、それが意外と幸せな瞬間だったりするものだから。

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Siestan
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