気象予報士と見る『気象庁の人々』#06
Netflixにて配信されている『気象庁の人々:社内恋愛は予測不可能?!』。今回は第6話 ヒートアイランド現象 を見ていきたいと思います
第6話ではシウやハギョンらとその家族について描かれていました。コラムが書けず悶えているギジュンもいましたね。ギジュンは女性からみるとどう映っているのでしょうか?
さて、今回のサブタイトルのヒートアイランド現象ですが、作中では軽くしか出てきませんでしたね。私も予報士試験の勉強では触れてこなかったため、簡単に調べてみました。
1.ヒートアイランド現象とは
まず、ヒートアイランド現象とはそもそも何でしょうか?Heat Island つまり熱の島という意味ですが、これは都市の気温が周辺よりも高くなることを指しています。
実際にどのくらい気温が上がっているのでしょうか。下のグラフを見てください。これは2017年までの100年間の平均気温について、東京と都市化が少ない15地点を比較したものです。近年になるにしたがって、東京の平均気温が上がっていることがわかります。実際には、都市化が少ない15地点の平均は100年間で1.5℃上昇しているのに対し、東京は100年間で3.2℃上昇しています。温暖化の影響に加え、都市化の影響によって東京の平均気温がより上昇しているということが推察されます。
さらにもう少し掘り下げてみます。下のグラフは都市化率と年平均気温の変化率の関係を見たグラフです。都市化率が増大すると、最高気温の伸びよりも最低気温が伸びることがわかります。ヒートアイランド現象では気温が上がるとも言えますが、気温が下がりにくいという言い方の方がより適切なのかもしれません。
また、ヒートアイランド現象は、夏よりも冬の方がより強く効くこともわかっています。なんとなく夏が暑くなる印象のヒートアイランド現象ですが、じつは冬も暖かくなっているというのは調べていて意外でした。
2.ヒートアイランド現象の原因
ヒートアイランド現象の原因についてみていきます。都市が暖まるのは、熱が原因です。その熱の原因としては、
①土地利用の変化によって、地表面からより強く大気が加熱されるため
②人工排熱により大気が暖められるため
の2点が考えられています。
草地や森林と比べると都市はアスファルトやコンクリートに覆われています。草地や森林では水の蒸発や植物からの蒸散によって熱が一定程度吸収されています。一方で緑が少ない都市ではその効果が小さく、さらに建物や道路が熱を蓄えやすく、夜になってもなかなか冷めにくいため、熱がこもりやすいというわけです。
また、エアコンや自動車からの排熱によって大気が直接加熱されることとも原因として指摘されています。気象庁による研究では、これらの排熱は、夏季の首都圏の気温をの0.5℃上昇させる効果があるともいわれています。
3.まとめ
今回はヒートアイランド現象の説明に終始してしまいました。現代の都市環境から考えると、ヒートアイランドは避けられません。世の中的にも、ヒートアイランド現象に対してよりももっとマクロな地球温暖化に向けての対策が主眼となっている気がします。
第6話ではハギョンのお母さんが熱中症で倒れてしまいました。今年の夏もきっと熱くなります。皆様は冷房を適切に使って過ごしてください。
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