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気象予報士と見る『気象庁の人々』#08

Netflixにて配信されている『気象庁の人々:社内恋愛は予測不可能?!』。今回は第8話 不快指数 を見ていきたいと思います。

第8話
外の暑さに加え、空調の故障で庁内の不快指数が急上昇。皆のイライラが募るなか、過去の出来事をめぐって互いへの怒りを爆発させるシウとギジュン。

Netflixより引用

8話では梅雨入り前の時期に空調機の故障で物理的に不快指数が高まったのと対比して、シウとギジュンをはじめ、登場人物たちの不快指数、イライラが募った回になっていましたね。
今回はサブタイトルの「不快指数」とは何かというところと、梅雨入りについて書いていこうと思います。

1.不快指数とは

不快指数という言葉は耳にしたことも多いと思いますが、今一度定義を確認してみましょう。不快指数とは、「気温と湿度から求められる蒸し暑さの指数」のことです。不快指数が高いほど気温・湿度が高い、つまり蒸し暑いということになります。

計算式は以下の通りとなります。

不快指数計算式

この式の通り、温度と湿度が決まると不快指数が求まります。
温度や湿度が大きくなると、不快指数も上がっていくのですが、肝は計算式の一番下の(0.99×温度-14.3)のところです。

温度が15℃に近くなると、(0.99×温度-14.3)の部分が0に近い値になっていくので、湿度が高くなっても不快指数はあまり上昇しません。温度によって、湿度の影響度合いが変わるように公式が設計されているのです。画期的ですね!

そして、気温と湿度によって不快指数がどう変わるかを計算した表がこちらです。

https://eightblog-house.com/architecture-diary481/2/ より引用

15℃前後だと湿度によって不快指数が変わらないのに対して、気温30℃を超えてくると、湿度が上がると不快指数がぐんと上がることがわかります。これは皆さんの経験とも合致しているのではないでしょうか。

2.梅雨入りについて

作中では梅雨入りのタイミングについて、庁内で議論が行われていました。梅雨入りの予測を外すとまた国民から非難されてしまう、と慎重になっていましたね。

そもそも梅雨とは、気象庁の定義によると「晩春から夏にかけて、雨や曇りの日が多くあらわれる現象、またその期間」のことを指しています。梅雨が生じるメカニズムは次回書こうと思っています。

ではなぜ梅雨が注目されるのでしょうか。それは梅雨は私たちの生活に密接に関連しているからです。
まず、農業を行う上で夏にかけての水を貯えるのにまとまった雨量が必要ということです。特に稲の栽培においては水田に水を張る、田植え後の苗の成長を促すという点で梅雨は恵の雨といえます。
そして、梅雨の時期は大雨による災害が発生しやすいということです。特に梅雨の終わりにかけて西日本では大雨になることがあり、それによって日々の生活に大きな影響が出ます。

3.梅雨入り発表のとらえ方について

気象庁が行っている梅雨入りの発表というのは、実は明確な基準があるわけではなく、暫定的なものになります。そのため、「梅雨入りしたとみられる」という表現がなされており、後から見直されてその年の梅雨入り時期が変更となることもあります。

作中では過去に梅雨入り予想をしたのに全然雨が降らず、気象庁が国民からの非難の的となったといったコメントが出てきていました。ですが梅雨というのは、季節のようなものです。「今日から春です」とか「今日で夏は終わりです」というような明確な境がないのと同じよう、梅雨入り・梅雨明けにも明確な境はありません。

梅雨入りの発表についても、「これから雨が降りやすいという予報なんだな」程度にとらえるのが良いのではないでしょうか。

ですから、もし作中のように韓国の皆様が「梅雨入り発表があったのに、全然雨が降らないじゃないか」と目くじらをたてることがあるとすれば、それは情報を受け取る側にも改めるべき点があるのではと思いました。

3.まとめ

今回は少し短めでした。好きだからイライラしちゃうという気持ち、皆さんは味わったことありますか?私は割とドライな方なので、恋愛の不快指数は低めかもしれません。(それがいいのか悪いのかはまた別の話ですが・・・)

梅雨の時期は雨予報が難しく、曇り予報だったのに雨が降ったり、同じ雨予報でも想定以上の雨量になったりすることがあります。そういうものだと分かっていれば心の持ちようも変わってきます。梅雨にも恋にも余裕が必要なのかもしれないですね。

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