子どものためのペットロスケア。
幼い子どもがペットを失った場合は、大人とはまた違うケアが必要です。
まず、子どもは大人のように自分の感情を的確に表現する言葉を持っていません。わたしも幼い子と対話しながら、その子の伝えたいことを正しく理解してあげられなかった経験があります。その子が持っている限られた言葉の中で伝えようとするので、うまく表現できないのですよね。
また、子どもは大人とは別の関係性をペットと築いています。子どもはペットを信頼できる聞き役として親密な対話をしたりします。また、ペットの世話をすることで「養育」を学びます。ペットは、子どもたちの「親友」となり、「弟妹」となり、いつもそばにいてくれる「安心を与えてくれる存在」になるのです。そのような役割を担っていたペットを失うことは、子どもにとって大きな影響を与えるでしょう。
子どものペットロスからの回復には、周囲にいる大人たちがどのようにフォローするかによって過程が変わります。
大切なペットを失った子どもに対して、大人はどのように接してあげたら良いのか、いくつかのポイントをまとめてみました。
・ペットの死について、わかりやすい言葉で説明してあげること。
子どものペットロスからの回復のためには、子どもが悲しみをきちんと受け止められるように助けてあげることが大切です。そのためにも、ペットの死について子どもが理解しやすいように、なるべくシンプルな言葉で説明してあげる必要があります。
幼い子どもは大人の言葉を文字通りそのままに受け止めます。例えば「ペットは遠くに行ったのよ」というような抽象的な言葉を、子どもたちは上手く理解することができません。「遠くに行ったなら、またすぐに戻ってくるかな」と思ったりします。
子どもたちが混乱しないように、死について真実に伝えるのが良いでしょう。年齢や理解度に合わせて、わかりやすい言葉で伝えてあげてください。
・亡くなったペットの話を極度に避けないこと。
また、亡くなったペットの話を避けることもあまりよくありません。そうしてしまうと、子どもは死んだペットの事を周りの大人たちが忘れてしまったのではないかと感じることがあります。そうすると自分の悲しみをそのままに表現する場を失ってしまう可能性があります。
・自分の悲しみを表現する場を作ってあげよう。
子どもには自分の思いを素直に表現することができる場を作ることが大切です。
言葉で話すことだけでなく、音楽やアートを使って感情を表現することも悲しみを乗り越える助けになります。ペットとの楽しかった日々を絵や工作で表現したり、ペットの思い出の品を整理したり…遊びの要素を取り入れながら、その子の成長や個性に合わせて悲しみを表現できるように助けてあげてください。
また、子どもが「死」について質問しやすい場をつくることも大切です。「死んでしまったペットは、今はどこにいるかな」など問いかけて、子どもに話させることも気持ちを整理する助けになることもあります。
・ペットが死んだのは、子どものせいではないことを教える。
身近な人や動物が死んだとき、子どもは自分のせいだと思うことがあります。「僕がいい子にしていたら、ペットは死ななかったかも知れない」そのように考えて自分を責めたりします。
このような考えは子どもにとってあまり良くありません。ペットはあなたのせいで死んでしまったのではない事を話してあげましょう。
もし実際、子どもが原因でペットが亡くなってしまった場合も、伝え方には慎重に。命の大切さを話すことは大切ですが、責めるような言葉や態度には注意しましょう。
子どもたちもペットを失った悲しみに苦しんでいます。まずはその子の痛みが癒されることを優先しましょう。
・次のペットを飼うタイミング
子どもがペットロスに悲しんでいると新しいペットを早く迎えようとする大人もいますが、子どもが自ら新しいペットを欲しがるまで様子をみるのが良いでしょう。
子どもが亡きペットへの悲しみを受け入れきれてない状態で次のペットを迎えてしまうと、新しいペットをそのままに愛することができなかったり、冷たく当たってしまうことがあります。子どもが亡くなったペットをちゃんと見送ることができるまで待ちましょう。
ペットロスは子どもにとっても辛いもの。その回復のためには周りの大人のサポートがとても重要です。子どもが愛するペットの死を乗り越え、その経験を通して成長することができるように助けてあげてください。