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聞こえた声、言えなかった言葉

これは義父が亡くなったときの話です。

ある日、貧血状態が続き病院に行った義父
血液検査をし医師から言われたのは「白血病」でした。

白血病のなかでも珍しいもので治療をしても生存率が低い病気でした。

それでも、生きるため抗がん剤治療も頑張っていました。
しかし、治療の効果が出る前に病気が体を蝕むスピードの方が早く
病気がわかってから数か月で呼吸も浅くなり意識が朦朧とする時間が多くなりました。

そんな時、医師から人工呼吸器の取り付けを提案されたのです。
提案された夜、夫と義兄弟が集まり「どうするのがいいのか?」のついて話し合っていました。
その集まりは我が家で行っていたこともあり、私は話し合いに参加しないものの、傍で話を聞いていました。

夫は「親父はまだいけると思ってると思う」
義兄弟「〇〇が(夫のこと)長男だから、あなたの意見に従う」といった感じで話し合いは終わっていました。

このとき、本当は何度も口を挟もうとしていた私がいたのです。

なぜかと言うと・・・・
呼吸が浅く体全身で呼吸をする義父から伝わってきたことがあったからです。
それは、「もう、しんどい。早く寝かしてくれ」と言った声でした。

でも、結婚して間もなくて嫁という立場であることと、喋れない義父が言うはずがない言葉を伝えることができなかったのです。

夫達は医師に話し合った結果を伝えるため翌日、病院を訪れたのですが、
こちらの意向を伝える前に医師からは「昨日、帰られたあとにお父様があまりにもしんどそうで眠れない状態が続いて体力も低下していたので人工呼吸器の取り付けました」と言われたのです。

夫達は医師が判断したことだからと何も言うことはありませんでしたが、
私は義父の声を怖がらずにもっと早く伝えておけばよかったと後悔したのです。

この思いは今も後悔として胸に残り続けています。
誰にも話してこなかった出来事をここで話をさせていただきました。

Chulala みちこ





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