【東欧旅行記】アテネで人類の傑作・パルテノン神殿に魅せられる
こんにちは
ドイツに留学中の大学生、桜です。
東欧旅行記最終編、ギリシャはアテネに行ってまいりました。
世界遺産パルテノン神殿は、私の人生で行ってみたい場所リストのうちの一つ。
一方で目をそむけたくなる現実など、たくさん考えさせられたアテネ滞在でした。
到着早々ショックを受ける
イスタンブルから飛行機で約1時間半、アテネ国際空港に到着。
空港から市内まではバスが出ていて、空港を出てすぐの乗り場の横のチケット売り場(対人)で購入することができます。チケットは5.5ユーロでした。
※バスに乗車後運転手さんから直接購入することもできます。
町灯りの異様な少なさに少し戸惑いながらも市内へ到着。
外国を歩いていると、何となくこの路地は危険だな、という感覚が研ぎ澄まされますが、アテネ中心部は(特に夜は)どこにいても危険を感じるのです。
もうすっかり暗くなっていたのでホテルに向かいますが、ここで大きな落とし穴が。
バスを降りてホテルの近くまで徒歩で向かい、グーグルマップを確認しながら予約したホテルを探していると、男の人がすごい勢いでこちらに近づいてきます。
ああ終わった、と思った私は人生で初めて足がすくみ動けなくなっていると、その男の人が
「君たち観光客?何かを探しているの?ここは危ないから絶対立ち止まっちゃダメだよ!歩き続けて!」
と、驚くことに私たちを心配して注意してくれたのでした。
命拾いしたと安心したと同時にあたりを見回すと、おそらくクスリできまっている人や様子のおかしい浮浪者などがうじゃうじゃいて、大きなリュックを背負った私たちを物珍しそうに見ていました。
全速力でホテルに入り、後から調べて分かったことですが、
シンタグマ広場(下の赤丸)から大通り沿いに北へ行った辺り(車線部分)は、エクサルヒアという、浮浪者や薬物中毒にあふれて地元の人でもほとんど近づかないアテネ随一の危険地区だそうで、、、
値段も安く設備もすごくいいホテルで迷わず予約したのですが、それがそんな危ない区域にあるとは思いもよらず…
海外旅行の思わぬ落とし穴だな、と身をもって勉強になりました。
ちなみにその夜食べたお寿司と日本のビールはリーズナブルで美味しくて、安心感で泣きそうに。
ギリシャで日本食が恋しくなったらぜひ訪れてみてください。
パルテノン神殿へ
翌日、いよいよアテネの主役・パルテノン神殿へ。
朝起きてみると昨日の怖さは噓のようでしたが、やはり落書きが多くて道が汚くて、一度財政破綻を経験した国という感じ。
パルテノン神殿へは徒歩で丘を登る必要があります。
そこそこ急勾配なので、真夏の暑いときは少し疲れるかも。
神殿へ入るチケット(30ユーロ)は時間指定制になっているので、丘に登るとまずチケット売り場へ向かい購入してから、入場時間まで近くの無料で入れるスポットを楽しむのが賢い観光の仕方です。
裁判所からのパノラマビュー
チケット購入から入場までの待ち時間で絶対に訪れるべきなのがここ。
ここはアレオパゴスといって、古代ギリシャ時代に高等裁判所として使われた場所です。
現在は建物は残っていませんが、この見晴らしを眺めに多くの人が訪れていました。
振り向くと、パルテノン神殿のある丘(アクロポリス)が見えます。
パルテノン神殿
いよいよパルテノン神殿へ。
この神殿はアクロポリス(ギリシャ語で”高いところにある都市”の意)内にありますが、古代ギリシャの都市・ポリスの象徴であるオリンポスの神々を祀ったこのアクロポリス全体が世界遺産に登録されています。
結構な高さの階段を上って神殿に向かうわけですが、道中には現在もコンサートが行われているイロド・アティコス音楽堂が。
そしてついに現れたのが
パルテノン神殿!!!
これはアテネの守護神であるギリシア神話における全知全能の神ゼウスの娘・女神アテーナを祀る神殿であり、ドーリア式建築並びにその装飾はギリシア美術の最高峰とされます。
写真で何度も何度も見たことのある光景に感動するとともに、思っていたよりも大きい!!
エレクテイオン
パルテノン神殿のすぐそばに位置するのが、エレクテイオンという神殿で、これはギリシア神話の英雄エリクトニオスにささげられたもの。
建てられている地盤に3メートル以上の高低差がある複雑な構造をしています。
デュオニソス劇場
神殿の南側にはデュオニソス劇場が。
葡萄酒の神デュオニソスに捧げられたこの世界で最初の劇場では、デュオニュシア祭と呼ばれる演劇の祭りが行われ、アイスキュロスやエウリピデスなどの古代ギリシャの劇作家は、ここで自作の悲劇を披露し競いました。
石垣を見ていてふと、火山島の日本の石垣と違ってもろそうな堆積岩でできているな、という気づきに面白いなと思ったり。
ゼウス神殿
アクロポリスを降りた東側にあるのがゼウス神殿です。
オリンポス十二神の最高神であるゼウスに捧げられたこの神殿は、五賢帝の一人ハドリアヌスによって2世紀に完成されます。
パルテノン神殿と周辺の施設の共通券を買えばここにも入場することができます。
アテネ国立考古学博物館
アテネ観光の最後は、ゼウス神殿から40分ほど歩いて(治安のこともあって公共交通機関が信用できず)向かった国立考古学博物館です。
昼間ですがやはり中心部を外れると人気が少なくなり、街も落書きだらけで人がいる様子のない建物ばかりでした。
博物館に到着。
古代ギリシャの装飾品や彫刻が多数展示されていましたが、なかでも印象に残ったものをご紹介。
↑こちらは展示物の中でおそらくもっとも有名な、アルテミシオンのポセイドン像。(ゼウス像という説もあります)
↑こちらは古代ギリシャの演劇で使われた仮面です。
大学で演劇に関する授業をとったことがあり、その時出てきたような仮面がずらりと並んでいて感激しました。
↑これは、かつてローマ帝国においてインフラの整備や郵便制度の創設など内政を充実させ「パクスロマーナ(ローマの平和)」をもたらした皇帝アウグストゥスの胸像。
↑一風変わったこんなものも。
これは、アポロ11号に乗って月に行ったギリシャ国旗らしいです。
他にもギリシャ神話を勉強してからもう一度きちんと見たいと思えるものばかりでした。
ギリシャの実態を見て思ったこと
ギリシャ編、さらには私の東欧旅行記はここまでですが、ギリシャという国に来て少し思ったことがあるので書こうと思います。
紀元前に文明の中心として栄えたアテネという町ですが、21世紀の今となっては公務員を増やしすぎた結果人々はまじめに仕事をしなくなり、町は衰え、果てには国家の財政破綻にまで追い込まれ、アクロポリスなどの観光資源に頼りっきりの経済状況です。
落書きだらけ、浮浪者だらけ、薬物中毒者だらけの今の町を見てかつての古代ギリシャ人はどう思うだろう?と考えさせられ、とても悲しくなりました。
栄枯盛衰をここまで体現している国を初めて訪れて思ったのは、やはり私は仕事にまじめで綺麗好きな日本人の気質をリスペクトしているということ。
そして、日本という国がGDPで他国に抜かれつつある中、何百年か後にはギリシャのように衰退してしまっている未来を想像のどこかに垣間見てしまい、こうはなってほしくないと強く願ったこと。
街並み自体が観光資源となっている日本には、外国人観光客を受け入れていくと同時にその街並みを落書きなどから守る使命があるということ。
外国に来て自分の国について考えさせられる、非常に良い機会でした。
そういえば、
この旅行中に知ったのですが、道路における歩行者の優先度とその国の豊かさは比例関係にあるらしいのです。
確かにギリシャでは双方ともに信号のない道路で道を譲ってくれる車は殆ど皆無でした。
こんな風に新たな指標でいろんな国を旅してみるのも面白いかもしれませんね。
改めて、私の東欧旅行記シリーズはここで完結です。
見てくれてありがとうございました!
最後に、めちゃくちゃ美味しかったギリシャのビールを添えて!
それではまた!