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SAPIXと日能研の比較 ⑯算数の重要性と先取り

SAPIXと日能研では、中学受験に必要な科目の中で、算数に置いている重要性の割合が違うと思います。
SAPIXの方が、算数重視です。

SAPIXは、新4年生のカリキュラムから算数の授業前テスト(基礎力定着テスト)があるし、毎日やる算数の基礎力トレーニング帳があります。
計算については、算数のテキスト巻末に計算力コンテストまでついています。
その後もSSの前に算数の確認テストがあったりなど、とにかく算数重視の姿勢です。
生徒と親は、毎日いつでも算数に追われているような感覚があります。

日能研も算数は授業回数が多かったり、特別講座が多かったり、と他の科目よりも重要視しているとは思いますが、SAPIXのその程度の方がずっと高いです。
日能研にも一行計算用のドリル「マスター1095題」があるし、算数テキスト内にも計算は含まれているのですが、「絶対にやらなければいけない」という位置づけではないので(一部校舎・クラス以外は)、毎日必ず算数に触れねばならないという意識にはなりにくいです。

一般的なテストの算数の難易度や理科の算数利用部分の難易度もSAPIXの方が上なので、SAPIXでの順位は算数の出来によって左右されるところが大きくなります。
日能研で上位にくるには、4科目ともに平均点が高めのこともあって4科目バランスよく取る必要がありますが、SAPIXでは理数系に得意が偏っている場合でも上位にくることが可能です。
平均点が低めのテストが多く、理数系だけでもぶっちぎって良い点数を取れれば有利だからです。


特に、算数で大きな差がついてくる5年生の秋以降は、最上位クラスは算数が得意な生徒ばかり集まる傾向が顕著に表れます。
大規模校になると、α2は国語が得意な生徒も多いですが、α1はほぼ算数が得意な生徒ばかりです。
そして、その半数ほどが、算数を先取りしている生徒たちです。

SAPIXは、復習主義の塾であり、塾では初見の問題を扱うという建前をとっています。
ですから、普通にSAPIXのカリキュラムだけで新4年から受験勉強をしている場合には、当然、難易度の高い初見の問題には手こずることになります。
それを家庭学習として必死で復習して自分のものにしていくことでついていくわけです。


ですが、この算数先取り生徒群は、この難易度の高い初見(のはず)の問題を爆速で解いていきます。
天才ならそれもあり得ると思われるでしょうが、解き方を聞くと、絶対に習っていないと解けないやり方だったりするのです。
なぜそんな解法を知っているのか?というと、他塾で先取りしているからです。
フォトン、浜の最高レベル算数などで。

復習主義のSAPIXにおいて、他塾で算数先取りすると、それはもう最強です。
授業中に新しいことを知ることはあまりないので、その点若干退屈そうではあるものの、SAPIXの算数授業には無数に競争要素が散りばめられているので、そこで力を存分に発揮して無双でき、どんどん力を盤石にしていきます。
SAPIX算数の復習時間は短縮でき、他の科目と算数の更なる先取りに時間を回すことができるのもメリットです。

ただし、算数先取りが最強なのは、6年の初めまで。
それ以降は、先取りしていなかった生徒達も知識・経験(演習量)が追いついてくるので、6年夏以降は本当の算数の能力で競うことになります。
非先取り生徒群は、ここから先取り生徒群を追い抜くことができるのです。
逆に、算数先取り生徒群の一部は、最後の最後に算数で偏差値が伸び悩む経験をする場合もあるため、受験本番に向けて勢いが削がれてしまうリスクもあると思います。

日能研においては、算数の重要性が突出しているわけではないせいか、算数を先取りしている生徒も少ないです。
ですから、基本的には、その時の算数の偏差値がそのまま生徒のポテンシャルを含めた出来具合を表していると言えます。
しかし、SAPIXでは、算数を先取りしている生徒が一定数いると考えられるので、ポテンシャル部分の数字の出方は途中までわかりません。





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