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第1章:ちいさな繭にまもられながら、生きている。
-望むものは手にするのに、
ついでに望まないものも手にしようとする。
そして拾ったのが
「私」だ。-
by unknown
私って、何してるんだろう…そんな気持ちを払拭してくれるものに、優しさとか絆とか、そういう呼び名をつけてきて、ほろふると温かい気持ちになって、「でもそれって違うんじゃない」と気づく瞬間がある。
私は繭にまもられているんだ。
素朴で、単純。
欲しいものは欲しいし、
生きたいように生きたい。
でも、一生懸命に生きているつもりなのに、考えるほどに私はほとほと溶けていって、まるで外の世界は光でいっぱい。
綺麗だ。みんな、正しく生きてるみたいにみえる。少し世界に置いてきぼりにされてしまった。そんな私のなかは、ちょっとどろりとしたものがある。
「何処かしら、ちょっとお蚕さんやね。」
自分らしいところは残っても、他は繭のなかで変わりたいって思って溶けている。溶けたまんまで、ほっぽられた、大人になりたいまんまの、お蚕さんだ。
むかし好きだった人たちの訛りが、まだ好きな癖がある。
訛りも、あの人たちのことも、いまだあまり分からない癖、ずっと白くなった記憶の底に、人恋しい気持ちが果てしない。
「もう溶けたんだから、大丈夫。」
今、私をとりまくものは、かたくて厚くて、でも同時に柔らかく温かい匂いのする、私だけのちいさな繭だ。傷つけられるのが悔しくて、惜しみなく傷つける日々も終わった。
あの頃にちゃんと、あの人らのいない未来をみていたら、立派に社会のなかで、ちいさな産毛をはやした、”カイコガ”ぐらいにはなれていたかな。
私って、何してるんだろう…そう思うたびに、あの人らが「まぁ酒でも飲めや」って麦茶をついでくれて、
私って、何してるんだろう…って思うたびに、今は穏やかな窓ガラスの透明な影に彩られて、母と父が並んでキッチンに立つ、偶然な休日が愛おしい。
(※ 2章目から本格化します!諦めずに、2章目から第3章を読んでみて…!🙇♀️ 久しぶりの執筆でまだ慣れない、この1章目もあとでもっと盛り込むつもり🩵✨ 一所懸命がんばる。だから応援してほしい🌱✨ 時間を割いてくれて、ほんとありがとう。)