【通年企画】50音ノベルゲームレビュー思い出抱えてアイにコイ!!
作品データ
作品名:思い出抱えてアイにコイ!!
ブランド:HOOKSOFT
発売日:2021/9/24
ディレクション:桜城なお
原画: RINKS,のいと(SD原画)
ライター:桜城なお
BGM作:SONO MAKER
OP製作:yo-yu
声優:実羽ゆうき,七瀬こより,和央きりか,七
種結花,花澤さくら
評価データ
C(キャラクター要素)4点
アクは強めでクセのあるキャラばかりながらも繊細な登場人物ばかり、だからこそ全員が主人公のように物語を進んで行くようになっている。R(関係性要素)4点
幼馴染ヒロインながらそれぞれがキャラが被らずに魅力を出しているのはかなり高評価。S(世界観要素)3点
幼少の頃に育んだ記憶と帰ってきた今を過ごす日々があるからこその2人の関係性の描写が魅力。G(脚本・展開要素)3点
過去と現在で変ってしまったものと変らなかったものの提示が一部のヒロインにおいて上手くできている。特に兎鞠に関してはこの作品でやるにはタブーだが、この作品でしかできないとんでもない物が仕込まれたH(エロ)2点
着衣か全裸かを選ぶことができるのは嬉しいが、原画に癖があるので抜けない。E(演出力)2点
演出を個別に聞いていくと印象残る物も多いが、曲の使われ方等で印象的なものは少なかった。兎鞠ルート終盤のOPアレンジは忘れられなかった。
戯言
ふと気づいたわけですよ。ここまで4作品ご紹介してきましたが、掲載したゲームはすべて10年以上前のものばかりなんですよね……これじゃ懐古中みたいじゃないですか、本当にヨクナイ。ということで今回はこの作品、思い出抱えてアイにコイ!!をご紹介します。この作品の特色はなんと言ってもすべてのヒロインが幼馴染!所謂属性特化ゲーとなっています。そして幼馴染ヒロインと言えば重要なのが過去の描写、その描写のために過去編まで用意しているのが今作、どうしたHOOKSOFT。系列作品によっては共通ルートさえも用意しないこともあるのに今回は各ヒロインとの幼少期のやり取りから物語が始まっていきます。そして最初のプロローグで引っ越すこととなった主人公が元の街に帰ってきたことからもう一度彼女達との物語が始まり、誰とどのように関係性を深めていくか、本作の構成はこのようになっています。今作をディレクションしたのはHOOKSOFTの最近のゲームを調べている人ならご存じの方もいるでしょう、今作が単独では初とはいえディレクションを行った作品という意味ならば4作目、私個人としては「どっちのiが好きですか」のディレクションを行ったライターとして非常に大好きなライターさんです。この方の担当ルート、割と幼馴染ヒロインが多く、PriministArでの安芸かのこやI×SHE×Tellの花守栞織は担当されたことがとあるインタビューで示唆されています。そんなライターですがアイスキではどうやら幼馴染ヒロインは担当されていなかったとのこと、そんな幼馴染ヒロイン大好きな桜城先生の想いが詰まった作品でもあります。
そんな今作、幼少期から現代でヒロインの容姿も大きく変化していきます。例えばこの郁ちゃん
いや何があったよ。
もはや面影さえも存在しない変化っぷり、この変化はヒロイン毎に存在し、それぞれで語られていくことになります。その中で一番シナリオに組み込めていたのが春ノ原優菜ちゃん!エピローグでこの要素が語られるのですが短いながらもかなりいいエピソードになっています。
ただこの作品、周回性が非常に悪い。分岐方法が各セクションごとにヒロインの好感度を高めて、その中で一番高かったヒロインと一緒に帰ることでエピソードが進んで行きます。このため選択肢が滅茶苦茶多い。この影響で共通ルートにおけるスキップ機能があまり機能しません。すぐに止まります。びっくりするぐらい止まります。この辺がゲーム中における最大の不満点でした。ヒロインルートが多い分何度も共通ルートは通過する必要があり、しかも共通ルートの中で分岐していくタイプの作品、HOOKSOFTのゲームでは定番で付き合い始めるまでの過程を楽しむ要素ではあるのですが、正直もう少し周回しやすい方法が良かったと思います。その代わり見ることができるそれぞれの出来事の後の帰り道をヒロインと共に帰る道のりは中々楽しくできています。この辺はシステムを便利にするのか、ヒロインとの交流を大事にするのかはバランスを取るのは難しいのですが、もう少しシステム側によっても良かったのではないでしょうか。
さてここまで色々語ってきましたがこの作品、正直賛否両論です。理由はたった一つ、彼女にあります。それがセンターヒロインであり、もっとも幼馴染らしいポジションとしてゲーム中で描かれる栗山兎鞠ちゃんです。彼女の何がダメだったか、それは簡単攻略できる彼女は本当の意味で幼馴染ではなかったからです。そもそも幼少時代のシナリオの中で選択肢があるのですが、彼女を選んだ時だけ以下のようなメッセージが表示されます。
この怪しいメッセージ、全ヒロインに対して表示されるのかと初見の私は思っていたのですが、出てくるのは兎鞠だけです。ここで止まることができていればと何回思ったか……最初に攻略しました。彼女に関しては本当の意味では幼馴染ではありません。どういうことか?それは実際にプレイして確認して欲しいのですが、まあこの部分が賛否を呼びました。5人の中で話自体もかなり重い、そして幼馴染と呼べない存在が混ざっているものだからコンセプト詐欺だという声も出てしまいました。まあ確かにそうなんですがそこまで眉間にしわを寄せるようなことには思えなくて正直思うとこはあります。ただそれはそれぞれの感想なので仕方ないことなんでしょう。
それでもこのルート、最後の最後で大きな選択をしていきます。本当に桜城先生が書きたかったことはここなんじゃないかと思っています。本作は幼馴染ヒロイン特化のゲームです。基本的にみんな幼馴染、そしてその過去がベースにあったうえでヒロインとの関係性を深めています。なら幼馴染だからそのヒロインを好きになったのでしょうか。兎鞠のルートではそのことが問われます。幼馴染として一緒に過ごした記憶があるから彼女を選んだのか、再会して好きになったから彼女を選んだのか、この部分の描き方は胸に来ました。賛否を大きく分ける要素だったとしても描き切ったことは評価したいです。そんな女の子のための曲が本作のOPになっており、そして彼女のルートだけEDがこの曲になっています。そう一発目にやっちゃいけないルートです。私は一発目にやって非常に後悔しました。みんな!好きになりそうなヒロインだからってパッケージセンターのヒロインを早々にするのは止めような!
ということで「お」の作品は思い出抱えてアイにコイ!!でした。賛否を分けてしまった作品ではあるのですが、兎鞠のルートは今でも印象に残っていて、ヒロインとしての彼女はかなり好きなヒロインとなっています。重い選択肢を乗り越えたからこそ掴んだものを見ることができると思い入れが深くなりますよね。
そしてそんな桜城なお先生の新作が来月3月24日に発売となります。こちらのタイトルは「恋には甘えが必要です」です。こちらシステム部分はアイスキを踏襲しており、1人につきヒロインルートが複数存在するという代物、こちらの方もぜひ、是非ともよろしくお願いします。
そしてこのアイコイのFDもお待ちしていますHOOKSOFTさん!魅力的なキャラとかかなり実装しているのになんでFD出さないんですか?明らかに立ち絵の量が普段より多くないですか?出しましょうよ。ずっと待ってます。
そして次回はインタールードです。今回はあ行の選んできた作品と選べなかった作品について長々と語っていきたいと思います。いっぱいあるんですよ、候補だった作品。特に「あ」のアレとかアレとか「え」のアレとか。その辺の話をいい加減にグダグダと無責任に語っていきたいと思います。よろしければ一読ください。ではまた次回よろしくお願いします!