【通年企画】50音ノベルゲームレビュー ef -a fairy tale of the two-

作品データ

  • 作品名:ef -a fairy tale of the two-

  • ブランド:minori

  • 発売日:the first tale 2006/12/22 the latter tale 2008/5/30

  • 企画:酒井伸和

  • 原画: 七尾奈留,2C=がろあ

  • ライター:御影,鏡遊

  • BGM作:天門,柳英一朗

  • OP製作:新海誠

  • 声優:赤沢かえで,桜井美鈴,まきいづみ,安玖深音,山田ゆな,三咲里奈(FDのみ),森谷実園(FDのみ)

かつて震災と大火に見舞われ、一度は焼け落ちた街――音羽。
そこは現在、ヨーロッパの童話から飛び出してきたような、美しい街並みとして甦っていた。
まるで、忌まわしい災厄の記憶を覆い隠すように……。

クリスマスの夜。
ひとりの青年が音羽の教会を訪れた。
遠い昔に交わした約束を果たすために。
彼を出迎える少女。
共に過ごした時代を穏やかに語りあう2人。

「ずっとふたりで進んでいこうと決めた」
「そのはずだった」
「なのに、俺たちの手は離れ、違う道を歩いてここに来た」

互いが離れていた時間に、なにがあったのか。
2人はそれを確認しあう。

少女は語る――。

「はじまりは……ちょうど1年前のクリスマスの夜」
「扉を開けて入ってきたのは、ひとりの男の子でした」
「どこかあなたに似ていて――ええ、懐かしい匂いがしたんです」
「だから私は思ったのかもしれません」
「ほんの少しだけ、その男の子の物語に関わってみようって」

http://www.minori.ph/lineup/ef/index.html

評価データ

  • C(キャラクター要素)4点
    アクは強めでクセのあるキャラばかりながらも繊細な登場人物ばかり、だからこそ全員が主人公のように物語を進んで行くようになっている。

  • R(関係性要素)2点
    人物間の相関図部分はかなり複雑に絡み合い、その帰結は見事。だが関係性を強く意識するシーン等が少々弱め。

  • S(世界観要素)3点
    ギミック部分にも関わってくるがとある根幹にかかわる設定の扱いが見事。ただ他の部分に関しては普通の学園物。

  • G(脚本・展開要素)3点
    舞台の異なる2つの街での物語とそれがリンクしていく様は見事。

  • H(エロ)1点
    minoriがエロを舐めていた頃。モザイクは異常に濃いし、シーンも少ない。

  • E(演出力)5点
    背景や差分などなど演出のminoriという評価を欲しいままにしただけの素材量の使い方は見事。どれだけ時代が移り変わってもここに籠る熱意だけは色褪せることはない。

戯言

ということで第4回、今回はefです。こちらも前後編に分かれた作品なので前回同様合わせてご紹介します。minoriと言えばやはりこの作品、この作品があまりに有名過ぎてminoriがエロゲ業務終了のお知らせが出たときにこれかすぴぱらのOPのは話ばかりを見た気がします。アニメも後編が発売されていない時点でシャフトと言えばこの作品とさえいう人もいるほどの名作、私自身もシャフト作品で一番好きな作品です。このアニメは後編に収録される予定だったためにあるヒロインの物語がオリジナルとなっており、こちらも好評……というかアニメ版の方がぶっちゃけ面白いし演出もいい。この結果方々でefはアニメ見ればいいわとさえ言われてしまう始末、どうすんだよこの状況。ただアニメ版にはない良さというのもあるので今回はそんな部分を紹介していければと思います。
本作ですがご存じの方も多いと思いますが、ルート毎に主人公とヒロインが別々に用意された群像劇物になっています。舞台としては冬から始まる雨宮優子、広野紘、宮村みやこ、新藤景、堤京介の5人の物語、そして夏から始まる火村夕、麻生蓮治、新藤千尋、久瀬修一、羽山ミズキの5人の物語がそれぞれthe first taleとthe latter taleにて語られる構成となっております。またlatterには夕と優子の既に終わってしまったはずの物語も合わせて語られる、その中で複雑な人物関係と2つの街を舞台にした出会いと別れの物語とそれによって迎えるほんの少しのカーテンコールが本作の大きな構成要素です。冒頭が夕と優子の再会となっており、やり取りを進めていくにつれて何が起こったかは大体察しは付くのですが、それでもゆっくりと、そして別の人達の恋愛に混じりながら少しずつ語られていきます。ここまで書いていきましたがアニメ版しか見てない方は疑問に思った方もいらっしゃるでしょう。景のルートってあったかと。彼女とその恋人となる京介ですがそもそも覚えている人いますかね。私はアニメ見てた時そんなに印象に残ってなかった気がします。それもそのはずで彼と彼女のルートはアニメ化しておりません。まあ出来的にもなんとも……といったところではあったので仕方ないかもしれません。実際firstに関しては修羅場と負けヒロインのその後、その中で成長していく主人公達の姿というのが大きな軸、まあアニメだけでいいんじゃねと言われたら苦笑いしながら同意すると思います。……あれまずいな、ゲームのおすすめできてねえ。いや違うんだ、ゲーム版もいいんだよ?まずはこちら。

minoriゲーなら良く見る光景。背景もCGのように扱うのいつ見てもすごいと思うんですよ。

演出と言えばminoriと言われるほどで、当時では珍しかったリップシンクや立ち絵のアニメーションやヒロインを映すためというよりもドラマ性の中で必要と思ったからこそ用意したようなCGなど素材量はこの時代の中でもトップクラスのものだと思っています。隣で歩くアレ?あれは……うん、いらないかな……まあそんなこんなで素材量がとんでもないことになったからかこの作品自体は元々は分作じゃなかったはずが分作になる始末、元々は2005年に発表された作品らしいですよ奥さん、CLANNADやFateが発売されたころに作られたと言われたらそのすごさも感じるのではないでしょうか。そしてfirstは割と辛辣なことを言いましたが、latterのシナリオに関してはアニメよりもずっとゲームの方が好きだったりします。
ここで1つ質問、皆さんはアニメとノベルゲームという媒体における大きな違いは何だと思いますか?アニメならば動きというものが思う存分使うことができます。それならキャラが魅力的に動き回るアニメの方がいいじゃないかなんて思う方が大半だと思います、ならノベルゲームの売りは何なのか?シナリオ部分については地の文、そして自分語りできる間というのが大きな長所だと思っています。誰かに向かって口にすることはないはずの想いや感情を文として表現することができる、これは明確な強みで、これがあるからこそ緻密な心情の描写というものができ、逆にそれがないときに彼らの心情を推しはかることができる余地を得ることができる。何も好意をすべて言葉にしなくてもいい、立ち絵の表情やその仕草、そしてその前後における登場人物たちの心情描写があれば、アニメという画面に映るものしか描くのが難しい媒体より勝りうる要素だと思っています。この作品はそんな作品で、群像劇だからこそ今は言葉になっていなくても彼ならこう思っていて、だからこそこのように行動するのだろうという理解やヒロインの言葉などが多く存在します。その中でも最も象徴的なのがlatterにおけるとある2人の描写です。ここに関してはアニメ版では描写が存在しないどころか、設定を変えることでそもそも描写することを避けています。多くの目線が存在して、それぞれに心情描写を行う地の文を用意していたからこそできた名シーンです。
後期のminoriばかりをしている人だと意外と思うかもしれませんが、売れ筋からはかけ離れた設定のヒロインを仕込んでいたことも大きな特徴、その部分も魅力になっているのでいいのですけどね。そんな今作の大きな軸となっているテーマが「未来に進んで行く」というもの、登場人物の多くは大なり小なり今や過去に何らかの後悔やしがらみというものが存在します。それを解消してどのように進んで行くのか、それが描かれます。それはカーテンコールでも同じ、彼の元に舞い降りた奇跡に背中を押され未来に進んで行く物語です。悲しくて最高の結果じゃないかもしれない。でも明日はもう少しだけ頑張ってみようと思える物語、本作のテーマ曲名にもなっている「Will」という単語に違わぬ物語になっています。
……とはいえこの作品、少々悲しみとやらで彩られ過ぎています。あの時ああなっていれば、あの時もしこうすればというifを願わずにいられない展開ばかり、それを解消するためのFDが「天使の日曜日」です。今作では主人公になった4組のカップルたちのその先と3つのifが語られます。誰のどんなifを歩むことになるのかは……展開のネタバレになるの秘密、ただそれぞれがこの時こうなっていなかったらを前提にした設定となっているため、あと少しであり得たはずのものだと強く意識させられます。そしてこのif、明確に夢オチと明言されてしまいます。……悲しいですね。ただだからこそ本編のテーマ性は更に際立っているのだと思います。それもminoriらしさで好きでした。毎年カレンダーを買うくらいには未だに未練がましく追いかけているメーカーです。また別の形でもいいのでゲームが見れたらいいんですけどね。それは叶わぬ願いだとしてもやっぱり望まざる得ないです。ところでいきなり登場したこの子何者なんですかね?

うるせえ、生き返って完成させろ。

さてここまで長々と語ってきましたがこの作品、中古で買うのは止めましょう。firstに関してはパッチがないと動かないのですが、このパッチがもう手に入りません。残して行けよ、と言いたいところですがまあ面倒なとこありましたからね……こういう頑固親父のようなところも大きな魅力の部分はあったので仕方ないのかもしれ………ない。まあDL版買ってください。セールでならそんなに高くありません。アニメもいいのですが……ぜひこちらもよろしくお願いします!因みにOPは新海誠です。このクオリティは確実に色褪せねえだろうなぁ……

ということで「え」の作品はef-a fairy tale of the two-でした。たくさんの思い出があってエロゲアンチだった頃にPS2共々こちらのPS2版を探して中古ショップをさ迷い歩いていました。本当に何してたんでしょうね。因みにエロゲをがっつりやると決めたときに最初に買った中古エロゲはこちらです。後初任給で買ったのが確かこれのサントラです。高いんですよね……大学付近では売っていなかったのも相まって必死に探していました。その他にもこの作品で繋がった人もいたりとかなり印象に残っている作品です。メーカーはもう新作を作らなくなったとしても末永く愛される作品であってほしい、そう強く願います。
さてお次は「お」の作品、こちらで1つの区切りになります。なんとかやってきましたが次の次は1度目のインタールード、没になった作品のお話などをうだうだと話していきたいと思います。とはいえまずはお次の作品です。次回もよろしくお願いします!

Next Hint!

幼馴染パラダイスだああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!

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