【NBA】ファイナル Game1分析
こんにちは、ちゅでるきんです。
今回から複数回に渡り、NBAファイナルの分析記事を書いていきます。
各Gameごとに分析していくので、短めの記事になるかと思いますが、
読んでくださると嬉しいです!
遂に始まりましたね。NBAファイナル。
2023-24シーズンはBOS vs DALです。BOSは多くのファンの予想通り、圧倒的強さをレギュラーシーズンから見せつけ、ファイナルの舞台に帰ってきました。
一方のDALはトレードデッドラインでの補強の的確さに加え、プレイオフでもMINやOKCといった強敵を倒し、ファイナルの舞台に辿り着きました。
さて、そんなNBAファイナルを各Gameごとに分析していきます。
今回の記事では、主にGame1の内容を扱います。
具体的には
①ファイナルにおける個人的注目ポイント
②BOS視点でのGame1分析
上記2点を書いていきます。
では、早速記事本編を見ていきましょう!
1️⃣ファイナルにおける個人的注目ポイント
まず初めに、NBAファイナルにおける個人的注目ポイントを解説します。
話したい観点は沢山ありますが、語り出すとキリがないため、今回は2つに絞って説明しますね。
①神童ルカ・ドンチッチをどう守る??
神童ルカ・ドンチッチ。
25歳にしてAll NBAチームに5回選出。そして今シーズンはファイナルの舞台に辿り着きました。もうすでにレジェンドの領域ですね(笑)
そんなドンチッチの基本スタッツを改めて確認してみます。
改めて見ると化け物ですね。なんだこれ。
BOS視点で考えると、彼を上手く止めない限り、優勝は難しいでしょう。
問題は「どの部分を抑えにいくか」です。
彼を完全に機能停止状態にすることは、正直不可能です。
なので、一部分だけでも抑えたい。
BOSのマズーラHCがどう戦術に落とし込むのかに注目です。
この部分に関しては、後の解説にて確認していきます。
②優秀すぎるBOSの5out
2つ目の注目ポイントはBOSの5out戦術です。
今シーズンどころか、リーグ全体の歴史を見ても、BOSの5outは超優秀です。
どれほど優秀なのか、スタッツで確認してみましょう。
まずはチームスタッツから。
レギュラーシーズンでは、リーグで最も3ptを放った上で、リーグ2番目の確率で沈めています。
プレイオフになると、DF強度が高まるため少し数字は落ちますが、それでも注目すべき数字であることに変わりありません。
この数字の真の凄さは、シュートを放つプレイヤーにあります。
ガードからセンターまで、全ポジションのプレイヤーが3ptシュートを満遍なく放ちながら、この数字を達成しています。
各プレイヤーの3pt成功率を確認してみましょう。
高確率で3ptを決める選手がこれほど揃っています。
恐ろしすぎますね。
これらの選手に支えられ、BOSは5out戦術を活用してきます。
ビッグマンのポルジンギスやホーフォードがコートを広げることにより、ドライブスペースもできますし、相手DFに生じたズレから3ptを瞬時に射抜きます。
この5outに対し、DALがどのような対応をしてくるのか注目です。
2️⃣BOS視点でのGame1分析
さて、少しだけ個人的注目ポイントに触れたところで、Game1の分析に入ります。これ以降、試合内容のネタバレを含みますので、未観戦の方は注意してください。
まずは結果から。
ご存知の通り、Game1はBOSが圧倒する形になりました。
Game1の注目ポイントはBOSのDFでしょう。
DALを見事に抑え込みました。
次にドンチッチのスタッツを確認しましょう。
チームとしての得点は平均得点と比較して約20点減少しました。
何より注目すべきは、ドンチッチのアシスト数です。
なんと「1アシスト」。
個人的注目ポイントで話した「ドンチッチのどの部分を抑えるか」に関しては、アシスト(もっと具体的に言うならばロブパス)をBOSは抑えにきました。
では、いかにしてBOSはDALのOFを苦しめたのでしょうか??
分析していきましょう。
①テイタムがセンターを守る
まずは1Qにおけるテイタムのマッチアップに注目します。
驚いたのは、テイタムがセンターのギャフォードを守っていることです。
なぜこのマッチアップを採用したのでしょうか??
答えはドンチッチのPnR対策です。
仮にギャフォードがドンチッチにスクリーンをする場合、スイッチ先はテイタムになります。ブラウン→テイタムにスイッチされてしまうため、ドンチッチはPnRの選択肢を最初のポゼッションでも取りませんでした。
代わりにスクリーンに来るプレイヤーはジョーンズJrです。
画像のポゼッションでは、スイッチしたブラウンがジョーンズJrのダイブを防いでいます。
仮にダイブされたとしても、ライブリーやギャフォードと比べれば、脅威ではありません。
「テイタムをセンターにマッチアップさせる」という方針の裏には、このような意図があったと考えられます。
結果的に、ドンチッチのアシスト数にもその効果は表れているように思います。
画像のポゼッションでも、ドンチッチはホーフォード相手にステップバック3ptを選択しました。アリウープに比べれば、得点期待値は低いですよね。
②基本はドロップで守るポルジンギス
次はポルジンギスのドロップDFに注目しましょう。
レギュラーシーズン同様、ポルジンギスはドロップDFを採用してきました。
この場面で着目したいのは、ペイントエリア内の密集度です。
狭いですね、、、
この状況でペイントエリアを使用するのはドンチッチといえど、難しいでしょう。
代わりに空いているのが、トップにいるワシントン。
ワイドオープンになっています。
ただし、これは意図してワイドオープンにしていると考えられます。
BOSのDFとしては、
①ペイントエリア内(特にロブパス)
②コーナー3pt
上記2つを優先して守っていたGame1でした。
この理由について、スタッツを確認することで明らかにしましょう。
ワシントンやジョーンズJrを例に出しましたが、基本的にコーナー3ptとそれ以外の3ptでは、コーナー3ptの成功率の方が高いです。
実際、MINとのシリーズではよく決まっていましたよね。
そこで、BOSはコーナーを優先的に守ることにしました。
上記画像でも、コーナーに関してはきっちりと守っていますよね。
このプレイでワシントンをオープンにしているのも意図的でしょう。
このような状況は、複数回見られました。
別のプレイの画像も参考までに載せておきます。
③ドンチッチに対するヘルプ方法
次はBOSがGame1で行ったドンチッチに対するヘルプ方法について見ていきましょう。
ドンチッチを1人で止め切ることは困難を極めるため、ヘルプDFを必要とします。
ただし、ダブルチームなどを仕掛けた場合、彼は簡単に数的有利を活かすようなパスを出します(これに関してはヨキッチなども同様です)。
実際、CFファイナルのMIN戦では、ダブルチームを行った後の数的有利に繋がるパスが何度もドンチッチから繰り出されました。
では、BOSはドンチッチに対し、どのようなヘルプを行なったのでしょうか??
ここでは、一例として「ドライブレーンを潰す」ヘルプ方法を解説します。
まずは参考画像⑤で確認します。このポゼッションでのBOSのDFは、ルカとハーディのPnRに対し、ブラウン→ハウザーとスイッチしています。
注目すべきはブラウンの位置。ダブルチームはしていませんが、明らかにドンチッチのドライブレーンを潰す位置を取っています。
結局このポゼッションでは、「ハウザーのDFによりドンチッチがファンブル→ブラウンがスティール」という結果になりました。
このブラウンの位置取りからは、
①ドンチッチのドライブレーンを潰す
②最悪ハーディにトップで3ptは打たれてOK
という意図を読み取ることができますね。
この方針の徹底具合は、他のポゼッションからも確認できます。
参考画像⑥では、カイリーから少し離れてまで、ドンチッチのドライブレーンを潰すホリデーの位置取りを確認できます。
Game1に関しては、BOSがドンチッチにダブルチームを仕掛けた記憶がほぼありません。それほど、BOSとしてはドンチッチのパスによる数的有利→イージーバスケットという状況を嫌っていたのでしょう。
ドンチッチによる個の打開は止められないため、結果として彼自身には30得点を取られましたが、アシスト数は1に抑えているため、今回の戦術は成功したと考えて良さそうです。
④ポルジンギスをペイント内に留める
次はポルジンギスのリムプロテクトに関しての解説です。
Game1では彼のリムプロテクターとしての働きが遺憾無く発揮されていました。
少しスタッツで確認してみましょう。
ちなみに、ブラウンも3ブロック、ホーフォードは2ブロック、テイタムは1ブロックを記録しているため、チーム合計でブロックが9つもありました。
DALのシュート確率に関しても、図で確認してみましょう。
制限区域内では64%。ペイントエリア内では31.8%の成功率に抑えられています。制限区域内にて強みを持つDALをここまで抑えたのですから、圧巻ですよね。
余談ですが、参考画像⑦からもBOSのDFにおける意図が読み取れますよね。
①ペイントエリア内を守る
②コーナーを打たせない
なんとDALは試合を通してコーナー3ptを3本しか放っていません。
これは今までになかった傾向でしょう。
さて、話を戻します。
ポルジンギスのリムプロテクトに関してです。
BOSはどのように彼の力を発揮させたのでしょうか。
答えは簡単で、「できる限りペイントエリア内に留めさせた」のです。
こちらもプレイ画像から確認してみましょう。
参考画像⑧では、通常ポルジンギスが対応するはずのPnRをハウザーに指示していることがわかります。
この意図は先ほども説明した、「ポルジンギスをペイントエリア内に留める」ことです。
ではこの後のポルジンギスの位置はどうなっているのかも確認しましょう。
きっちりペイントエリア内に留まることに成功していますね。
このように、ポルジンギスが本来対処するはずのPnRを他のプレイヤーに任せることにより、彼自身はペイントエリア内に留まっていたのです。
この戦術は彼のリムプロテクト能力を試合中遺憾無く発揮させることに繋がりました。
試合を振り返ると、プリチャードなどにもポルジンギスが同様の指示を出している場面がありました。
このような観点で試合を観ても面白いですよね。
⑤5outを活用したOF
さて、最後はBOSの5outに関しての解説です。
ここに関しては「個人的注目ポイント」でも話しましたが、やはりDAL相手にも効いていました。
特に1Qでは、この特徴がよく表れていたように思います。
スタッツを確認してみましょう。
1Qだけで15本の3ptを放ち、結果的に46.7%の確率で沈めています。
また、全体のFGのうち、3ptは65.2%を占めています。
つまり、半分以上のシュートが3ptなのです。
このスタッツからもBOSの5outが効いていることがわかりますよね。
1Q終了時点で「37-20」でBOSが勝っていたので、かなり優位な試合展開でした。
そんな5outですが、やはり最大の効能はスペーシングでしょう。
参考画像⑩を見てみましょう。見事にペイントエリア内が空いています。
この広大なスペーシングこそ、5outが生む大きなメリットです。
ポルジンギスやホーフォードが高確率で3ptを沈めるため、リムプロテクターとなるプレイヤーも外に出るしかありません。
結果的に、このポゼッションでは広大なスペースが活かされました。
ポルジンギスのハイライトダンクに繋がったのです。
3️⃣終わりに
さて、今回はNBAファイナルのGame1を簡単に分析してみました。
BOSが圧倒する形で幕開けしたファイナルはどのような結末を迎えるのでしょうか??これからが楽しみです。
最後に少し宣伝です。
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