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【NBA】トランジションから考えるGSW
こんにちは、ちゅでるきんです。
この度、note記事執筆を開始することにしました。
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さて、今回は記念すべき第1弾ということで、トランジションの観点から2023-24シーズンのGSWを考えてみます。
残念ながら、今季は期待外れのシーズンとなってしまっているGSW。日本時間1月11日時点では、ウェスタンカンファレンス12位(17勝20敗)の順位に位置しており、到底優勝を目指せる状況にはありません。
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では、なぜGSWはリーグ下位の成績となっているのでしょうか?
Xで流れてくるポストでは、アンドリュー・ウィギンズの不調、スティーブ・カーHCの采配など、特定の個人について言及し、GSWの不調の原因とする意見が見られます。
しかし、本記事では特定の個人ではなく、GSWというチーム全体を見て、なぜ低迷しているのかについて考えていきます。
その中でも、今回はトランジションの観点から、GSWの低迷理由を考察します。
なお、本記事で使用されるスタッツは日本時間1月11日時点のものです。
では、記事本編を見ていきましょう!
📍序章 基本用語解説
考察に入る前に、本記事で登場する基本用語を解説します。
「そんなの今さら大丈夫👌」というバスケ玄人の皆さんは、この章を飛ばしても本記事の内容理解に支障はありません。
それでは、基本用語を以下で解説していきます⏬
・トランジション
攻守の切り替えのこと。本記事では、ショットクロックが残り24-18秒までの時間帯をトランジションと定義。
・Pace
1試合(48分間)換算での平均攻撃回数。
・Possession
チームやプレイヤーがボールを保持している状態のことで、攻撃回数のこと。
・PPP
Points Per Possessionの略。得点効率のこと。合計得点を合計ポゼッション数で割ることで算出される。
以上の用語は、普段NBAを見る際にあまり目にすることがない印象のため、改めて紹介しました。
準備はできましたか?
それでは、今季GSWをトランジションの観点から見てみましょう。
📍第1章 トランジションOFから考えるGSW
第1章では、トランジションOFの側面から今季GSWについて考えます。
トランジションOFはイージーバスケットを生み出すためには必須の要素です。
速攻からのレイアップほど、確率の高いFGはなかなかありません。
では、勝つために必要不可欠な要素であるトランジションOFをGSWは有効活用できているのでしょうか?
この章は以下の構成となっています。
①ショットクロックの観点から考えるOF
②PossessionとPPPの観点から考えるOF
③トランジションOFがリーグ最低クラスな理由考察
それでは、それぞれについて詳しく解説します。
①ショットクロックの観点から考えるOF
本記事では、トランジションを「ショットクロック残り24秒から18秒の間」と定義します。
では、GSWはこのトランジションOFにおいて、どのような成績を残しているのでしょうか?
ショットクロックごとのスタッツを見ていきます。
📝GSWの24秒から22秒以内のショットスタッツ
・FGA 2.7本(リーグ14位)
・FGM 1.4本(リーグ23位)
・FG% 51.0%(リーグ27位)
📝GSWの22秒から18秒以内のショットスタッツ
・FGA 8.1本(リーグ29位)
・FGM 4.2本(リーグ30位)
・FG% 51.7%(リーグ25位)
見ての通りです。軒並みの数値でリーグ内下位を記録しています。
トランジションでは、DFも戻りきれておらず、綺麗に守ることができないため、積極的にシュートを狙いたい。
しかし、今季GSWはトランジションOFにおいてシュートを打つ回数が少ないだけでなく、シュート確率までも低いのです。
「シュートは打てず、確率も悪い」。これでは良いOFを展開することは難しいでしょう。
②PossessionとPPPの観点から考えるOF
①では、ショットクロックスタッツから、GSWのトランジションOFについて考えました。
次は、PossessionとPPPの観点からトランジションOFについて考えてみます。
PossessionとPPPについての解説は、「序章」に載っているので、不安な方は参照してください。
それでは早速、PossessionとPPPの数値を確認してみましょう。
📝GSWのPossessionとPPPスタッツ
・Poss 14.5回 (リーグ30位)
・PPP 1.07 (リーグ26位)
①の部分で確認したショットクロックスタッツ同様リーグ下位、というかワーストレベルの数値となっています。
ちなみに、リーグトップのPoss数を誇るのはOKC。
彼らはPoss数で23.1を記録しています。
つまり、GSWはOKCと比較した場合、1試合あたり8.6回分トランジションOFが少ない計算になります。
これに加え、PPP(得点効率)も悪いので、トランジションにおける得点はリーグでも圧倒的に低いはずです。
ちょっと確認してみましょう。
📝GSWのトランジションにおける得点数
・15.5点 (リーグ30位)
問答無用のリーグ最下位です。
今季GSWのトランジションOFの酷さが判明しました。
では、トランジションOF数値がここまで酷い理由は何でしょうか?次のパートで、筆者が予想してみます。
③トランジションOFがリーグ最低クラスな理由考察
では、なぜGSWのトランジションOFがリーグ最低クラスなのか、その理由を考察していきます。
考察に入る前に、GSWのペースを確認しておきます。
昨シーズンと比較してみましょう。
📝GSWのペース
・昨シーズン 102.54 (リーグ1位)
・今シーズン 99.79 (リーグ15位)
昨シーズンリーグ1位だったペースが、今季は15位まで落ちています。
筆者はここで紹介したペースが、GSWのトランジションOFがリーグ最低クラスな要因の1つだと考えています。
なぜここまでペースが落ちたのでしょうか?
筆者は大きく分けて3つの理由があると考えています。
1.クリス・ポールの加入
2.ロスターの加齢
3.ドレイモンド・グリーンの不在
では、それぞれ確認していきましょう。
1.クリス・ポールの加入
これはクリス・ポールを批判するものではありません。
CP3の獲得はオフシーズンにおけるGSWのベストムーブであったと筆者は考えています。
https://x.com/espn/status/1671960666188423172?s=61
Breaking: The Wizards and Warriors have agreed on a deal to send Chris Paul to Golden State for a package that includes Jordan Poole and future draft assets, sources told @wojespn. pic.twitter.com/byR4lXTDFi
— ESPN (@espn) June 22, 2023
ただし、彼のプレイスタイルは、トランジションOFとの相性が良いとは言い切れません。
彼の持ち味はピック&ロールなどを活用し、じっくりと攻めるハーフコートバスケット。
よって、彼の加入により、GSWのペースは下がり、トランジションOFに結びつきにくくなった可能性はゼロではないと思います。
スタッツを確認してみましょう。
📝CP3のOn/Offコートでのペース
CP3 On 100.45 (リーグ11位相当)
CP3 Off 101.45 (リーグ7位相当)
わずかですが、CP3がOffコート時の方が、GSWのペースが速くなることがわかります。
2.ロスターの加齢
これも理由ではないでしょうか?GSWのロスター平均年齢は28.03歳。リーグで2番目に平均年齢の高いチームです。
まだまだスター級の活躍を続けるカリーらベテラン選手たちも、寄る年波には敵わないのではないかな、と考えています。
正直これはしょうがないですね。
3.ドレイモンド・グリーンの不在
この理由も大きいと思います。日本時間1月11日時点で、15試合の出場に留まっているドレイモンド。
その理由は皆さんもご存知の通りでしょう。
ESPN Sources: The NBA is suspending Golden State’s Draymond Green indefinitely. pic.twitter.com/CNaIXavM0C
— Adrian Wojnarowski (@wojespn) December 14, 2023
彼の出場停止処分は決して擁護できるものではありません。
ただ、ドレイモンドの欠場はGSWのトランジションOFに大きな影響を及ぼしていると考えます。
あまり話題に上がりませんが、彼のボールプッシュ能力はリーグ内でも有数のものだと筆者は考えており、彼の欠場により、GSWのペースも落ちてしまっているのではないでしょうか?
これも確認してみましょう。
📝ドレイモンドのOn/Offコートでのペース
・ドレイモンド On 102.02 (リーグ6位相当)
・ドレイモンド Off 99.81 (リーグ13位相当)
やはり、彼がコートに立つとGSWのペースは速くなります。
以上1から3までが、筆者が考えるトランジションOF数値が低い要因です。
ドレイモンドの復帰で多少の改善を狙いたいところですね。
以上で第1章終了です。
📍第2章 トランジションDFから考えるGSW
第2章では、トランジションDFの側面から今季GSWについて考えてみます。
第1章の冒頭で、「トランジションOFはイージーバスケットを生み出す必須要素である」と述べました。
そのため、DF側のチームは相手にトランジションOFで得点されることを避けたいはずです。
では、守れなければ「敗北」に直結するトランジションDFにおいて、GSWはどのような成績を残しているのでしょうか?
この章は以下の構成となっています。
①ショットクロックの観点から考えるDF
②PossessionとPPPの観点から考えるDF
③トランジションDFがリーグ下位クラスな理由考察
それでは、それぞれについて詳しく解説します。
①ショットクロックの観点から考えるDF
第1章でも述べましたが、本記事では、トランジションを「ショットクロック残り24秒から18秒の間」と定義します。
では、GSWはこのトランジションDFにおいて、どのような成績を残しているのでしょうか?
ショットクロックごとのスタッツを見ていきます。
📝GSWの24秒から22秒以内の被ショットスタッツ
・被FGA 2.5本(リーグ22位)
・被FGM 1.4本(リーグ19位)
・被FG% 56.4%(リーグ12位)
📝GSWの22秒から18秒以内の被ショットスタッツ
・被FGA 11.3本(リーグ6位)
・被FGM 6.3本(リーグ8位)
・被FG% 55.5%(リーグ16位)
被ショットスタッツは、リーグ順位が低いほど数値が良いことになります。
よって、24秒から22秒以内の被ショットスタッツは、良いとは言えませんが、リーグ中位程度なので、悪いとも言えません。
しかし、22秒から18秒以内の被ショットスタッツになると話は変わります。
このショットクロック範囲内において、GSWはリーグで6番目に多くのシュートを放たれ、リーグで8番目にシュートを決められていることになります。
この数値は見過ごせませんね。
いずれにせよ、被ショットクロックスタッツを参考にした場合、GSWは「良いトランジションDFをしている」とは言えません。
②PossessionとPPPの観点から考えるDF
①では、ショットクロックスタッツから、GSWのトランジションDFについて考えました。
次は、PossessionとPPPの観点からトランジションDFについて考えてみます。
改めてにはなりますが、PossessionとPPPについての解説は「序章」に載っているので、不安な方は参照してください。
それでは早速、GSWの相手チームのPossessionとPPPの数値を確認してみましょう。
📝GSWの相手チームのPossessionとPPPスタッツ
・Poss 20.4回 (リーグ7位)
・PPP 1.14 (リーグ18位)
GSWがトランジションDFを行う回数はリーグ7位。この数値はリーグ下位です。一方で、PPP(得点効率)はリーグ18位のため、リーグ中位レベルです。
このスタッツから、GSWはトランジションDFをする回数は多いものの、トランジション時の相手の得点効率は高くはないことがわかります。
念のため、GSWのトランジションDFにおける失点数も確認しておきましょう
📝GSWのトランジションにおける失点数
・23.1点 (リーグ7位)
リーグで7番目にトランジションで失点していることになります。
この数値は普通に酷いです。
残念なことに、今季GSWはトランジションOFだけでなく、トランジションDFも悪いことが判明しました。
リーグ21位の勝率も納得の結果です。
③トランジションDFがリーグ下位クラスな理由考察
では、なぜGSWのトランジションDFがリーグ下位クラスなのか、その理由を考察していきます。
筆者は大きく分けて2つの理由があると考えています。
1.トランジションDF時のマークミス・ミスマッチ
2.OREB数の増加
では、それぞれ確認していきましょう。
1.トランジションDF時のマークミス・ミスマッチ
シーズン序盤から一向に改善される気配のないトランジションDF時のマークミスとミスマッチの発生。いくつか例を見てみます。
例1) vs TORでのトランジション時のミスマッチ
【TOR戦雑感①】
— ちゅでるきん (@chudelkingsw) January 8, 2024
📝カリーvsバーンズ(or RJ)
カリーのDF担当がバーンズやRJの時間が厳しかった。次の流れが試合中散見されました。
①バーンズor RJがカリーを守る
②攻守の切り替え時にバーンズor RJがリム一直線に走る
③カリーがバーンズor RJを追う状況に
④ミスマッチからイージーバスケット https://t.co/w57JkxfSnb pic.twitter.com/pzyH895mZ7
記憶に新しい試合ですが、この試合ではトランジション時にカリーのミスマッチが狙われました。
トランジションDF時に適切に相手プレイヤーをマークすることができず、結果的に何度もミスマッチが発生し、イージーバスケットを生み出しています。
例2) vs DENでのトランジション時のミスマッチ
Dubs getting their transition matchups all jumbled up means the Nuggets can have AG just seal his way into the paint against Steph. Not ideal. pic.twitter.com/GhmlfseDF8
— Joe Viray (@JoeVirayNBA) November 9, 2023
次はDEN戦でのトランジション時のミスマッチです。この試合でも、トランジションDF時に発生するミスマッチが気になりました。
狙われたプレイヤーはまたしてもカリーです。DENのアーロン・ゴードン相手になす術なしですね。
例3) vs NOPでのトランジション時のマークミス
Matching up in transition has been an ADVENTURE for this team, to put it mildly pic.twitter.com/nOrJNXX2Js
— Joe Viray (@JoeVirayNBA) January 11, 2024
動画の場面では、何らかの理由でトランジション時のマークミスが発生しています。マークミスから3ptを決められるという最悪のシチュエーションです。
以上の例1〜3で見たように、GSWはトランジションDF時にミスマッチやマークミスが発生するという問題を恒常的に抱えています。
これが改善されない限りは、勝利は厳しいでしょう。
2.OREB数の増加
まず初めに、昨シーズンと今シーズンのGSWのOREB数を比較してみましょう。
📝GSWのOREB数
・昨シーズン 10.5 (リーグ14位)
・今シーズン 12.9 (リーグ3位)
この数値からもわかるように、今季GSWはOREBに対する意識が高まっています。
「良いことじゃないか!」と言いたい気持ちもわかりますし、筆者も良いことだと考えています。
しかし、OREBの意識が高まることは良いことだけではないと思っています。
その最たる例が以下の動画のプレーです。
【OREBのデメリット】
— ちゅでるきん (@chudelkingsw) November 7, 2023
GSW vs CLEでは、速攻で多くの得点を許したことが敗因の1つでした。
「両チームの速攻での得点」
・GSW 10点
・CLE 26点
CLEにこれほどの速攻を許した理由の1つがOREBです。OREBは取れた際は最高の得点機会ですが、取れなかった際は相手に速攻を許す諸刃の剣です#DubNation pic.twitter.com/QbQoEBGdSs
動画のプレーでは、OREBの意識が高すぎるあまり、全員がREBに飛び込んでいます。
しかも相手は、サイズの大きいCLEです。
最低1人(具体的にはドレイモンド)は、セーフティとしてトランジションDFに備えておくべきだったのではないでしょうか?
結果的に誰もDFに戻れず、速攻でのイージーバスケットを許してしまっています。
このプレーからもわかるように、OREBへの意識が高まることは良い側面だけでなく、悪い側面も抱えてしまうという事実は認識すべきでしょう。
以上1と2が、筆者が考えるトランジションDFがリーグ下位クラスな理由です。
以上で第2章も終わりです。
📍結論と軽い宣伝
さて、本記事では今季GSWをトランジションの観点から考えてみました。
トランジションOF/DFともにリーグ下位クラスである事実が存在する限り、優勝はおろかプレイオフ進出やプレイイン圏内に入ることも難しいでしょう。
「カリー以外全員がトレード候補」という目を疑うようなニュースも出ています。それだけ今季GSWが悲惨ということでしょう。
"The mindset in Golden State right now is everyone but Steph Curry is on the table."@ShamsCharania on the Golden State Warriors.
— Run It Back (@RunItBackFDTV) January 11, 2024
📺: https://t.co/wdT8I0ST8g pic.twitter.com/kIMbJsdET8
トレードデッドラインまでにどのような動きがあるかわかりませんが、この記事で述べた弱点が少しでも改善されることを祈ります🙏
最後に少し宣伝です。
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ちゅでるきんのおすすめポスト⬇️
①GSWの戦術”51”の解説
【司令塔CP3】
— ちゅでるきん (@chudelkingsw) November 21, 2023
動画ではCP3が「51(fifty-one)」と叫んで指示しています。
51とはGSWの戦術の1つ。
①2枚のスクリーン(基本的に2枚目がシューター)をかける
②1人目が再度シューターにスクリーンをかける
③シューターがフリーになる
この流れで進行します。これを適切に指示するCP3。流石の一言 pic.twitter.com/AyyWZZRVOR
②CP3のDF解説
【CP3のDF】
— ちゅでるきん (@chudelkingsw) December 20, 2023
4Q序盤、CP3のテイタムに対するDFは圧巻でした。
📝CP3のDF
①「アイス」と呼ばれるDFの準備をする
②BOSのケイタが「アイス」を察知し、スクリーンをかけ直す
③オーバーでテイタムを守り続け、最終的にはタフショットに追い込む
身長差など関係なしの粘り強いDF。流石です。 pic.twitter.com/FNskdMaufg
③クレイのスタッツ向上理由考察
【クレイの活躍①】
— ちゅでるきん (@chudelkingsw) December 21, 2023
📝スタメン変更前後比較
・得点 15.4pts➡️26.5pts 📍+10pts
・FG% 39.7%➡️56.7%
・3P% 34.3%(2.7-7.8)➡️50%(5.8-11.5) 📍+15% +4本
さらに3Pに着目すると
📝オープン/ワイドオープン
・オープン 26.6%➡️61.9% 📍+35%
・ワイド 38.8%➡️66.7% 📍+30%
劇的な向上ですね https://t.co/6zHjlBHExU
では、第1回の記事はここまでとします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!