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【NBA】クレイ・トンプソンのDAL移籍を考える

こんにちは、ちゅでるきんです。
今シーズンのファイナルも終了し、各チームがドラフト・トレード・FAに忙しく動いています。

そんな中でも今回は、DALのクレイ・トンプソン獲得に関して考えてみます。
GSWにて4回の優勝を成し遂げたクレイは、新天地としてDALを選択しました。
DALといえば、昨シーズンの西覇者であり、ドンチッチとカイリーを中心に飛躍を果たしたチームです。

NBAファイナルでは圧倒的な実力を持つBOSに敗退しましたが、ウエスタンカンファレンスでのシリーズでは、MINやOKCといったウエスト上位シードチームを破る快進撃を見せました。

来シーズンの優勝を目指すDALはオフに複数の補強を行いましたが、その中でも注目すべきは、やはりクレイ・トンプソンの獲得でしょう。

個人的な意見にはなりますが、この補強はかなりナイスな動きだと考えています。
では、クレイの獲得は来シーズンのDALに何をもたらすのでしょうか?

そこで今回の記事では、DALのクレイ獲得について考えていきます。
では、早速記事本編を見ていきましょう!



1️⃣クレイの獲得方法について

まずはクレイを中心としたS&Tについて振り返りましょう。

日本時間の7月2日、DALのクレイ・トンプソン獲得が報道されました。
獲得方法に関しては、6チームが絡む大型のS&Tとなっています。
トレード内容は以下の通りです。

クレイを中心としたS&T内容

📈クレイを中心としたS&T内容
📌DAL獲得
・クレイ・トンプソン
・2025年2巡目指名権
📌MIN獲得
・2031年2巡目スワップ権
・2025年2巡目指名権
・現金
📌GSW獲得
・カイル・アンダーソン
・バディー・ヒールド
📌DEN獲得
・現金
📌CHA獲得
・ジョシュ・グリーン
・レジー・ジャクソン(バイアウト済み)
・2029年2巡目指名権
・2030年2巡目指名権
📌PHI獲得
・2031年2巡目指名権

複雑ですね、、、
DALとGSWがそれぞれ獲得した選手に注目すると、
DAL獲得:クレイ・トンプソン
GSW獲得:カイル・アンダーソン、バディー・ヒールド

クレイにタダで出ていかれてしまう可能性もある中、抜けたシューターを埋める意味合いでのヒールド獲得とプレイメイクのできるフォワードであるアンダーソンの獲得は素晴らしいの一言です。
昨年に引き続き、GSWのGMであるダンリービーJrは優秀な手腕を見せています

簡単ではありますが、クレイを中心としたS&Tの振り返りでした。


2️⃣クレイがDALに与える影響

トレード内容を簡単に振り返ったところで、このトレードがDALにどのような影響を与えるかについて考えてみましょう。

この章では
①クレイの特徴
②DALとクレイの融合

上記観点から、DALのクレイ獲得について考えます。

①クレイの特徴

初めに、クレイ・トンプソンの特徴を確認してみましょう。
まずは2023-24シーズンの基本スタッツから見てみます。

📈クレイの基本スタッツ(2023-24シーズン)
📌平均得点 17.9ppg (FG 43.2%/3P 38.7%)
📌平均アシスト 2.3apg
📌平均リバウンド 3.3rpg
📌平均ターンオーバー 1.5回
📌平均スティール 0.6回

基本的にどのスタッツに関しても、クレイのキャリア全体で考えると低い着地となったシーズンでした。
年齢や怪我による衰えが表れ始めた上に、シーズン途中にはルーキーのポジェムスキーにスターターが変更され、ベンチから起用されることもありました。
そのため、彼にとってはかなり不安定なシーズンとなっていました。

昨シーズンのクレイを振り返った際に思い当たる問題点は、個人的に2つあります。
①ショットセレクションの悪さ
②リム周辺でのシュート試投数

それぞれについて、解説していきます。

まずはショットセレクションについてです。
やはり昨シーズンのクレイは意固地になっているような場面が多かった印象です。シュート成功率にもこれは表れているように思います。

実際に彼のキャリアでの3P成功率をみると、昨シーズンの「38.7%」という成功率は怪我明けのシーズンに次いで2番目に低い数値です。
一方で、3PAを見てみると昨シーズンのクレイは「9.0本」の試投数となっています。ケビン・デュラントの移籍以降、彼の3PAは多くなっています。

今までは効率よく決めていたものの、昨シーズンは「多く打つが確率が悪い」という状況となっています(もちろん、従来の彼と比較しての話ですので、38.7%の3P成功率はそこそこ高い数値です)。

ちなみに、ショットセレクションに関して調べるためにクレイのシュート全体に占めるプルアップの割合を算出してみましたが、数値上は直近3シーズンで最もプルアップの割合が低かったため、「ショットセレクションが悪い」という印象は筆者の個人的な思い込みであった可能性もありそうです。

📈クレイのシュート全体に占めるプルアップの割合(直近3シーズン)
📌2021-22: 7.3本/17.9本(40.8%) プルアップ成功率: 45.1%
📌2022-23: 6.2本/18.1本(34.3%)     プルアップ成功率: 39.7%
📌2023-24: 4.2本/14.7本(28.6%)     プルアップ成功率: 44.4%

このように、直近3シーズンで比較すると23-24シーズンでのプルアップの割合が最も低く、成功率も44%と高水準です。
個人的なイメージと反対のスタッツとなりました。
この点に関して詳しい方がいれば、ぜひ教えてくださると嬉しいです!

さて、もう1つ個人的に感じていたクレイの問題点は、リム周辺でのシュート試投数です。
怪我以前のクレイは、3Pももちろんでしたが、カッティングなどを利用したリム周辺でのFGAも素晴らしかった印象です。しかし、怪我明けになるとこの印象が少し薄れました。

こちらもスタッツで確認してみましょう。

クレイのリム周辺でのFGA変遷

上のグラフはクレイのリム周辺でのFGAを75ポゼッションごとに修正して算出したものです。怪我明けのシーズンから試投数が減少していることがわかります。そもそもリム周辺でシュートを打つことに苦労しているクレイの状況が明らかとなるスタッツだと思います。

この現象が起きた原因として考えられるのはやはり、怪我と年齢により、クイックネスがなくなってきたことでしょう。こればかりはしょうがないですね。

また、リム周辺のFGAが下がっていると同時にFTAも減少しています。
こちらもスタッツを確認してみましょう。

クレイのFTA変遷

FTAも全盛期と比較すると減少しています。
リム周辺のFGAとFTAのグラフが見事に同じ形をしていますよね。
FT獲得数を決める大きな要因は、やはりリム周辺でどれだけシュートを放っているかなのですね。

ただし、リム周辺でのFGAやFTAを考えると、クレイの平均17.9得点は特筆すべき数字でしょう。また、昨シーズンまでは平均20得点を獲得していました。
これは彼のシュート力の賜物でしょう。シュート1つでこれだけの得点を重ねることができる選手はリーグ全体を見渡してもほぼいないのではないでしょうか?
いかにクレイが希少なプレイヤーであるかがわかると思います。

さて、ここまではクレイのネガティブな点を解説してきましたが、もちろん彼にはそれを上回るポジティブな点があります。

今回の記事では、
①ワイドオープンでの3P成功率
②PnR面における成長

それぞれについて解説していきます。

まずはワイドオープンでの3P成功率です。
先ほど、「昨シーズンにおけるクレイの3P成功率はキャリアで2番目に悪い」と話しましたが、これは3P全体での数値になります。
3PにはC&Sやワイドオープンなど、様々なシチュエーションがあります。

その中でも今回はクレイのワイドオープンシュートの成功率を確認してみましょう。
クレイの直近3シーズンでのワイドオープン3Pは45.0%となっています。
これはリーグで全体で考えても高水準なものです。
後ほど説明しますが、オープンシュートの成功率はDALでの活躍において重要なファクターとなります。

さらに注目したいのが、PnR面での成長です。
昨シーズンのクレイはPnRパサーとしての能力が目立っていました。
クレイとTJDのホットラインは試合中何度も目にしましたね。

PnR後にクレイがTJDへパスをするシーン

もちろんクレイがPnRパサーとしての能力を開花させたという考え方もできますが、個人的にはTJDというセンターの存在こそが、クレイのPnRパサーとしての能力を引き立たせたのだと考えています。

というのも、今までのGSWでPnRローラーとなる選手は、ドレイモンドやルーニーといったアスレチックではないプレイヤーでした。
そのため、パスを出したとしても得点に繋がる可能性が低かったのです。

この2人と比較して、TJDはアスレチックなビッグマンです。
彼のアスレチック性が組み合わさって初めて、クレイのPnRパサーとしての能力が目立つようになったと考えています。

「アスレチックなビッグマン??」
DALのロスターを思い出してみてください。プレイオフでアリウープを叩き込み続けたプレイヤーが複数いませんか?

この点に関しては、後ほど詳しく解説します。

ここまででクレイの特徴について簡単にまとめると、
①ショットセレクションが悪くなっている
②リム周辺でのFGAやFTAが減少している
③ワイドオープンでの高確率な精度
④PnRパサーとしての成長

上記について解説しました。
この点を踏まえながら、DALとクレイの融合について解説していきます。

②DALとクレイの融合

ここからは、DALとクレイが生み出す相乗効果について解説していきます。

まずはクレイの高精度ワイドオープンとDALとの相性の部分から。
クレイのワイドオープンが高確率であることは、先ほどまででお話ししましたが、この特徴は特にDALとの相性抜群です。

なぜならば、DALにはGSW以上にオープンショットを生み出せる環境があるためです。この環境を作り出すのは、リーグ有数のバックコートコンビであるカイリー・アービングとルカ・ドンチッチです。

カイリーとドンチッチは共に、リムプレッシャーを多く生み出すことのできるプレイヤーです。
特にドンチッチは、リムプレッシャーを生み出せるだけでなく、おそらくリーグで最もキックアウトが上手な選手です。

ドンチッチがキックアウトパスを出すシーン

GSWでリムプレッシャーを生み出すことのできる選手は、カリー、クミンガ、ウィギンズあたりでしょうか。
確かに彼らはリムでのプレッシャーを生み出すことができますが、キックアウトパスの観点では、正直DALには大きく劣ってしまいます。

そのため、DALの方がより多くのワイドオープンをシンプルな形で創出できるでしょう。これはクレイにとっては、相性の良い組み合わせであると同時に、DALにとっては、大きな補強となりました。

試しにファイナルでのDALの3Pシュート成功率をエリア別に確認します。

NBAファイナルでのDALのエリア別シュート成功率

DALはファイナルでBOS相手にコーナー3Pを中々打たせてもらえませんでした。
BOSは、コーナー3Pに対するプレッシャーを他エリアを捨ててでも与えるような戦術を選択しました。

そこで45°やトップからの3Pを打つDALでしたが、結果はグラフのように低確率に終わってしまっています。

ここにクレイが加入するわけです。
シュートエリアを選ばず決めることのできるクレイの獲得は、DALにとって露呈した弱点をカバーする大きな補強となるでしょう。
同時に、クレイとしてもワイドオープンでのシーンが増えるはずなので、まさにwin-winな関係ですね。

次にPnR面での融合を考えてみます。
『①クレイの特徴』の部分で、クレイのPnRパサーとしての能力開花は、TJDというアスレチックなビッグマンの登場が影響しているという仮説をお話ししました。

DALのロスターを思い出してください。
ギャフォードやライブリーといったアスレチック性に富んだビッグマンが在籍しています。
プレイオフではドンチッチからのロブパスを何度も何度も叩き込んでいました。

アリウープからのダンクもしくはレイアップのFGAはプレイオフ合計で56本あり、これはプレイオフ出場チームの中でも断トツで高い数値となっています。

ドンチッチからギャフォードへロブパスが上がるシーン

PnRの観点においても、クレイはGSW以上の機会に恵まれるでしょう。
また、PnRパサーだけではなく、スクリーンをかける側としてのクレイも超優秀です。ゴースティングなどを駆使し、スクリーンからのアウトサイドシュートなどで活躍することでしょう。

ここまででDALとクレイの融合について簡単にまとめると、
①バックコートコンビからのキックアウト
②PnR面での活躍

上記2点に関して解説しました。
正直まだまだ話したいこと(例えばDF面)はたくさんあるのですが、記事が長くなり過ぎてしまうため、今回は割愛させてください。

3️⃣終わりに

本記事では、クレイ・トンプソンのDAL移籍について考えてみました。
GSWファンの私からすると、この移籍はかなりショックなものでしたが、現在のGSW以上にDALは優勝機会に恵まれているチームです。

5つ目のリング獲得へ向けて新たなスタートを選択したクレイを最後まで応援したいですし、何より来シーズンのDALでのクレイのプレイを見ることが楽しみです。

来シーズンのDALが狙うは優勝のみ。GSWを追いつつも、DALの試合も観ていきたいと思います。

最後に宣伝です。
今シーズンの大物選手の移籍に関して、オフシーズン中に記事を執筆していく予定ですので、ぜひXやnoteアカウントのフォローをお願いします🙇‍♂️

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すでに『デローザンのSAC移籍を考える』と『ポール・ジョージのPHI移籍を考える』という記事を執筆済みですので、まだ読んでいない方は、こちらも合わせて読んでくださると嬉しいです。

最後まで本記事を読んでくださり、ありがとうございました!

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