絵本レビュー【やまのかいしゃ】
仕事に行きたくない時ってある。
それは寝坊した時。
家に帰ってエアコンをつけて、ホットカーペットをつけて
フウと一息ついて、床に寝転んだことまでは覚えている。
気がついたら出勤の時間だった。
コートを着たまま、部屋の電気はついたまま。
窓の外ではキラキラした朝日が差し込んでいて。
ああ 今日はもう休んでやろうかな
って思うのだけど、実行に移したことはない。
ぼんやりした頭のままでアタフタと着替えて、
顔だけ洗って会社に向かうのだった。
ふと、高校の友人ユウコを思い出す。
ユウコは頭が良くて弁が立って、写真部の部長をしていた。
みんなのまとめ役で頼りになる子だった。
そんなユウコがある日、学校に来なかった。
先生が家に電話しても誰も出ない。
どうしちゃったのかな?って思いつつも一日が終わり、次の日のこと。
ユウコはのんきな顔で席に座っていた。隣で共通の友人のキヨミちゃんが真っ赤な顔をして怒っている。
「ちょっと聞いてよ。ユウコが昨日学校を休んだ理由を!」
キヨミちゃんをいなすようにユウコはのんびり答える。
「昨日はいいお天気だったじゃない?だから学校に行くのが馬鹿らしくなってね。」
「へえ。」と私は答える。
「堤防まで行って、どんどん歩いてみようって思ったのよ。それでお腹が空いてきたから、お弁当を食べて芝生に寝転んで昼寝をしていた。」
「すごく心配したのに!」キヨミちゃんは半泣きだ。
「みんなは今頃、物理の授業かなって思ったら楽しくなってきてね。まあ、そんな日もあるよ。みんなもやってみたら。」
「やらないよ!」とキヨミちゃんは怒ったままだったが、私はちょっと羨ましかった。マジメのカタマリだと思っていたユウコがねえ。
私もいつかやってみたい。
なんてことを思いながらも、今に至る。
ちょっと「気分じゃないなあ」って思った時に読んでみて欲しい本。