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純白のシャツを汚す覚悟はあるか~マルコス・ジョレンテの覚醒~

約一年前、ライバルチームからやってきた彼がこれほどの活躍をすると想像していたコルチョネロスはどれだけ居ただろうか。
マドリディスタですら(彼らにしてみれば在庫処分のつもりだったはずだが)、こんなことになるとは想像していなかっただろう。

COVID19による全てのコンペティションが中断する直前のチャンピオンズリーグ。敵地アンフィールドで行われた2nd legで彼はコスタに代わり途中出場し(右サイドのコレアをトップ、ジョレンテは空いた右サイド)、2ゴールを決めてリバプール撃破の立役者となった。
ジョレンテがアトレティにやってきてから、彼の評価は決して良いものではなかったし、中盤のバックアッパーとして期待すらされていなかった。私に言わせれば、所詮純白のシャツを汚すこともできないケン(バービー人形の彼氏)がサウールやコケの代わりになるか?と移籍当時から懐疑的な印象しかなかった。
それが一夜にして、拍手を送ることになろうとは!

リバプール戦への伏線

あのアンフィールドでの夜には伏線があった。24節のバレンシア戦だ。

手元のメモを見る限りこの試合までジョレンテは、ピボーテで仕事をしている。しかしこのバレンシア戦では右サイドでスタメン出場し、このような見事なゴールを決めている。
今思えば、これを見てチョロシメオネは確信したのかもしれない。
(チョロはプレシーズンからジョレンテのトップ起用を考えていたらしい)

もう一試合、件のリバプール戦直前のメトロポリターノでのセビージャ戦も注目だ。
ジョレンテはピボーテとしてスタメン出場したが(トーマスが出場停止)、ドリブルでの突破やディレイ、帰陣スピードは素晴らしく、直接点を決めることはなかったが個人的なMOMだった。

以上のことから、リバプール戦でより攻撃的な右サイドにジョレンテを置いた戦略は決してチョロの奇策ではないことが証明できるはずだ。

シャツを汚す覚悟

6月、長く暗いトンネルを抜けてリーガは再開した。全体練習においてジョレンテは2トップの一角と報じられ、再開後最初のビルバオ戦はやはりトップでの起用となった。
結果はドローだったが、手ごたえはあった。次節オサスナ戦では1G2Aの大活躍で、2シーズンぶりのマニータに大きく貢献した。

昨季7番が去ったことで攻撃の基軸を失ったアトレティだが、ここに来てとんでもないストライカーを手に入れることができた。

最近ふと気づいたことがある。どうやら1月ごろから私はこんなことを言っていたようなのだが、白いシャツを脱ぎ捨てて赤と白のシャツに袖を通そうとしていた頃のジョレンテの写真と今の写真を見比べると別人のように感じたのだ。
もちろん彼はプレス向けの表情をしていたのは承知しているが、最初はまだアトレティの顔をしていなかった。しかし、いまの彼は練習中も試合中も戦士の顔になっている。
ジョレンテの中で何かが変わった。それはウィンターブレイク中だったのか、バレンシア戦だったのか、アンフィールドでの夜だったのか分からない。しかし彼は赤と白のシャツに袖を通し、戦っていく覚悟を決めた。
シャツを汚すことを厭わず、泥臭く貪欲にゴールを目指す姿勢は熱狂的なファンの魂を掴むものとなるだろう。

未だにリーガでは無観客試合が行われているが、ゴール裏に彼らが戻ってきたときに聴こえてくるのは14番を讃えるチャントと、アトレティへのラブソングだろう。

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