レゴランドの入館拒否の件から知ってほしい、「障害のある人への工夫は、障害のない人にも役立つ」ってこと。
レゴランド・ディスカバリー・センター東京を訪れた聴覚に障害のある方4人が、聞こえないことを理由に入館を断られていたというニュース。入館拒否の理由は、「4人とも聴覚障害があるため、災害時に避難の呼びかけに応じることができないため」と。
国は「障害者差別解消法の禁止事項に当たる」とし、施設側に改善を求めたらしい。確かにこのアクションの起こし方は間違ってはいないと思う。
でもね、これ、「法に触れるからうんぬん」で済ませていいレベルの話じゃないんじゃないかなって思うのね。
日本はここ20年余りの間に、阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震、そして先日の大阪府北部地震と数多くの震災を経験してきたよね。その中で、情報弱者の人達へ情報を伝える大切さやそのノウハウを学んできたはず。それが活かされていなかったことがまず残念。
人は、情報を「知覚」を通じて得ているわけだけど、その約80%が視覚情報、そして約10%が聴覚情報に情報の取得を頼ってるって言われてる。
そう考えるとね、災害時の避難の呼びかけは、聴覚に頼っただけでは不十分。これだと、聴覚に障害のある方、耳の遠くなったお年寄り、言葉の通じない外国の方には大切な呼びかけが届かない。
でも言葉(音声)での呼びかけに加え視覚(文字や絵やジェスチャーや手話)によって情報を伝えると、耳の聞こえない人や言葉の壁がある人だけでなく、情報を聞き逃した人も目でみて確認できるよね。
それに音声での呼びかけは一度で消えてしまうけど、文字や絵や図といった視覚を使った情報はそこにあり続けるから、聞き逃した人、その場にいなかった人、情報を理解するのに時間を要する人にも届きやすい情報だよね。(実際、先日の大阪の地震の時に、大阪観光中で駅にいたアメリカ人の友達が放送が聞き取れず困っていたんだけど、手書きで書かれた情報を写メして私に送ってきて翻訳してあげられたんだよね。)
こんな風に考えるとね、緊急時だけでなく普段から複数の知覚(聴覚、視覚、嗅覚、触覚など)を使って情報を伝える心がけってとっても大切な事だと思うのね。
例えばテレビの字幕は、聴覚に障害がある人だけでなく、耳の遠くなったお年寄りや、視覚優位な発達障害のある人にも有効だし、それ以外の人も字幕があった方が便利な時って多いよね。
だからね、今回の件を、「聴覚の障害のある人への障害者差別解消法の禁止事項に当たる」で済ますんじゃなく、障害のあるなしに関わらず、色んな情報提供の仕方があった方が助かる人は多いっていう事の周知として、もっともっと普段の生活に活かしていくきっかけになってくれたらなって思うのね。
障害のある人への工夫は、障害のない人にも役立つケースは多い。
だから東京レゴランドには、「障害者差別解消法をこれからは守ります」じゃなく、たくさんの人に緊急時の情報を余すことなく伝える大切さと、普段から障害の有無関係なくたくさんの人にレゴランドを楽しんでもらうための工夫の為に今回の件をいかしてほしいなって思う。