2歳から義務教育。是か非か、アメリカの就学前支援制度から考えてみた
息子が2年生のころ、依存先の一人である先生(「依存先を増やす、が自立への鍵」って本当にそうだと実感!のnoteに登場した先生です)に息子を預け、ADHDの子供への支援の為のワークショップに定期的に参加していました。
その初回、会場の一列目ど真ん中に息子のクラスメイトのティムとティムのママがいるのをみつけ、不思議に思っていました。ティムのママはテレビ局に勤めるシングルマザー。ティムは支援級所属の子じゃない。なのになぜADHDのワークショップに参加してるんだろう?と。
ワークショップが終わり、ティムたちが駆け寄ってきてくれてティムの生い立ちを語ってくれてその謎が解けました。
ティムは、とっても育てにくい子だったらしく、3歳になる少し前からIFSP(個別家族支援計画)の療育サービスを受けていて、その後ADHDの診断を得たんだと。
米国では、障害の「疑いあり」の時点で、就学前はIFSP(個別家族支援計画)、そして就学後はIEP(個別支援計画)に基づいて無料で早期療育が受けられます。
小学校(といっても、幼稚園年長から始まります。年少組が併設されている小学校もあります)に就学するまでIFSPの療育サービスを受けていたティム。でも、小学校一年生になる時に「もう支援はいらないんじゃないか?」とママと自分で決めて、特別支援(Special Education)を受けずに学校に通うという選択をしたらしいんです。
ティムは当時小学校2年生だったけれど、自分の特性の事をしっかり理解して、自分の特性に合わせた生活スタイルを確立していました。
例えば、夜7時までに寝て、朝3時~4時に起床。
ティムいわく、早めに夕食を食べて、食後からは寝る準備に入り早めに就寝し、朝4時までをめどに起きて宿題をしたり、自分の自由時間を過ごすと。理由は、夕方から夜にかけて起きていると、テレビを観たくなったり、友達と電話で話したりと、ティムにとっては刺激が多すぎて集中がそがれる時間帯だからその時間は思い切って寝てしまう。そして、誰も起きていない早朝に起きると、外からの刺激に惑わされることなく効率的に時間が使えて自分の特性に適してるからと。
2年生の小学生がここまで自分の事を知っていて、自分の特性とうまく付き合いながら学校に通えてるって凄いな、早期療育って本当に大切なんだなってティムから私は教えてもらいました。
だから「2歳から義務教育にしてはどうか?」と野田聖子総務相が提案しているというニュースを見て、私はティムのことを真っ先に思い浮かべたんですよね。
フランスは確か、来年度から義務教育の始まりを3歳にするというニュースをみた記憶もあるんですが、2歳とは言わず、3歳でも義務教育の始まりを前倒しにするのは、昔に比べ少子化になり、核家族が増え、安全に子供だけで外で遊べる環境も減り、女性の社会進出も進んだ今、子供達の健やかな成長の為に家庭の中だけで育てるんじゃなく「社会の中で子供を育てる」機会としても適してるんじゃないかなって思うんですよね。
それと常々思っている事が、特別支援教育って、特別な支援が必要な子への教育支援ではあるんだけど、母親とか、専門家とか、支援級の先生などといった”特別な人”だけに任命された閉鎖的なものじゃいけないんじゃないかな、その為には障害のない子も含めてもっと「社会で子供を育てる」っていう視点が増えてほしいなって。
そういう事も含めて、義務教育の早期化の議論が日本で進んでくれたらいいのになって、ニュースをみて書き留めた今日のnoteです。