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弱い立場の人を排除しない「想定外」が起こる事を想定した体制づくりの大切さ

今日のnoteは、昨日のnote”東京医大の問題って、なんだか出生前診断の問題と似てる”の問題についてツイートした

について、中学校で通級の先生をされているゆず姉先生からのリプライ

をきっかけに、アメリカの息子の学校と私の職場について紹介しようかと思います。まずは学校編。

<学校編>
「今日はねぇ、もう一人の先生と会ったんだよ~。ミスタースミスっていうんだ。たまに来るんだって。優しそうな先生で仲良くできそうだよ~」
学校に迎えに行くと息子が嬉しそうに報告してくれた。

これは確かアメリカに越してきて数週間たった頃。
この頃には、息子には日本語がわかるスキルズトレーナー(支援員さん)がついてくださってて、迎えに行った時にその方からも報告があったんだよね。

報告によると、Mr. Smithは、バックアップのサブの先生。
クラスの担任の先生が体調が悪くて休んだり、先生のお子さんが体調が悪くて休んだり、先生が用事があって休まなきゃいけない時に代わりに授業をしにくる先生だそう。

こういうサブの先生(ほとんどがセミリタイアした先生)は何人かいて、電話一本でその時に都合のいい先生が駆けつけてくれるシステムがアメリカの息子の学校にはあったんだよね。トータルで何人くらい待機されているのかは知らないんだけど、Mr. Smithは息子の学校の1・2・4年生の先生が休まなきゃいけない時に一番最初に声が掛かる先生だったんだよね。

そんなMr. Smithが息子にわざわざ挨拶をしに来てくれたのには理由があるんだよね。

アメリカに越してきてすぐに開かれたIEP会議で、息子が新しい環境や急な変更に不安を覚える事を先生方が把握して下さってたから、サブでくる可能性の一番高いMr. Smithに先に会っておいて、「もしも」の時の息子の不安を少しでも軽減しようという事だったんだよね。そしてMr. Smithは息子のIEP(個別支援計画書)に予め目を通し、息子と挨拶を交わし少し時間を一緒に過ごす事で「もしも」の時の為にそなえてくださってたんだよね。

当時の息子の学校の体制は、1年生ひとクラスに約20人の子供がいて、担任の先生と副担任の先生と息子のスキルズトレーナーがいるといったかんじ。子供20人に大人が三人。それでも「想定外」の事が起こった時には、事務所に待機している先生が内線一本でかけつけてくれ、そこにプラス、Mr. Smithのようなバックアップの先生。

こういう体制だったから、息子が大パニックを起しても、それに対して先生方が動揺することもなく「日常の出来事の一つ」として息子にとって最良な対応をしてくださり、息子も他のクラスメイトも安心して学校で過ごす事ができたんだよね。

<職場編>
病院に勤める時の面接で、「私は日本からきたシングルマザーで、息子が急病になったり、学校から呼び出しがあれば、どんな時でもそれを優先しなきゃいけない。頼れる身内は他にいないから。だからそれでもいいなら雇ってほしい」と正直に私は申し出たんだよね。だって実際に「想定外」の事が起こった時に「帰っちゃダメ」なんて引き止められても無理だから。

その時の面接官の一人は、その後に私の直属の上司になるリハビリチームのマネージャーだったんだけど、当時妊娠中だった彼女はこう返してくれたんだよね。

「正直に話してくれてありがとう。でもね、心配する事はないよ。ここの職場にはパパもママも働いていて、みんな必要な時は家庭の事を優先してる。そういう体制ができているから休みたいなら何も遠慮せず「休む」って言ってくれればいい。後の事を考えるのは管理チームの仕事だから」と。

リハビリチームは、OT・PT・STで50~60人いたんだけど、「子供が熱を出した」などの突然の休暇申請だったり、旅行などの為の有給休暇の申請は「同じチームで4人(STは人数が少なかったから2人)までなら同じ日に無条件で休める」がルールだったんだよね。

それを可能にしてたのは、一人の患者さんを複数で担当するチーム体制だったり、同じ傘下の病院間でのセラピストの貸し借りだったり、オンコールで待機しているパートタイムのセラピストチームが電話一本で駆けつけてくれたり、働く環境に「ゆとり・余裕・余剰」があったからだと思うんだよね。

だからね、「子供の用事で」っていうパパもママも、「今日は体調が悪くって…」っていう時でも、「旅行に行ってきま~す♪」って時も、出産&育児の休暇なんていう全ての「想定外」「予定外」「非日常」を「想定内」として管理チームが指揮をとってくれてたから、私のような「無理がきかないシングルママ」のような立場でも仕事をつづける事ができたんだよね。


こんな風にね、息子の学校&私の職場、どちらにも言えるのは、「想定外を想定したスタンダード」でクラスや仕事場を運営しているから、「想定外」「万が一」「予定外」が起こっても「オッケー了解!」程度の調整で済むんだよね。

これはどういうことかっていうと、「弱者を排除しない体制」でもあるんだよね。

例えば学校のクラスに個別に支援が必要な子がいても、先生が担任の先生しかいないようなカツカツな状態ならその子はきっと「困らせる子」というレッテルを貼られ支援級へ…となりかねないよね。

また、子供のことで休みがちな人や、体調不良で休みがちな人、妊娠&出産&育児で長期休暇を必要とする人なんかがいる職場が、カツカツ・いっぱいいっぱいの状態で維持されてたなら、きっとその人達は退職を余儀なくされたり、そもそも入社のチャンスさえないかもしれないよね。

だからね、「想定外が無い事で維持されているスタンダード」よりも「想定外を想定したスタンダード」を採用した方が、学校なら子供にも先生にも優しい環境になるだろうし、職場なら仕事をしてるワーカーも一緒に働く同僚にも優しい環境だと思うんだよね。それに学校の「インクルーシブ教育」なんかは、そうじゃないと根付かないんじゃないかなって思うんだよね。

もちろん、予算の問題とかもあって簡単に実現できることじゃないとは思うんだけど、「目指そうとする」「理想を思い描く」ことから始めるって大切だろうな、だからこういうアメリカの例を知っててほしいなって思って今日のnoteを書きました。

弱い立場の人を排除する事によって成り立ってる社会ってきっと、
誰にも優しくない社会環境だと思うから。

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チャビ母
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