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(思索)いろいろ

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#曼荼羅

無意識はマンダラ状の形態を意識の表層の一番底に映し出す ー C.G.ユング著『個性化とマンダラ』を読む

ここ最近、ふとしたことからユングの著書を読んでいる。 ユングの著作に最初にふれたのは、随分むかしのことである。 まだ中学生の頃、とあるところから「読むべし」とアドバイスを受け、読み始めたものである。 読み始めた、といっても当時は「文字がならんでいるなあ」以上のことは理解できておらず、どうにもならなかったのであるが、それでも1ページ1ページ、一文字一文字、言葉の透明な流れに手を突っ込むように、読む。というか、「この向こう側になにかある!」という直観だけで、とっかかりになり

心の深層に浮かび上がる”四”について、ユングの夢、空海の曼荼羅、レヴィ=ストロースの神話論理から考える

かのC.G.ユングがノーベル賞物理学者であるヴォルフガング・パウリの「夢」を分析したセミナーの記録である『C・G・ユングのセミナー パウリの夢』を読む。 パウリの夢の分析はユングの著書『心理学と錬金術』でも整理されているが、この『パウリの夢』をつうじて、ユング自身が『心理学と錬金術』の内容をレクチャーしてくれているかのようなライブ感を楽しむことができる。 全編を通じておもしろいのであるが、特に、個人的におもしろくて仕方がなかった一節をご紹介させていただく。 まず「対立物

ユング、マンダラ、共時性:ユングの論文「共時性:非因果的連関の原理」を読むーーユングとパウリの共著 『自然現象と心の構造』より

深層心理学で知られるカール・グスタフ・ユングと、「パウリの排他律」で知られる物理学者ヴォルフガング・パウリとの共著『自然現象と心の構造』を読む。 パウリの手による論文「元型的観念がケプラーの科学理論に与えた影響」については下記の記事で論じたので、今回はユングの手による「共時性:非因果的連関の原理」を読んでみよう。 「偶然」の世界・・偶然?必然?「共時性:非因果的連関の原理」の冒頭、ユングは次のように書いている。 因果的なつながりを説明することができないが、しかし、たしか

超-明るい部屋へ/埋蔵経典を”発掘”する神話的思考 -中沢新一著『精神の考古学』をじっくり読む(7)

中沢新一氏の『精神の考古学』を引き続き読む。 精神の考古学。 私たちの「心」は、いったいどうしてこのようであるのか? 私たちが日常的感覚的に経験している分別心(例えば、好き/嫌いを分別したり、自/他を分別したりすることは当たり前だと思っている心)が、発生してくる深みへと発掘を進める中沢氏の「精神の考古学」。 いよいよ第八部「暗闇の部屋」を読んでみようと思う。 ここで中沢氏は、「まったく光の入ってこない部屋の中で、一週間にわたっておこなう[…]暗黒瞑想」について書く(p

小学二年生の国語教科書を、深層意味論で読む

(本記事は無料で最後まで立ち読みできます) 小学二年生になる上の子の国語の教科書をながめていると、川崎洋氏の「てんとうむし」という詩が収められている。 こちらの詩、深層意味論の意味分節モデルの観点からみて、とてもおもしろい。 つまりこの詩から、意味の発生ということの根源に触れることができるように思われるのである。 選び抜かれた少数の言葉たちが、下記のような二項対立関係を織りなしている。 一 / 十(多) 小さい / 大きい 人間のことば / 人間ではない者の言葉 聞

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